「まん延防止」延長 分科会で2人の委員が反対 尾身会長が説明

「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は、会合のあと報道陣の取材に応じ、政府が示した5つの県のまん延防止等重点措置の解除については全員が同意した一方、17の道府県の延長については2人の委員が反対したと述べました。

反対したのは感染症以外の専門家だったということで、尾身会長は「重点措置を出す法律的な要件として、インフルエンザと比較して肺炎などの発生頻度が相当程度高いことなどが求められている。オミクロン株についてはこうした点が不明確だというのが反対の大きな理由だった。その一方、2人以外は延長に賛成だった。インフルエンザは経口薬がすぐ手に入り、変異が安定的に起きているのに比べて、新型コロナウイルスは変異が不連続で起きているので、インフルエンザと同じようには扱えない。感染がどんどん拡大して医療がひっ迫し死者も出ている中では、総合的に判断して感染を抑えるための法律上のツールが必要だということだった」と説明しました。

尾身会長は「今、オミクロン株の拡大で直面している最大の課題は、高齢者の間でだけ感染が増え、たくさんの人が入院し重症者、亡くなる人が多くなってきているということだ。コロナによる肺炎だけでなくもともとの基礎疾患が悪化して亡くなるケースもあるが、自治体によっては高齢者施設でのワクチンの追加接種が、なかなか進んでいないところもある。自治体や施設への支援でとにかく高齢者へのワクチン接種を進め、高齢者の重症化、死亡をなるべく低く抑えることがもっとも優先されるべきテーマだ」と指摘しました。

さらに、新型コロナの感染が収まったあとを見据えた「出口戦略」について、尾身会長は「今の第6波をどのように乗り越えるのかというポイントと、さらに中長期的にこのウイルスとどう向き合って行くかというポイントの2つがあると思う。特に中長期視点での戦略については、ウイルスの変異が進行中で性質がどう変わるのか正確に予測できない中で、いくつかのあり得るシナリオを考えて、社会経済を回しながらどう対策を行うか、大きなピクチャー、方向性を考える時期に来ているのではないかと思う」と述べ、今後、政府の新型コロナ対策分科会で議論したいという考えを示しました。