コロナで生活困窮 NPOには食料品など支援の要請が急増 大阪

コロナ禍の影響で収入が減り生活が困窮したなどとして、大阪 堺市にあるNPOには食料品などの支援を求める要請が急増していて対応に追われています。

大阪 堺市のNPO「ふーどばんくOSAKA」は、フードロス解消のため企業などから譲り受けた食料品を子ども食堂や児童養護施設などに届ける活動を続けてきましたが、コロナ禍で仕事を失ったり収入が減ったりして、生活困窮に陥った人たちからの支援の要請が相次いでいます。

NPOは要請に対して、当事者や自治体のケースワーカーなどに支援の緊急性を確認したうえで、米やレトルト食品などを自宅まで配送しています。

NPOによりますと、感染拡大前は年間に10件程度だった個人からの支援要請が、感染拡大とともに増え続け、先月の1か月間だけでおよそ70件とこれまでで最も多くなり、今月も半ばで、すでに30件を超えているということです。

17日、大阪府北部で小学生の子どもと2人で暮らす女性にお米やレトルト食品などを届けました。

飲食店で働く女性はコロナ禍で収入が減って生活が困難になり、NPOに支援を求めてきたということです。

NPOには、ほかにも保育園の休園で働けなくなり食べ物を買うお金がなくなったと訴えるシングルマザーや、コロナ禍で収入が激減し生活ができないというタクシー運転手、それにコロナの影響で去年7月に仕事を解雇されて貯金がなくなり、1週間水しか口にしていないなどと訴える生活保護を申請中の人などからの支援要請が相次いでいました。

ふーどばんくOSAKAの森本範人事務局長は「コロナ禍で行政の支援とつながれない人が浮き彫りになってきた印象があり、命をつなぐ食支援の活動を続けていきたい」と話していました。

そのうえで「生活が困窮しているすべての人の支援をフードバンクだけで行うのは不可能なので、地域で活動している団体や組織と連携して支援を続けていきたい」と話していました。

自宅療養者からの支援要請も相次ぐ

ふーどばんくOSAKAには、新型コロナに感染し自宅で療養する人たちからの支援要請も相次いでいます。

大阪府や府内の自治体の多くは、自宅療養者に食料品を配送する支援などを行っていますが、感染者の急増で保健所や自治体の業務がひっ迫し、十分に支援を届けられない事態に陥っているところが少なくありません。

このうち大阪府は、自宅療養者への支援として希望者にレトルト食品などを届けることにしていますが、第6波で感染者が急増し、保健所による感染者の登録の遅れなどで配送が滞っているということです。
こうした状況の中で、ふーどばんくOSAKAには「1人暮らしで食料の備えがなく、自宅療養中で買い物にも行けないため市に支援を求めたものの、保健所に感染が登録されてからでないと支援が受けられず助けてほしい」などとの声が相次いでいると言います。

ふーどばんくOSAKAの森本範人事務局長は「自宅療養者や隔離待機している人がなかなか保健所や行政窓口とつながることができず、われわれに対する食料支援の問い合わせが急増している。行政窓口や地域の支援団体も感染急増で対応できなくなってフードバンクへの要請が増えている」と話していました。

また、食料支援の要請は、自治体を通じて地域の社会福祉協議会などにも相次いでいます。

大阪 平野区の社会福祉協議会は、コロナ禍で収入が減った世帯に食料を届けるためにふーどばんくOSAKAに協力を依頼していて、この日は担当者が米や卵などの食料品を受け取りに来ていました。

平野区社会福祉協議会の角田達哉主任相談支援員は「社会福祉協議会だけで支援に必要な食料を集めるのは困難で、フードバンクの存在があることで助かる命がある」と話していました。