水際対策の緩和 大手商社 “ビジネスの正常化につながる“”

政府がオミクロン株の水際対策について来月から段階的に緩和する方針を示していることについて、海外で幅広く事業を展開する大手商社の社員からは今後、ビジネスの正常化につながると期待の声が聞かれました。

大手商社の「伊藤忠商事」は、17日から東京都内の本社で新型コロナウイルスワクチンの3回目の職域接種を始めました。

当初は今月28日から実施する予定でしたが、少しでも早く感染拡大防止の対策をとりたいと開始を前倒ししました。

この会社では政府の水際対策などを受けて、海外の拠点で働く外国人を招いた研修や海外企業との商談が日本でできなくなっていました。

また、日本に帰国した駐在員は一定期間、自宅などでの待機が求められるため、業務に支障が出ていたといいます。

3回目のワクチン接種を終えた48歳の男性社員は「この2年間、海外との往来が、なかなかできない状態が続いていますが、やはり人の往来がないとビジネスは活発化しないので、ぜひとも早い緩和をお願いしたい」と話していました。

伊藤忠商事新型コロナウイルス対策本部の石津顕太郎さんは「商社は、現場主義で、海外の現場に行ってビジネスをやっていたが、新型コロナで大きく制限されている。水際対策の緩和は、感染対策と経済活動の活性化の両立という意味では大きな区切りになる。今年度中に3回目のワクチン接種を終えて、社内の防疫体制を高めたい」と話しています。

航空大手「更なる緩和を」

オミクロン株の水際対策について岸田総理が来月から段階的に緩和することを会見で表明したことを受けて、大手航空会社はさらなる緩和を求めるコメントを発表しました。

このうちANAホールディングスは、「今回の政府の措置を渇望していました。入国も出国も、さらなる緩和を切望します」としています。

また、日本航空は「国際往来の本格的な正常化に向け、入国者数制限の緩和や渡航危険レベルの見直しなど緩和の促進に尽力して欲しい」としています。

オミクロン株の水際対策で、政府が去年11月末、外国人の新規入国を原則、停止するなどの措置をとったことを受けて、両社では先月の国際線の利用者数が新型コロナの感染拡大前のおととしの同じ月と比べて、いずれも9割程度減少しています。