フィギュア【詳細】女子シングル 坂本花織が銅メダル

北京オリンピック、フィギュアスケートの女子シングルは17日、後半のフリーが行われ坂本花織選手が銅メダルを獲得しました。
この種目での日本選手のメダル獲得は、2010年バンクーバー大会で浅田真央さんが銀メダルを獲得して以来、3大会ぶりです。
樋口新葉選手は5位、河辺愛菜選手は23位、自身のドーピング問題で揺れたROC=ロシアオリンピック委員会のカミラ・ワリエワ選手はジャンプのミスが相次ぎ4位でした。

坂本 自己ベストで銅メダル

フィギュアスケートの女子シングルは17日、後半のフリーが行われ、ワリエワ選手のドーピングを巡る問題を受けて予定よりも1人多い25人が出場しました。

ショートプログラム3位だったオリンピック2回目の坂本選手は、7つのジャンプをほぼミスなく成功させるなど完成度の高い演技で、出来栄えに対する得点を重ねました。

表現力などを評価する演技構成点は、すべての項目で高得点の9点台をマークし、フリーで153.29、合計233.13と、いずれも自己ベストを更新し銅メダルを獲得しました。

この種目での日本選手のメダル獲得は、2010年バンクーバー大会で浅田真央さんが銀メダルを獲得して以来、3大会ぶりです。

初出場の樋口選手は、大技のトリプルアクセルを成功させ、連続ジャンプの転倒はありましたが、フリーで140.93、合計で自己ベストを更新する214.44をマークし5位に入りました。

17歳の河辺選手はジャンプでミスが続き、合計166.73で23位でした。
金メダルはROCのアンナ・シェルバコワ選手で、2回の4回転フリップを含みジャンプをすべて成功させる完ぺきな演技で合計255.95でした。
銀メダルはROCのアレクサンドラ・トゥルソワ選手で合計251.73でした。
一方、金メダルの有力候補ながら自身のドーピング問題で揺れたROCの15歳のワリエワ選手はジャンプで転倒するなど精彩を欠き、フリーで141.93の5位にとどまり合計224.09で4位に終わりました。

IOC=国際オリンピック委員会は、ワリエワ選手のドーピングの問題を受けてワリエワ選手の順位が暫定的なものだとしているため女子シングルの結果も暫定の順位となります。

【銅メダル 坂本花織】

坂本選手は冒頭のダブルアクセルや、1番の得点源となる3回転フリップと3回転トーループの連続ジャンプをはじめ、7つのジャンプすべてで出来栄えに対しプラスの点を重ねました。
演技の後半は表情にやや疲れが見え、3つのスピンのうち1つがレベル3の判定となりましたが、演技を終えると両手の拳を突き上げ納得の表情を浮かべました。
坂本選手は4回転ジャンプを複数構成に組み込むROCの3人の選手に技術点では差をつけられましたが、表現力などを評価する演技構成点は金メダルのアンナ・シェルバコワ選手に次ぐ2位で、追求してきた完成度の高さが認められました。

坂本選手は「本当にまさか自分がオリンピックのメダルを個人でとれると思っていなかったので、今はうれしいという言葉以外、何も出てこない。性格的に自分に甘くなる自分を一生懸命引き締めてここまで導いてくれた周りの人たちに感謝したい」と笑顔で振り返りました。
そのうえで「今大会はショートプログラムとフリーを 両方ミスなくそろえて、4年前のピョンチャンオリンピックの成績を超えることを目標としていたので、それが達成できてうれしい。これからまだまだ進化し続けたいと思っているし、これを機にもっと上を目指して頑張っていきたいなと思う」と喜びをかみしめていました。

<自分の道でつかんだ銅メダル>
ショートプログラムで会心の演技を見せメダル圏内で迎えた後半のフリー。坂本選手はオリンピックのために追求してきた質の高い演技を貫き、メダルを手にしました。

坂本選手は、初めてオリンピックに出場したピョンチャン大会では、持ち前の度胸のよさでフリーをほぼミスなく滑り6位に入賞しました。
次のシーズンには全日本選手権で初優勝し、世界選手権にも出場するなど日本女子の中心選手として着実に成長を遂げました。

しかし、オリンピックを控えた今シーズンは大きな迷いの中でスタートしました。ロシア勢を中心に女子でも世界上位の選手たちがトリプルアクセルや4回転ジャンプなど大技を演技に組み込むのが当たり前となった中、自分も挑戦すべきか。シーズン前にはトリプルアクセルや4回転の練習にも取り組みましたが習得するまでには至らず、技の完成度や技と技のつなぎの動きを磨き上げる道を選びました。

ところが大技に対抗するため休む間もないほど密度を濃くしたフリーの新プログラムは、体力が追いつかず、なかなか習得できませんでした。

去年10月の近畿選手権ではミスを連発して当時の自己ベストから30点余り低い得点に終わり「これ以上ないほどボロボロな演技だった」とトレードマークの笑顔が消え、以前のプログラムに戻すか悩むほど暗いトンネルをさまよいました。

それでも「大技を跳ぶ選手を意識して焦ってもしかたない。自分がやるべきことをしっかりやるしかない」と腹をくくり、本番を想定した練習を増やして最後まで滑りきる体力の向上と細かい動きのブラッシュアップに励みました。

12月の全日本選手権では、近畿選手権からわずか2か月あまりで得点を30点以上上げ最高の結果でオリンピックの切符をつかみ取りました。

北京オリンピックを「4年間の成績表」と位置づけていた坂本選手。
みずからが選んだ道で世界と戦えることを確かに証明しました。

【5位 樋口新葉】

樋口選手は、「ライオン・キング」の曲に合わせて、ショートプログラムに続いて演技の冒頭にトリプルアクセルを組み込む構成で臨みました。そのトリプルアクセルは流れるような着氷でショートプログラムに続いて成功させました。続く3回転ルッツと3回転トーループの連続ジャンプは3回転トーループで転倒し、回転不足と判定されて減点されましたが、そのあとの3回転サルコーとダブルアクセルは確実に決めました。
基礎点が1.1倍になる演技後半の3回転ルッツと3回転トーループの連続ジャンプは3回転トーループが回転不足となりましたが、次の3回転ループからの3連続ジャンプは成功させました。
3つのうち2つのスピンとメリハリのきいたステップで最高評価のレベル4を獲得し、技術点は72.67でした。壮大な音楽に乗って最後まで笑顔で滑りきり、表現力などを評価する演技構成点は69.26で、自己ベストに迫る140.93をマークしました。

樋口選手は初めてのオリンピックを振り返って「最初はふわふわした気持ちですごく楽しみな気持ちだったが独特の雰囲気がだんだん入ってきた。それでも集中を切らさずに、自分の夢だった舞台でしっかりとトリプルアクセルも成功できて、うれしい気持ちと悔しい気持ちを両方味わえたので、すごくよかった」と話しました。
ショートプログラムとフリーでともに成功した大技のトリプルアクセルについては「ショートプログラムでも跳ぶというのは結構勇気のいる選択だったが、ずっとその目標に向かって頑張って来ることができた。オリンピックでショートもフリーも降りられたというのがすごくよかった。4回転を跳ぶ選手がたくさんいる中で、自分はトリプルアクセルを跳ぶという目標に向かってずっと突き進んできたので、迷いもあったが自分の目標を達成することができてすごくうれしい」と晴れ晴れとした表情で話しました。
そして、今後については「きょうの演技ではやっぱり悔しい部分もあって、点数が伸びないなと思ったので、また4年間頑張って、戻ってきてリベンジしたい」と次のオリンピックに向けて意欲を見せました。

<トリプルアクセルを成長の糧に>
樋口選手はショートプログラムに続いてフリーでもトリプルアクセルに挑戦して見事に成功させました。
有力候補とされながらも出場を逃した前回のピョンチャン大会から4年。再びオリンピックを目指す中で力となったのが、このトリプルアクセルへの挑戦でした。

「オリンピックに出場するには必要だと思った。跳べたらすごい選手というイメージが大きくてそのために頑張ってきた」

本格的に練習に取り組み始めた当初はジャンプのなかで唯一、前向きに跳ぶ怖さから回転の途中で諦めたり、回転の軸がぶれて転倒し氷に体を打ちつけたりする苦しい日々が続きました。

「いろんな人の動画を見たが自分の跳び方とは違うのでなかなか降りる感覚が分からなかった。成功をイメージするのも難しかった」

おととしの四大陸選手権で試合で初めて跳びましたが、ここでも転倒しました。昨シーズンは出場したすべての試合で挑戦しましたが、1度も成功しませんでした。それでも、オリンピックを見据えてチャレンジを続けました。その努力は実りました。今シーズン、去年10月の大会で初めて成功し、11月の国際大会はトリプルアクセルを入れたショートプログラムで一時、今シーズンの世界3位となる高得点をたたき出しました。
トリプルアクセルへの挑戦を力に変えてつかんだ初めてのオリンピックでは2度そのジャンプを跳んで、日本の女子選手では浅田真央さんに続くオリンピックでの成功を成し遂げました。
「ショートプログラムでも跳ぶというのは勇気がいる選択だったがその目標に向かって頑張って来れた。2本降りれたのは本当にうれしいしよかった。ただ悔しい部分も残ったのでまた4年後リベンジしたい」
トリプルアクセルに苦しみ、そのトリプルアクセルから力を得た樋口選手。4年後に向けて4回転ジャンプへの挑戦にも意欲を燃やしています。

【23位 河辺愛菜】

最初のトリプルアクセルはバランスを崩しながらもなんとか着氷しました。しかし、3回転ルッツで2回転倒するなどジャンプにミスが続き、フリーで104.04、ショートプログラムとの合計166.73でした。
17歳の河辺選手は演技を振り返って「演技をするのがすごく怖くて直前まで足が震えていた。練習で悪かった部分がすべて出てしまって悔しい」と目に涙を浮かべながら振り返りました。
そのうえで「こんなに大きな舞台で演技するのは初めてですごくいい経験になったが、これだけ緊張する中でも演技ができるように、これを糧に強くならないといけない。4年後のオリンピックは出るだけではなくて、上位を目指せる選手になりたいなと思った」と話していました。

【金メダル シェルバコワ】

ROCの17歳、シェルバコワ選手は、2つの4回転ジャンプなどすべてのジャンプを高い完成度で決めたほか、演技構成点でも点数を伸ばし金メダルを獲得しました。
シェルバコワ選手は冒頭の4回転フリップと3回転トーループの連続ジャンプと続く単独の4回転フリップを見事に成功させて高い出来栄え点を獲得し、この2つのジャンプで33点あまりを引き出しました。基礎点が1.1倍になる演技後半は3回転・3回転の連続ジャンプなどで着実に得点を稼ぎました。
また、3つのスピンとステップはいずれも最高評価のレベル4を獲得し、技術点は銀メダルを獲得した同じROCのトゥルソワ選手に次ぐ100.49でした。
表現力などを示す演技構成点は、5つの項目すべてで高得点の9点台を獲得してトップの75.26をマークしました。
シェルバコワ選手はフリーの自己ベストを7点以上更新する175.75をマークして、ショートプログラムに続いてフリーで2位となり、ショートプログラムとの合計でも自己ベストを14点以上更新して255.95で金メダルを獲得しました。

【銀メダル トゥルソワ】

ROCの17歳、トゥルソワ選手は4種類の4回転ジャンプを5本跳ぶきわめて難度の高い構成に挑みました。
トゥルソワ選手は冒頭の4回転フリップを着氷し、続く4回転サルコーでは高い出来栄え点を獲得しました。最初の2つの4回転ジャンプで26点以上の得点を稼ぎました。3本目の4回転ジャンプとなった4回転トーループは着氷が乱れて減点され、次のダブルアクセルと3回転トーループの連続ジャンプも着氷が乱れました。
それでも基礎点が1.1倍になる演技後半に4回転ジャンプの中でも難度の高い4回転ルッツを2本跳び、1本目の4回転ルッツと3回転トーループの連続ジャンプはきれいに成功させ、基礎点と出来栄え点を合わせて20点近い高得点を獲得しました。2本目の4回転ルッツは回転不足と判定されて、出来栄え点でわずかに減点されましたが、最後のジャンプとなった3回転ルッツからの3連続ジャンプはきっちりと決めてここでも13点以上を獲得しました。
基礎点が高い4回転ジャンプで得点を稼いだトゥルソワ選手は技術点で2位の選手に5点以上の差をつける106.16をマークし、大きな得点源としました。表現力などを示す演技構成点は70.97でした。
フリーの得点は自己ベストを10点以上更新する177.13で1位となり、ショートプログラムとの合計でも自己ベストを10点以上更新して251.73。前半の4位から順位を2つ上げ、逆転で銀メダルを獲得しました。

【4位 ワリエワ】

金メダルの有力候補だったROCの15歳、ワリエワ選手は、得点源のジャンプでミスが相次ぎ精彩を欠きました。
ワリエワ選手は冒頭の4回転サルコーがわずかな回転不足と判定され、次のトリプルアクセルはショートプログラムに続いて着氷が乱れて回転不足で減点されました。
その後も4回転トーループからの連続ジャンプと基礎点が1.1倍になる演技後半の4回転トーループで転倒するなどミスが相次ぎました。
3つのスピンとステップはいずれも最高評価のレベル4を獲得しましたが、技術点は73.31にとどまりました。
ふだんは高く評価される表現力などを示す演技構成点も全体4位の70.62でした。
ワリエワ選手はフリーが141.93の5位、ショートプログラムとの合計が224.09とショートプログラムから順位を3つ落として4位となり、本来の力を発揮できませんでした。

<女子シングル 成績>

1位 アンナ・シェルバコワ(ROC)

得点255.95(フリー175.75、SP80.20)

2位 アレクサンドラ・トゥルソワ(ROC)

得点251.73(フリー177.13、SP74.60)

3位 坂本花織(日本)

得点233.13(フリー153.29、SP79.84)

4位 カミラ・ワリエワ(ROC)

得点224.09(フリー141.93、SP82.16)

5位 樋口新葉(日本)

得点214.44(フリー140.93、SP73.51)

6位 ユ・ヨン(韓国)

得点213.09(フリー142.75、SP70.34)

7位 アリサ・リウ(アメリカ)

得点208.95(フリー139.45、SP69.50)

8位 ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)

得点206.79(フリー136.70、SP70.09)

9位 キム・イェリム(韓国)

得点202.63(フリー134.85、SP67.78)

10位 マライア・ベル(アメリカ)

得点202.30(フリー136.92、SP65.38)

11位 アナスタシア・グバノワ(ジョージア)

得点200.98(フリー135.58、SP65.40)

12位 エカテリーナ・クラコワ(ポーランド)

得点185.84(フリー126.76、SP59.08)

13位 ビクトリア・サフォノワ(ベラルーシ)

得点184.83(フリー123.37、SP61.46)

14位 オルガ・ミクティナ(オーストリア)

得点182.20(フリー121.06、SP61.14)

15位 エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン)

得点179.97(フリー118.15、SP61.82)

16位 カレン・チェン(アメリカ)

得点179.93(フリー115.82、SP64.11)

17位 ニコル・ショット(ドイツ)

得点177.65(フリー114.52、SP63.13)

18位 リンジー・ファン ズンダート(オランダ)

得点175.81(フリー116.57、SP59.24)

19位 マデリン・シーザス(カナダ)

得点175.56(フリー115.03、SP60.53)

20位 エリシュカ・ブレジノバー(チェコ)

得点175.41(フリー111.10、SP64.31)

21位 エバロッタ・キーバス(エストニア)

得点171.75(フリー112.20、SP59.55)

22位 アレクシア・パガニーニ(スイス)

得点168.91(フリー107.85、SP61.06)

23位 河辺愛菜(日本)

得点166.73(フリー104.04、SP62.69)

24位 アレクサンドラ・フェイギン(ブルガリア)

得点159.31(フリー100.15、SP59.16)

25位 イェニー・サーリネン(フィンランド)

得点153.04(フリー96.07、SP56.97)

※ROCのワリエワ選手については去年12月のドーピング検査で陽性反応が出たと発表されましたが、CAS(=スポーツ仲裁裁判所)はワリエワ選手の出場を認めると判断しました。
またIOCがワリエワ選手の順位はあくまで暫定的なものとして扱うとしているため、女子シングルのすべての結果も暫定の順位となります。

【女子フリー 滑走順】

▼第1グループ
1 イェニー・サーリネン(フィンランド)
2 エカテリーナ・クラコワ(ポーランド)
3 アレクサンドラ・フェイギン(ブルガリア)
4 リンジー・ファン ズンダート(オランダ)
5 エバロッタ・キーバス(エストニア)
6 マデリン・シーザス(カナダ)
7 アレクシア・パガニーニ(スイス)
▼第2グループ
8 オルガ・ミクティナ(オーストリア)
9 ビクトリア・サフォノワ(ベラルーシ)
10 エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン)
11 河辺愛菜(日本)
12 ニコル・ショット(ドイツ)
13 カレン・チェン(アメリカ)
▼第3グループ
14 エリシュカ・ブレジノバー(チェコ)
15 マライア・ベル(アメリカ)
16 アナスタシア・グバノワ(ジョージア)
17 キム・イェリム(韓国)
18 アリサ・リウ(アメリカ)
19 ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)
▼第4グループ(開始予定日本時間22:09ー)
20 ユ・ヨン(韓国)
21 樋口新葉(日本)
22 アレクサンドラ・トゥルソワ(ROC)
23 坂本花織(日本)
24 アンナ・シェルバコワ(ROC)
25 カミラ・ワリエワ(ROC)

【見どころ】
前半のショートプログラムで3位の坂本花織選手は、4回転など高難度のジャンプを持つ上位のROC=ロシアオリンピック委員会勢などを相手に、磨き上げてきた技の完成度を武器に初のメダル獲得を目指します。
ショートプログラムでトリプルアクセルを決めて5位に入った樋口新葉選手、さらに15位の河辺愛菜選手は、いずれもフリー冒頭でトリプルアクセルを組み込んでいて、巻き返しをねらいます。
一方、自身のドーピング問題で揺れるROCの15歳、カミラ・ワリエワ選手は、ショートプログラムで本来の滑りとはいかなかったものの、情感あふれる演技で80点台の高得点を出しトップ。ワリエワ選手はフリーで4回転ジャンプ3つを跳ぶ高難度のプログラムを予定しています。