JR西日本 地方路線30線区の収支公表へ “今後”の議論加速向け

JR西日本は、人口減少やコロナ禍で利用者が特に少なくなっている地方路線について、これまで公表してこなかった線区ごとの収支の状況を初めて明らかにすると発表しました。
収支の状況を具体的に示すことで沿線自治体などとともにバス路線への転換なども含め地方路線の今後の在り方の議論を加速させたい考えです。

JR西日本は、新型コロナウイルスの影響による鉄道の利用客の落ち込みで、昨年度の2332億円の最終赤字に続き、今年度、2021年度も最大で1165億円の最終赤字になる見通しです。

経営の立て直しが急務で、会社は16日、人口減少やコロナ禍で利用者が特に少なくなっている地方路線の線区について、これまで公表してこなかった線区ごとの収支の状況を初めて明らかにすると発表しました。

公表はことし4月の予定で、一日に平均何人を運んだかを示す「輸送密度」が2000人に満たない、近畿や中国、それに北陸地方にある、合わせて30の線区が対象になるということです。

長谷川一明社長は会見で「具体的な経営状況を地元と共有し、地域にとって最適な交通手段が何なのかを議論していく必要がある」と述べ、沿線自治体などとともにバス路線への転換なども含めた地方路線の今後の在り方についての議論を加速させたい考えをにじませました。

地方路線の利用者減少は全国的な課題で、国は今月、検討会を立ち上げ、抜本的な見直しも視野に議論を進める方針を示しています。

「輸送密度」2000人未満の30線区

JR西日本が線区ごとの収支の状況を公表するのは「輸送密度」が2000人に満たない、近畿地方のほか、中国地方や北陸地方にある合わせて30の線区です。

30の区間は以下のとおりです。

▽小浜線の敦賀から東舞鶴
▽九頭竜線の越前花堂から九頭竜湖
▽大糸線の南小谷から糸魚川
▽山陰線の
 城崎温泉から浜坂
 浜坂から鳥取
 出雲市から益田
 益田から長門市
 長門市から小串と仙崎
▽関西線の亀山から加茂
▽紀勢線の新宮から白浜
▽加古川線の西脇市から谷川
▽姫新線の
 播磨新宮から上月
 上月から津山
 津山から中国勝山
 中国勝山から新見
▽播但線の和田山から寺前
▽芸備線の
 備中神代から東城
 東城から備後落合
 備後落合から備後庄原
 備後庄原から三次
 三次から下深川
▽福塩線の府中から塩町
▽因美線の東津山から智頭
▽木次線の宍道から出雲横田
 出雲横田から備後落合
▽岩徳線の岩国から櫛ヶ浜
▽山口線の
 宮野から津和野
 津和野から益田
▽小野田線の小野田から居能
▽美祢線の厚狭から長門市の合わせて30の線区です。