オミクロン 症状 後遺症は ピークは わかってきたこと【2/16】

急拡大してきた新型コロナウイルスの新規感染者数は全国的に減少し始めてきています。

ただ、減少のスピードは鈍く、重症者数や死亡者数は増える傾向が続いています。

オミクロン株の症状、後遺症は。
そして専門家からも聞こえ始めた「感染がピークアウトした」との指摘は。

わかってきたことをまとめました。

(2022年2月16日現在)

デルタ株の半分の期間で2倍以上の感染者数

オミクロン株による感染拡大の第6波で、新規感染者数の増加は1か月余りにわたって続いてきました。

感染者数は、デルタ株が広がった2021年夏の感染の第5波でも、7月から9月までの3か月間で90万人ほどでした。

第6波では、ことしに入ってからの1か月半で230万人を超えました。

デルタ株の時期の半分の期間で2倍以上の感染者数と、格段に大きな感染拡大になっています。

それが、2022年2月中旬になって、報告される感染者数が減少する傾向が見え始めました。
2月15日の時点で、前の週と比較した全国の1週間の新規感染者数は0.90倍となり、専門家からは「感染はピークを越えた」という指摘も出始めました。

日本国内でもっと早く感染が拡大した沖縄県では、1月18日に1週間平均の感染者数がおよそ1440人と最も多くなったあと、減少に転じました。

しかし、2月15日でもおよそ560人となっています。

1月前半の2週間では、感染者数が一気に40倍になるという急拡大でしたが、その後の1か月でピーク時の半分以下にはなったものの、減少に向かうスピードは緩やかになっています。

日本より先に感染が拡大した海外の傾向を見ると、イギリスでは、1週間の新規感染者数が、1月10日前後に100万人を超えたあと、1月18日までの1週間ではおよそ67万4000人と、前の週と比べておよそ40%減少しました。

その後、2週間ほど横ばいが続きましたが、2月15日までの1週間では36万8000人余りと再び減少しています。
アメリカでは、CDC=疾病対策センターによりますと、1月10日に1日の新規感染者数が130万人を超え、1週間平均で80万人を超えました。

その後、次第に減少傾向となり、2月14日の時点では1週間平均の新規感染者数が14万6000人余りと、減ってきています。

海外では、ワクチンの追加接種の接種率がイギリスでは55.5%、アメリカでは27.7%あり、さらに感染拡大の規模が日本よりも大きく、免疫のある人が多くなっていることも、感染が急速に減ってきた背景にあるのではないかと考えられています。
(データはOur World in Data 2月14日時点)

死亡者数は第5波上回るおそれ

国内での感染者数は、オミクロン株が広がった2022年1月から2月15日までの1か月半でおよそ233万7000人にのぼります。

この間、2367人が亡くなっていて、致死率はおよそ0.10%となっています。

重症化しにくいとされてきたオミクロン株ですが、感染規模があまりにも大きいため、重症者数や死亡者数も多くなっています。

1日に報告される亡くなった人の数は、3週間前の2022年1月26日には34人でしたが、2月4日には103人と100人を超え、2月8日は159人、2月15日には236人と過去最多を更新しています。

デルタ株が広がった時期で最も多かった2021年9月8日の89人よりも多い状態が続いています。

これまでの感染拡大では、感染者数のピークからおよそ2週間遅れて重症者数、その後、死亡者数がピークとなっています。

デルタ株の時期では、去年8月から10月の3か月間に3073人が亡くなっていて、オミクロン株が主体の第6波で上回るおそれもあります。

国内では、デルタ株が広がった去年夏の第5波は、ワクチンの接種が進んだタイミングだったため、ワクチンによって多くの高齢者の死亡を防ぐことができたとされています。

2回のワクチン接種で一定程度は重症化を防ぐ効果があるとはいえ、接種から時間がたって効果が下がってきたところにオミクロン株の感染が高齢者にも拡大し、重症化する人も増えていると考えられています。
病床の使用率は日に日に上がってきていて、2月15日時点で、大阪府では84.3%、東京都では58.8%などとなっています。

沖縄県では48%で少しずつ減少しています。

さらに、新型コロナウイルス以外の救急患者の搬送が難しくなるケースも出ていて、総務省消防庁のまとめによりますと、患者の搬送先が決まるまでに病院への照会が4回以上など「搬送が困難な事例」の数は、2月13日までの1週間で5740件で、5週連続で過去最多を更新しています。
アメリカでは、CDCのデータによりますと、報告が少なくなる週末を除き、1日に報告される死亡者数が2000人を超える日が続いています。

CDCは、オミクロン株では重症度は低いものの、入院患者などが多くなっていて、医療体制に負荷がかかり、死亡者数も相当な数になっているとしています。

イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するウェブサイト、「アワ・ワールド・イン・データ(Our World In Data)」によりますと、1日当たりの死亡者数は、2月14日までの1週間には
▽アメリカで2300人余り、
▽フランスで320人余り、
▽日本で150人余りなどとなっています。

デルタ株の時期では、
▽アメリカでは2021年9月下旬のおよそ2000人、
▽フランスでは8月下旬のおよそ110人がピークで、現在は当時の水準を超えています。

行動制限の緩和に踏み切ったデンマークは、人口はおよそ581万人と兵庫県とほぼ同じ規模ですが、1日に報告される死亡者数は2月14日で41人で、これまでデンマークで最も多かった2021年1月の水準に並んでいます。

どんな人が重症化?

重症化している人は高齢者や、基礎疾患のある人が多いとされています。

厚生労働省の専門家会合に出された資料によりますと、2022年1月1日から20日までに、肺炎が悪化して酸素投与が必要な「中等症2」以上になった割合は、重症化のリスク因子がない人では0.09%でしたが、リスク因子がある人では1.22%と13倍以上になっていました。

リスク因子として挙げられているのは、「慢性閉塞性肺疾患」、「糖尿病」、「脂質異常症」、「高血圧症」、「慢性腎臓病」、「がん」、「肥満」、「喫煙」で、中等症2以上になった割合は
▽リスク因子が1つだと0.81%、
▽2つだと2.13%、
▽3つだと3.63%、
▽4つ以上だと4.70%と高くなっていました。

また、年齢別にみると、
▽リスク因子が1つでもある人で40歳未満では、0.155%、
▽40代では0.37%、
▽50歳から64歳では0.61%、
▽65歳以上だと4.43%と、年齢が上がるほど高くなっていました。

ワクチン追加接種で入院リスク大幅↓

ワクチンの追加接種の効果について、新たなデータがCDCから発表されました。

CDCは、2021年8月下旬から2022年1月下旬までにアメリカ各地にある病院で救急の外来を訪れた患者およそ24万人と、入院した患者およそ9万3000人のデータをもとに、18歳以上についてワクチンの効果を分析した結果を2月11日付けの週報に発表しました。
それによりますと、ワクチンを打っていない人と比較して、ファイザーやモデルナの「mRNAワクチン」で入院を防ぐ効果は、デルタ株の時期には、3回目の追加接種のあと、2か月までだと96%、4か月以上たっても76%ありました。

これがオミクロン株の時期には、2回目の接種から2か月までだと入院を防ぐ効果は71%、5か月以上たつと54%となっていましたが、3回目の接種を行うとオミクロン株に対しても入院を防ぐ効果は上がり、接種から2か月以内だと91%、4か月から5か月でも78%になっていました。

CDCは、3回目の接種が重要で、未接種者はできるだけ早くワクチンを接種する必要があるとしています。

上気道の炎症起こしやすくせきやのど 鼻の症状も

オミクロン株について、WHO=世界保健機関は、鼻やのどといった上気道の炎症を引き起こしやすいものの、多くの人にとっては、肺まで達して重症化するリスクはほかの変異ウイルスより低いとしています。

国立感染症研究所は1月24日時点で、新型コロナウイルスの感染者情報を集約するシステム「HER-SYS」に登録された3600人余りのデータを出しています。

届け出の時点でオミクロン株でみられる症状は
▽発熱が66.6%、
▽せきが41.6%、
▽全身のけん怠感が22.5%、
▽頭痛が21.1%、
▽せき以外の呼吸器症状が12.9%、
▽吐き気やおう吐が2.7%、
▽下痢が2.3%などとなっています。

これまで、新型コロナウイルスで特徴的にみられた嗅覚障害や味覚障害を訴えた人は0.8%でした。

このほかの国内や海外の調査でも、せきやのどの痛み、鼻水や鼻づまりの症状が見られていて、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、花粉症の症状と紛らわしいとして、毎年花粉症で悩まされている人は、症状が出る前に早めに医療機関を受診しておくよう呼びかけています。

感染 子どもと高齢者が増加

オミクロン株では、子どもと高齢者の感染が多くなっています。

厚生労働省のウェブサイトによりますと、10歳未満の新規感染者数は、
▽2021年12月28日までの1週間では149人でしたが、
▽2022年1月4日まででは353人、
▽1月11日まででは2238人、
▽1月18日まででは1万2947人、
▽1月25日まででは4万1863人、
▽2月1日まででは6万7564人、
▽2月8日まででは7万6856人と増加が続いています。

アメリカでは、2022年に入ってから、およそ450万人の子どもの感染が確認されています。

2月10日までの1週間の子どもの新規感染者数はおよそ30万人で、ピークだった1月20日までの1週間のおよそ115万人からは大きく減少しました。

それでも、デルタ株の時期よりも多いということです。

アメリカ小児科学会は、子どもで症状が重くなり入院に至る率は0.1から1.5%、死亡率は0から0.01%だと報告しています。
また、高齢者の感染者数も増加しています。

60代以上の感染者数は、
▽2021年12月28日までの1週間では379人でしたが、
▽2022年1月4日まででは513人、
▽1月11日まででは3685人、
▽1月18日まででは1万3867人、
▽1月25日まででは3万5500人、
▽2月1日まででは6万0732人、
▽2月8日まででは7万5969人となっています。

亡くなる人は圧倒的に高齢者が多く、厚生労働省のまとめでは、1月5日から2月8日までのおよそ1か月で亡くなった817人のうち、
▽90代以上が34.4%、
▽80代が36.6%、
▽70代が19.6%、
▽60代が4.0%で、
▽60代以上が94.6%を占めています。

政府分科会の尾身茂会長は2月10日、「オミクロン株では、感染の場は飲食店だけでなく家庭や職場などにも多様化している。感染者の年代は10代以下と高齢者に二極化していて、一部の人は重症化している。メリハリをつけて重症化するリスクのある人に重点を置く医療・保健体制が必要で、感染対策も飲食店だけでは意味がなく、幅広い対策にシフトする必要がある」と述べました。

オミクロン株の後遺症 検証はこれから

オミクロン株に感染したあと、後遺症がどの程度出るのかについてはまだ分かっていません。

「Long COVID」と呼ばれる新型コロナウイルスの後遺症について、WHOは「発症から3か月後から始まり、少なくとも2か月は続く症状」としています。

従来の新型コロナウイルスでは、感染を経験した10%から20%ほどで、けん怠感や息切れ、認知機能障害などの後遺症がみられ、「一般的に日常生活に影響を及ぼす」としています。

また、「感染初期の重症度と、その後に後遺症が現れるかどうかに関連はないようだ」としています。

オミクロン株が南アフリカで初めて報告されてから、まだ3か月ほどしかたっておらず、後遺症の研究はこれからです。

海外でも関心が高まっていて、検証が進むとみられます。

「BA.2」でわかってきたこと

オミクロン株の系統の1つで「BA.2」と呼ばれる変異ウイルスは、国内でも、検疫だけでなく市中で報告され始めています。

ただ、国立感染症研究所が厚生労働省の専門家会合に2月15日に示した資料によりますと、2月第1週の時点で、「持続的な置き換わりは観察されていない」としています。

世界中で感染が広がっているオミクロン株「BA.1」は、ウイルスの表面にある突起部分「スパイクたんぱく質」の一部に欠けている部分がありますが、「BA.2」ではこの欠けている部分がないことが分かっています。

海外の一部で行われている検査方法ではオミクロン株を検出できないことがあり、「ステルス・オミクロン」と呼ばれることもありますが、日本では別の方法で調べていて検出できるため、この呼び方は当たらないとされています。
「BA.2」は感染力がさらに高いとみられています。

デンマークの保健当局のもとにある研究所によりますと、「BA.2」は、2021年の年末の1週間ではデンマーク国内で検出される新型コロナウイルスの20%ほどだったのが、2022年1月中旬から下旬の1週間では66%ほどになったとしています。

イギリスの保健当局によりますと、イギリスでも「BA.2」とみられる変異ウイルスは、2022年1月24日は5.1%だったのが、2月6日には18.7%になったとしています。

この間、「BA.1」は1月24日の94.9%から、2月6日には81.3%と割合が下っています。

感染した人1人が発症し、次に感染した人が発症するまでの間隔、「発症間隔」は、デルタ株では平均4.09日だったのが、オミクロン株の「BA.1」では平均3.72日、「BA.2」では平均3.27日と「BA.1」より半日程度短くなっていて、感染拡大スピードが速いことに関わっている可能性があるとしています。

その一方で、データはまだ限られているとしながらも、「BA.1」に感染したあと、「BA.2」に再感染したケースは報告されていないとしています。

専門家は、「BA.2」の影響で、感染がなかなか減っていかないおそれもあるとしています。

WHOによりますと、「BA.2」による重症化リスクは、「BA.1」より上がっているとする根拠はないとしています。

また、ワクチンの効果について、イギリスの保健当局は、ワクチンで発症を防ぐ効果は、2回接種から25週以上、およそ半年以上たったあとでは「BA.1」では9%だったのが、「BA.2」では13%、3回目の追加接種から2週間たった後では「BA.1」の63%に対し、「BA.2」では70%で、ワクチンの効果に違いはなかったとしています。

これまでの変異ウイルスとの比較

感染力や病原性など、いま分かっていることをWHOや国立感染症研究所、各国の公的機関などの情報をもとに、ほかの「懸念される変異株=VOC」と比較する形でまとめました。

▼感染力

WHOの週報では、オミクロン株はこれまでの変異ウイルスよりも感染が拡大しやすくなっているとしています。

▼病原性

オミクロン株では、入院に至るリスクや重症化リスクがデルタ株に比べて低いとされています。

ただ、感染拡大の規模が大きく、入院者数や重症化する人も増えていて医療機関への負荷は大きくなっています。

▼再感染のリスク

WHOは、オミクロン株ではワクチンや過去の感染によって免疫を持つ人でも再感染しやすくなる変異があるとしています。

イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンは、オミクロン株の再感染のリスクは、デルタ株に比べて5.41倍と高くなっているとする報告を出しています。

▼ワクチンの効果(ファイザー・モデルナのmRNAワクチン)

イギリスの保健当局のデータでは、オミクロン株に対しては、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンで、2回の接種から20週を超えると10%程度に下がっていましたが、ファイザーかモデルナの追加接種をすると、2週間から4週間後には発症を防ぐ効果は65%~75%に上がりました。

重症化して入院するリスクを下げる効果は、発症を防ぐ効果より高くなっています。
ファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンを接種した人で分析すると、入院に至るのを防ぐ効果は、2回の接種後2週間から24週間では72%、25週を超えても52%、3回目の追加接種をしたあと、2週以降だと88%となっていました。

▼治療薬の効果

重症化を防ぐために感染した初期に投与される「抗体カクテル療法」は、効果が低下するとされ、厚生労働省はオミクロン株では投与を推奨しないとしています。

一方で、軽症患者用の飲み薬「ラゲブリオ(一般名モルヌピラビル)」や、新たに承認された「パキロビッドパック(一般名ニルマトレビル/リトナビル)」、それに軽症から重症の患者まで投与される「レムデシビル」など、ウイルスの増殖を防ぐ仕組みの飲み薬には影響が出ないと考えられています。

また、WHOは、重症患者に使われる免疫の過剰反応を防ぐ薬やステロイド剤は、引き続き効果が期待されるとしています。

専門家は

厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「拡大傾向はいま落ち着きつつあるが、多くの地域で高止まりしていて、本当に減少局面に入るかどうかもう少し注視が必要だ。オミクロン株でも、特に75歳以上の高齢者では、感染すると重症化し、亡くなる人も増えてきている。高齢者施設での感染が依然として多いので、こうした場所で3回目のワクチン接種をどれくらい速く行えるかも今後の重要なポイントだ」と話しています。

また、厚生労働省クラスター対策班参与で、数理モデルに詳しい古瀬祐気医師は「感染状況はピークが見えてきたところかなと思っている。通常の医療が提供できなくなってきたところが出始めたことに市民が気付き、いまは我慢するときだと行動を変えたことが背景にあるのではないか。ただ、3月には卒業や入学、入社や異動、歓送迎会など人との接触が多くなる季節がやってくるので、感染者数が減りきらないまま流行が長引いたり、すぐに第7波が始まったりする可能性もある。特に、まだ1回目、2回目のワクチンを打っていない人は、オミクロン株に感染しても良い免疫ができないと言われているので、いまからでも接種してほしい」と話しています。

対策は変わらない

どこで感染してもおかしくない状況が続く中、専門家は対策をより徹底するよう呼びかけています。

オミクロン株でも、感染経路はこれまでと変わらず、飛まつによる感染、「マイクロ飛まつ」や「エアロゾル」と呼ばれる密閉された室内を漂う、ごく小さな飛まつが主となっています。

ウイルスがついた手で鼻や口などを触ることによる接触感染もあります。

オミクロン株でも、飲食店での職場同僚との忘年会や、自宅での親族との会食など、飲食を通じた感染が見られたほか、職場での密な環境での作業を通じて感染するケースも報告されています。
政府分科会の尾身会長は、マスクを外した状況や「鼻マスク」など着用が不十分な状況での感染が思っていたよりもはるかに多いとして、不織布マスクで鼻までしっかり覆ってほしいと呼びかけています。

厚生労働省の専門家会合も、ワクチン接種に加えて、特に会話時などでのマスクの着用、消毒や手洗い、換気や密を避けるといった基本的な対策を続けるよう呼びかけています。