ウクライナ情勢 ロシア国防省 軍撤収発表も 欧米は慎重見極め

ロシア国防省はウクライナとの国境近くに展開していた軍の部隊が演習を終えて撤収を始めると発表しましたが、欧米各国は事態を慎重に見極める必要があるという姿勢を示していて、ウクライナ情勢が緊張緩和に向かうのかは、依然、不透明です。

ロシア国防省は15日ウクライナ東部との国境近くに展開していた西部と南部の軍管区の部隊が演習を終えて撤収を始めると発表しました。

また8年前に一方的に併合したウクライナ南部のクリミアでの演習を終えた部隊も撤収を始めたとして戦車などを列車に積み込む様子を公開しました。

一方、ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでの合同軍事演習や、黒海などでの演習は続いていると強調しました。

ロシア国防省の発表について、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は「これまでのところ現地では、緊張が緩和した様子はなく、ウクライナとの国境近くのロシア軍が縮小される兆しもない」と述べ事態を慎重に見極める必要があると強調しました。

また、フランスのアタル政府報道官は「事実であれば、緊張緩和に向けた前向きな兆しだ」と評価した一方で「私たちは非常に警戒している」とも述べ、ロシア軍の動きを注視しながら、外交による働きかけを続ける方針を示しました。

またイギリスのジョンソン首相が「さらに多くの部隊がウクライナとの国境に近づいているという情報もある」と述べ、楽観できないという見方を示すなど欧米各国はロシア軍の動向を慎重に見極める必要があるという姿勢を示していてウクライナ情勢が緊張緩和に向かうのかは、依然、不透明です。

ウクライナの外相「見たものを信じる」

ウクライナのクレバ外相は15日ツイッターに「ウクライナ国境からの一部部隊の撤収に関するロシアの声明について、私たちには、『聞いたことを信じるのではなく、見たものを信じる』というルールがある。この声明を受けて本当に撤収が行われれば、真の緊張緩和が始まったと信じることができるだろう」と投稿し、ロシアの出方を慎重に見極めていく姿勢を示しました。

ドイツのショルツ首相「よい兆し」

ロシア国防省の発表について、ドイツのショルツ首相は15日、プーチン大統領との会談後の共同会見で「よい兆しだ。さらに続くことを望んでいる」と評価しました。

そのうえで「持続的な安全保障はロシアと協力してこそ達成できる」と述べて事態打開に向けて外交努力を続ける考えを示しました。

キエフ市民からは懐疑的な声多く

ロシアがウクライナとの国境周辺に展開する軍の部隊の一部撤収を始めたと発表したことについてウクライナの首都キエフの市民の間からは、懐疑的な声が多く聞かれました。

このうち女性は「ロシアが軍を撤収させるという報道がありますが、確認できるまで信じません。ロシア軍の装備がなくなり、脅威がなくなったとはっきりするまでは安心できません」と話していました。

また、これから軍に志願して有事になれば戦うつもりだという若い男性は「もしかしたら撤収したとだましておいて、ウクライナから離れるのではなく、逆に近づいているのかもしれない」と話していました。

一方、別の女性は「ロシアは領土を奪い取ると人々を怖がらせ、かつてのようにウクライナをロシアに従わせようとしている」と話し、今後も軍事的な圧力をかけ続けるという見方を示していました。