衆院予算委公聴会 専門家がコロナの経済や雇用への影響で見解

衆議院予算委員会は、新年度予算案などについて専門家から意見を聞く中央公聴会を開き、午後は4人の専門家が、新型コロナウイルスによる経済や雇用への影響などについて意見を述べました。

このうち自民党が推薦した「日本総合研究所」の翁百合理事長は「日本経済はコロナで大きな影響を受けたが実はコロナ以前からも成長率が低く、賃金は他の先進国に比較しても横ばいの状況となっている。コロナ禍を社会の変革の機会ととらえて経済を立て直し、持続的な成長を実現することが重要で、賃金を引き上げながらコロナ禍で広がりかねない格差の問題にしっかり対応していく必要がある」と指摘しました。
立憲民主党が推薦した労働団体「連合」の石上千博副事務局長は、新型コロナの影響の長期化で雇用保険の財源不足が課題となっていることについて「政府による判断が労働者の雇用により大きく影響する今のような状況だからこそ、本来の国庫からの負担割合を維持することが重要だ。現場からは、雇用調整助成金などの制度が本当に重要だという切実な声も寄せられていて、財政基盤の確立を求めたい」と述べました。
公明党が推薦した大阪大学の大竹文雄特任教授は新型コロナで打撃を受けた経済や雇用への対策について「持続化給付金や雇用調整助成金などの効果で失業率の急上昇を防いでいることは評価できるが、過剰になっていないかチェックすべきだ。一時的なショックを防ぐために対策を行ったとしても、必要以上に倒産を防ぎ、非効率な企業の延命策になっていないかどうかという観点から見直しが必要だ」と述べました。
共産党が推薦した労働団体「全労連」の小畑雅子議長は、新型コロナの医療体制について「第6波で保健所や病院の体制が追いつかないほど感染が拡大し自宅療養者数は今月9日の時点で54万人を超えており、国民の命を守ることを最優先にする政策に転換する必要がある。医師、看護師、介護職員などを大幅に増員し、処遇を改善することで、あまりにもぜい弱な日本の医療、公衆衛生体制を抜本的に拡充していくことが必要だ」と述べました。