衆院予算委公聴会 専門家がコロナ対策やデジタル化で意見

衆議院予算委員会は、新年度予算案などについて専門家から意見を聞く中央公聴会を開き、15日午前中は4人の専門家が新型コロナウイルスへの対策や社会経済のデジタル化などについて意見を述べました。

自民党が推薦したマネックス証券の専門役員の大槻奈那氏は、このところの物価上昇が景気に与える影響について「日本のインフレ率は、今のところ穏やかだが、ウクライナ情勢の緊迫化で原油など資源価格も影響を受ける可能性がある。日本でも今後は消費者への価格転嫁は避けられず、個人の消費行動に影響を与える可能性があり、当面の課題となる」と述べました。
日本維新の会が推薦した政策コンサルティング会社「政策工房」の代表取締役を務める原英史氏は、今後の産業振興の在り方について「デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションが進んでいくが、これは『産業革命』だ。新しい社会構造にいち早く乗った企業や国が、その先の数十年、百年の覇権を握ると思う。従来の産業の枠にとらわれた産業振興では、日本は世界の成長に取り残され貧しい国に転落していきかねない」と指摘しました。
公明党が推薦した東京大学大学院の川口大司教授は、新型コロナの影響を受けた企業に対する政府の支援策について「コロナ前は健全だったが一時的に売り上げが減り、存続が難しくなっている企業を助けるというのが望ましい対応だが、経営状態がもともと悪い企業に支援が行われる傾向がある。こうした資金配分のゆがみが、コロナ後も長期にわたって日本経済の停滞をもたらしかねず、十分な警戒が必要だ」と指摘しました。
国民民主党が推薦した法政大学の小黒一正教授は、新型コロナ対策と財政運営について「新型コロナ問題を早急に解決することが重要で、財政が厳しい状況でも機動的な財政出動をするのは致し方ない。一方で、今の財政状況を考えると、平時と非常時の財政を切り分けるという意味で、東日本大震災のときのように新型コロナ対策特別会計を設置し、今後、債務を償還していくやり方も検討すべきではないか」と指摘しました。