宅配や通信大手など マイカーに“置き配”可能か 実証実験

不在時の荷物の配達場所を、これまでの玄関先などではなく、利用客の車の中に指定できるようにするための実証実験が行われています。配達員がスマホを使って一時的に車のロックを解除する仕組みで、安全性などを確かめたうえで実用化を目指すということです。

実証実験は、宅配大手のヤマト運輸と通信大手のKDDIなどが行い、トヨタ自動車も協力しています。
実験に参加する利用客の車には、スマホでロックの操作ができる専用の装置が取り付けられていて、利用客の要望を受けた配達員が荷物の伝票のバーコードをスマホで読み取り、ロックを解除する仕組みです。

ロックを解除できる時間は長くても10分に限られ、エンジンをかける操作はできません。

また配達員が荷物を置いたあと、車のロックをし直さずに立ち去ろうとすると、スマホの画面に注意を促すメッセージが表示されます。

再配達を避けるため、留守の家の玄関先などに荷物を置く「置き配」は年々増えていますが、盗難を防ぐことが課題で、実験を通じて安全性などを確かめたうえで実用化を目指すということです。

ヤマト運輸の担当者の森下雄也さんは、「鍵のかかる車内に荷物を置けるようになれば、お客様がより安心して『置き配』を指定できると思います」と話していました。

新型コロナで「置き配」需要高まる

新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控える傾向が強まり、ネット通販の利用が広がったことなどを背景に、昨年度(2020年度)の国内の宅配便の取り扱い個数は48億3600万個余りと、前の年度より11.9%増えました。

さらに宅配各社によりますと、接触を避けようという風潮もあって、配達員と対面せずに荷物を受け取ることができる「置き配」の需要が高まっているということです。

日本郵便は去年8月、ベンチャー企業と組んで、一戸建ての住宅だけでなくオートロックのマンションでも「置き配」ができないか検証する実証実験を行いました。

タブレット端末に担当の配達員の顔を事前に登録し、顔認証で一時的に入館できるようにして玄関先まで荷物を運びます。

配達員が勤務時間以外は、入館できないようにすることで、安全性を確保しているということです。

こうした「置き配」の増加は、再配達を減らすことにもつながるため、人手不足に悩むヤマト運輸や佐川急便など、ほかの宅配大手もオートロックマンションでの「置き配」の実証実験を行っています。