カーリング女子【詳細】日本 ROC戦 3点差を逆転し3連勝

北京オリンピックカーリング女子の日本代表、「ロコ・ソラーレ」は予選リーグの第4戦、ROC=ロシアオリンピック委員会と対戦し、一時は大きくリードされたものの3点を奪うビッグエンドを作るなどして10対5で逆転勝ちしました。日本はこれで予選リーグ3連勝です。

日本は序盤からアイスの状態をつかみきれずにミスショットが目立ち、第4エンドには相手に2点スチールされるなど苦しい展開が続きました。
しかし互いに声をかけあい、ゲームが進むにつれて少しずつショットの成功率が上がっていきました。そして2対5と3点を追いかける第7エンド、サードの吉田知那美選手がガードストーンを利用してハウスの中の相手のストーンをはじき出す「ランバック」を連続で決めるなど、正確なショットでチャンスを作りました。このあと相手のスキップのミスもあり、このエンドで3点を奪って5対5と追いつきました。
流れをつかんだ日本は第8、第9エンドに不利な先攻で得点を奪うスチールを連続で決め、最終第10エンドも3点を奪って10対5と逆転勝ちし、これで予選リーグ3連勝、通算成績を3勝1敗としました。

日本は14日に行われる予選リーグ第5戦で世界ランキング9位の中国と対戦します。

【試合詳細】

この試合も出場メンバーは「リード」の吉田夕梨花選手、「セカンド」の鈴木夕湖選手、「サード」の吉田知那美選手、そして「スキップ」の藤澤五月選手です。

試合開始 第1エンド 日本の先攻は4試合連続

ROC=ロシアオリンピック委員会との予選リーグ第4戦が始まりました。デンマークとの第3戦で、逆転勝ちを決めるすばらしいラストショットを決めた「スキップ」の藤澤五月選手は笑顔を見せていて、チームメイトとタッチを交わしていました。
日本は初戦から4試合連続で第1エンド、先攻となっています。

第1エンド 日本 0-1 ROC=ロシアオリンピック委員会(後攻)

両チームとも氷の状態を見極めるようなショットが続き、ハウスの中にはストーンがたまらない展開。しかしROCはスキップの選手の1投目が日本のストーンに当たらずに抜けてしまうミス。これに乗じて日本はスキップの藤澤選手が最後の1投で円の中心にぴったり寄せるドローショットを見せ、ナンバーワンとナンバーツーを日本のストーンにしました。
ROCはこのナンバーワンをはじいて1点を取るしかありませんでした。
日本の狙い通り、第2エンドは有利な後攻です。

第2エンド 日本(後攻)1-1 ROC

日本はサードの吉田知那美選手がガードストーンを利用してハウスの中の相手のストーンをはじき出す「ランバック」や相手のストーンに当てて自分のストーンを有利な位置に置く「ヒットアンドロール」などナイスショットを連続で決め、日本のストーンをハウスの中にためることで複数得点を狙いました。
ただ相手もきっちり日本のストーンをはじき出してROCのストーンを残し、日本の複数得点の可能性を消していきました。結局、スキップの藤澤選手は最後の1投でナンバーワンを取りにいくしかなくなり、第1エンドとは逆に1点を「取らされた」形になりました。
ここまで両者譲らず、同点で第3エンドを迎えます。

第3エンド 日本 1-2 ROC(後攻)

不利な先攻の日本、スキップの藤澤選手は最後の1投で相手のナンバーワンとナンバーツーをはじき出す「ダブルテイクアウト」を狙いました。しかしこれは成功せず、はじき出せたストーンは1つだけ。
日本がナンバーワンROCがナンバーツーという状況の中、ROCはラストショットで日本のナンバーワンをはじき出しにいきましたが、自分たちのストーンもハウスの外に出てしまいました。
日本は相手のミスに助けられ、奪われた得点は1点だけでした。有利な後攻で迎える第4エンド、日本は複数得点で逆転を狙います。

第4エンド 日本(後攻) 1-4 ROC

後攻で複数得点がほしい日本、しかしスキップ藤澤選手にまさかのミスが出ました。ナンバーワンとナンバーツーが相手のストーンという状況で最後の1投、ナンバーワンを取りに行きましたが、このショットがハウス手前の日本が置いたガードストーンに当たってしまい相手に2点のスチールを許す非常に痛い結果となりました。
日本は3点を追いかける苦しい展開となりました。

第5エンド 日本(後攻)2-4 ROC

少しでも点差を縮めて試合を折り返したい日本。最後の1投を残してナンバーワンとナンバーツーが相手のストーン、ナンバースリーとナンバーフォーが日本のストーンとなりました。
ここでスキップの藤澤選手は相手の2つのストーンをハウスの外にはじき出す「ダブルテイクアウト」で3点を取りにいきましたが、わずかに狙いがずれ、はじき出せたストーンは1つだけでした。日本は1点を獲得し、2点ビハインドで後半に入ります。

ハーフタイムで修正点を話し合い

日本は前半の5エンドを終えて2対4とリードされる苦しい展開です。
思った以上にストーンの滑りが悪いようで第5エンドの途中、日本の選手からは「氷が重い」という声があがりました。前半のショット成功率はROCの84%に対し日本は74%にとどまっています。
それでも第5エンド終了後のハーフタイムでは、ゼリーなどで栄養補給をしながら「ラインはいいからウエイトだけ合わせていこう」と笑顔も見せながら修正点を話し合っていました。第6エンドは日本の先攻から始まります。

第6エンド 日本 2-5 ROC(後攻)

不利な先攻で2点を追いかける日本。しかし焦ることなく、相手に1点を取らせる展開に持ち込みます。落ち着いたショットで相手のストーンを丁寧にはじき出し、慎重に試合を進めます。最後は相手にドローショットでナンバーワンを取らせ、狙い通りに相手の得点を1点に抑えました。
相手のリードは3点に広がりましたが、次の第7エンドは有利な後攻。複数得点を狙いにいきます。

第7エンド 日本(後攻) 5-5 ROC

日本の逆転勝利した前の試合の第10エンドに続き、3点以上をあげるビッグエンドがここでも出ました。
このエンドは、サードの吉田知那美選手がガードストーンを利用してハウスの中の相手のストーンをはじき出す「ランバック」を連続で決め、ハウスの中に日本のストーンをためていきました。さらに相手のスキップは最後の1投を手前のガードストーンに当ててしまうミスをして、日本のストーンをはじき出せませんでした。
ハウス内の3つのストーンのうちナンバーワンとツーが日本のストーンの状況で、藤澤選手が最後の1投、大きく回り込むドローショットをナンバーツーの内側に置いて3点を獲得。日本がスキップの見事な1投で同点に追いつきました。

第8エンド 日本 6-5 ROC(後攻)

日本がこの試合初めてリードを奪いました。不利な先攻の日本はこのエンドも相手の得点を1点に抑えにいく作戦。日本が相手のストーンをしっかりとはじき出し、ナンバーワンからフォーまでが日本のストーンという状況でROCが最後の1投を迎えました。
しかし、ROCのスキップのショットは日本のナンバーワンをはじき出したものの自分のストーンを中心付近にとどめることができませんでした。相手のミスショットに助けられ、日本はスチールに成功。1点リードで残り2エンドです。

第9エンド 日本 7-5 ROC(後攻)

1点リードで迎えた第9エンド。先攻の日本は4投を残して1試合で一度しか使えないタイムアウトを取りました。ハウスの中に日本と相手のストーンが2個ずつという状況でコーチを交えて話し合い、1時の方向にある相手のストーンのうしろに隠れるようにストーンを置く作戦に決まりました。
この直後サードの吉田知那美選手が投じたドローショットは狙いには届かなかったものの、ナンバーツーを取りました。
ROCは最後の1投、ナンバーワンとスリーが日本のストーンという状況でその2つをはじき出す難しいショットを選択しましたが、ガードストーンに当たってしまい、日本が連続スチールに成功しました。日本は2点リード、先攻で最終第10エンドを迎えます。
相手のスキップのショット成功率は第9エンドまでで65%にとどまっていて、思うようにコントロールできていない状況がうかがえます。

第10エンド 日本 10-5 ROC

最終第10エンドをリードして迎えた日本はサードの吉田知那美選手とスキップの藤澤選手がガードストーンをぎりぎりでかわす絶妙なテイクアウトショットを相次いで決め、ハウスの中にある相手のストーンを丁寧に減らしていきました。

相手もなんとか複数得点を取ろうと最後までギブアップはしませんでしたがナンバーワンを取ることはできず、日本がスチールでこの試合2回目のビッグエンドとなる3点を獲得しました。
日本は10対5で勝ち、3連勝で予選リーグの通算成績を3勝1敗としました。

各選手談話 藤澤「きょうのアイスがこれまでで一番難しかった」

スキップの藤澤五月選手は「きょうのアイスがこれまでで一番難しかったがしっかりと攻略できるようにみんなで試行錯誤しながらプレーできて、勝つことができてよかった。セカンドの鈴木選手のショット率がよくなかったがそれがあったからこそサードやスキップのショットがつながって決めることができた。何よりも私以外の3人がたくさんスイープしてくれてショットを決めさせてくれたのでチーム全員で勝ち取った勝利だと思います」とチームの力を強調しました。

そのうえで「あすは試合がないのでリラックスしたりメンバーと話し合ったりしながらあさってからの連戦に向けてしっかり準備したい」と話していました。
リードの吉田夕梨花選手は「相手に勝ったというよりはアイスに勝つことができた。今までで一番難しいアイスに直面して3点を追いかける状況まで追い詰められたが、チーム全員で協力して最後勝ち切れたことがよかった」と目を潤ませながら話していました。

この試合、ショットの成功率が66%と苦しんだセカンドの鈴木夕湖選手は「ショットが決まらなくて本当につらかったが、助けてくれたみんなに感謝したい」と話していました。
終盤、ナイスショットを連続で決めたサードの吉田知那美選手は「これほどつかみどころのないアイスで試合をするのは久しぶりだった。気合いでこのアイスをコントロールするしかないと思い、その気合いで押し切ることができた」とほっとした表情で勝利をかみしめていました。

【記者の目】難解なアイスを攻略 逆転を引き寄せた「チーム力」

「(相手に)勝ったというよりは、最後、アイスに勝った」
試合後のインタビューで真っ先に答えた吉田夕梨花選手の言葉がこの試合を象徴していました。
今大会では初めてとなった夜の試合。日本は序盤からアイスの状態をつかみきれず、細かいミスが相次ぎました。前半のショット成功率はROCの84%に対して日本が74%。第4エンドにはスキップ・藤澤選手が円の中心を狙ったショットを手前のストーンに当ててしまうまさかのミスで2点をスチールされました。

それほどまでに苦しんだアイスを攻略したのは、日本の最大の強みである「チーム力」でした。これまでの試合と同じくお互いに声をかけ、気がついたことはすぐに共有し、修正していきました。
ハーフタイムでは「ラインはいいからウエイト(スピード)だけ合わせていこう」と意思統一するなど、まずはできることをしっかりするという意識を共有していました。

特にセカンドの鈴木選手はショット成功率が66%と最も低く、苦しみましたが、その失敗をほかのメンバーは無駄にしなかったといいます。

藤澤選手は「アイスを攻略できるようにみんなで試行錯誤した。鈴木選手のショット率がそんなによくなかったが、それがあったからこそ吉田知那美選手や私のショットにつながった」と振り返りました。
そして迎えた第7エンド、サードの吉田知那美選手が逆転のきっかけとなるショットを見せます。円の手前にあるガードストーンに当ててハウスの中の相手のストーンをはじき出す「ランバック」を連続で決め、ハウスの中に日本のストーンをためていきました。
このショットのあとに相手のミスも重なり、最後はスキップの藤澤選手が左右に広がったガードストーンをかわしてしっかりドローショットを決め、3点を獲得するビッグエンドを作ったのです。
これで流れを引き寄せた日本は第8、第9エンドでも立て続けにスチールを決め、そのまま勝利をつかみ取りました。

「本当にチーム全員で勝ち取った勝利だと思います」
日本はこれで予選リーグ3勝1敗。

予選リーグは残り5試合。楽な試合は1つとしてありませんが、勝利を重ねるごとにチームはより強さを増しているように思えます。