将棋 藤井聡太四冠 最年少で「五冠」に 28年5か月ぶり記録更新

将棋の八大タイトルの1つ、「王将戦」で挑戦者の藤井聡太四冠(19)が渡辺明三冠(37)に4連勝して5つめのタイトルを獲得し、羽生善治九段(51)が持つ最年少記録を28年5か月ぶりに更新する「19歳6か月」で「五冠」を達成しました。

将棋の八大タイトルの1つ、「王将戦」七番勝負はここまで、挑戦者の藤井四冠がタイトル保持者の渡辺三冠に3連勝し、タイトル獲得に王手をかけていました。

第4局は東京 立川市で行われ、対局序盤は速いテンポで進みましたが、60手を超えて以降は互いに長考しながら一手を繰り出し、終盤まで激しい攻防を繰り広げました。

そして、12日午後6時23分、藤井四冠が、114手までで渡辺三冠を投了に追い込み、無傷の4連勝で「王将」のタイトルを奪取しました。

この結果「棋聖」「王位」「叡王」「竜王」に続く5つめのタイトル獲得となり「19歳6か月」で五冠を達成。
羽生善治九段が持つ最年少記録、「22歳10か月」を28年5か月ぶりに塗り替えました。

藤井聡太さん「“五冠”に見合う実力をつけていければ」

対局後、藤井さんは「まだ実感がないが『王将』は歴史のあるタイトルなので獲得できてうれしい。“五冠”達成についても、自分の実力を考えるとできすぎの結果なので、今後はそれに見合う実力をつけていければいいと思う」と話していました。

渡辺明さん「封じ手まではまずまず、その後、間違えた」

一方、タイトルを奪われた渡辺さんは「封じ手まではまずまずの展開かと思っていたが、その後、間違えてしまった。ストレートで負けてしまい、なんとかしたかった」と話していました。

10代での「五冠」は史上初

日本将棋連盟によりますと、将棋界で「五冠」を達成したのは藤井さんが4人目ですが、10代での「五冠」は史上初めてです。

五冠達成の最も古い記録は、タイトルが全部で5つだった1963年、大山康晴さんの全冠制覇によるものです。
続いて、全タイトルが6つだった1978年に中原誠さんが達成しています。
現役棋士では、1993年に羽生善治さんが記録していて、いずれも時代を代表するトップ棋士が成し遂げています。

また、「五冠」達成の最年少記録は、これまでは羽生さんの「22歳10か月」でしたが、藤井さんはこれを「3年4か月」も更新する「19歳6か月」で成し遂げました。

さらに、10代での「五冠」達成は史上初めてで、初タイトルから「五冠」達成までの最年少記録をすべて塗り替えたことになります。

史上最年少で「五冠」達成 将棋界から祝福の声

藤井聡太さんが、史上最年少で「五冠」を達成したことについて、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段は「このたびは初の王将位獲得、史上最年少の五冠達成、誠におめでとうございます。紙一重の戦いが続く中での偉業は見事という他ありません。ますますのご活躍を祈念いたします」と祝福しています。

これまで「五冠」の最年少記録を保持してきた羽生善治九段は「19歳での五冠達成は驚嘆すべき大記録です。一方で昨今の内容の充実ぶりを考えると不思議ではないとも思います。今回の王将戦のシリーズは激戦の対局が続きましたが、その中で藤井さんの紙一重の強さが光りました」とたたえました。

同じく1978年に「五冠」を達成した中原誠十六世名人は「藤井さんの五冠獲得で将棋界の大きなうねりを強く感じます」とコメントしています。

地元ではくす玉を割って祝福「瀬戸の大スター」

地元の愛知県瀬戸市ではファンたちがくす玉を割って祝いました。

愛知県瀬戸市の「せと銀座通り商店街」では、シャッターを将棋盤に見立てて対局をリアルタイムで再現する“シャッター大盤”が用意され、ファンたちが対局を見守りました。

午後6時20分すぎ、藤井さんの勝利が決まると大きな歓声が上がり、くす玉を割って藤井さんの最年少記録を更新しての五冠達成を祝いました。

地元の50代の男性は「日本中に誇れる瀬戸の大スターだと思います。六冠、七冠とタイトルを増やしてほしい」と話していました。

また地元の30代の女性は「私がつらい時、藤井さんの頑張っている姿に後押しされています。これから先もずっと応援していきたいです」と話していました。

残る三冠と待ち受ける防衛戦

将棋界には現在、タイトル戦が8つあります。

藤井聡太さんはこれまで「棋聖」「王位」「叡王」「竜王」を順に獲得し、今回、5つめとなる「王将」を手にしました。
残るタイトルは「名人」「王座」「棋王」の3つです。

このうち「名人」のタイトルは現在、渡辺明さんが保持しています。
名人に挑戦するためには、棋士のランクで最も上位の「A級」に昇級し在籍する10人の棋士による総当たり戦「順位戦」で、トップになることが条件です。

藤井さんは現在、上から2番目の「B級1組」で、来月の対局の結果次第で「A級」に昇級する可能性があり「名人」への挑戦も射程圏内に入ってきます。

「王座」のタイトルは、永瀬拓矢さんが保持しています。
藤井さんが挑戦者を決めるトーナメントを勝ち抜けば、ことしの秋に行われる予定の「王座戦」に挑戦できます。

「棋王」のタイトルは渡辺明さんが持っていて、今月から挑戦権を獲得した永瀬拓矢さんとのタイトル戦が始まっています。
藤井さんが挑戦できるのは、最速でも来年の「棋王戦」です。

一方で、藤井さんが六冠以上を目指すには、ことし開催予定となっている「王将」を除く4つのタイトルで防衛戦を勝ち抜くことも求められます。