カーリング女子【詳細】日本 最終エンドで3点奪い大逆転勝利

北京オリンピックカーリング女子の日本代表、「ロコ・ソラーレ」は予選リーグの第3戦、デンマークと対戦し、最終第10エンドで3点を奪って逆転して8対7で2勝目をあげました。

試合は序盤から一進一退の攻防が続きましたが同点で迎えた第7エンド、デンマークに2点を奪われるなど次第に苦しい展開となり、5対7と2点のリードを許して最終第10エンドを迎えました。
しかしその第10エンド、スキップの藤澤選手が最後の1投でナンバーワンとナンバースリーだった相手のストーンをいずれもはじき出し、自分のストーンはその場でとどめるショットを狙いどおりに決めました。
日本はこの1投で3点を奪い、8対7で逆転勝ちしました。

日本は2連勝とし、予選リーグの通算成績は2勝1敗となっています。

日本は日本時間の午後9時すぎから世界ランキング4位のROC=ロシアオリンピック委員会と対戦します。

※試合について分析した「記者の目」は【試合詳細】の下に掲載しています。

【試合詳細】

日本は第1戦、2戦と変わらず、「リード」の吉田夕梨花選手、「セカンド」の鈴木夕湖選手、「サード」の吉田知那美選手、そして「スキップ」の藤澤五月選手の布陣です。

試合開始 日本は初めて黒っぽいジャージ

日本時間午前10時5分ごろ、予選リーグ第3戦が始まりました。選手たちはいずれも笑顔を見せていてリラックスした様子がうかがえました。第1エンド、日本は先攻です。

ストーンのハンドル部分の色が明るい色=黄色の場合「“明るい色”のシャツやジャケット、セーター」を着用しなくてはいけません。同じように、ハンドル部分が暗い色=赤色の場合は「“暗い色”のシャツやジャケット、セーター」を着用しなければいけません。このため第3戦で赤の日本は黒っぽいジャージを着用しています。

第1エンド 日本 0-0 デンマーク(後攻)

日本は不利な先攻でのスタート。互いにストーンをはじき合う「テイクアウトゲーム」となり、円の中にストーンがほとんど残らない展開です。
結局、両チームに得点が入らないブランクエンドとなりました。第2エンドは再び日本が先攻です。

第2エンド 日本がスチール成功 日本 1-0 デンマーク(後攻)

先攻の日本はセカンドの鈴木選手やスキップの藤澤選手がハウス内の相手のストーンにぴたりとつける「フリーズショット」を成功させるなどねらいどおりのショットを連発。そして藤澤選手は最後の1投で日本のストーンを守る「ガードストーン」を正確なショットで置き、ナンバーワン、ナンバーツーとなっている日本のストーンをしっかりと隠しました。
デンマークのスキップは日本のナンバーツーをはじくしかなく、日本が1点を獲得。日本は不利な先攻で得点を奪う「スチール」に成功しました。

日本のショット成功率は100%です。一方のデンマークは全体のショット成功率は80%台ですが、細かいコントロールが要求されるドローショットは50%台となっています。

第3エンド 日本 1-2 デンマーク(後攻)

先攻の日本、スキップの藤澤選手は最後の1投で4時方向と9時方向にあったデンマークのナンバーワンとナンバーツーを同時にはじく難しい「ダブルテイクアウト」を狙いました。しかしこれは成功せず、1つしか石をはじくことができませんでした。
このあとデンマークのスキップはしっかりと円の中心にドローショットを決め、2点を獲得。日本が逆転されました。

第4エンド 今度は日本2点獲得 日本(後攻) 3-2 デンマーク

この試合初めて後攻の日本。スキップの藤澤選手がすばらしいショットを見せました。最後の1投、デンマークのナンバーワンをはじき、みずからのストーンは円の中心に寄せる「ヒットアンドロール」を決めて2点を獲得。
正確なコントロールに加え、狙いの場所に寄せたチームメイトのスイープも見事でした。メンバーは「ナイス!」と笑顔で声をかけていました。

第5エンド 点の取り合いに 日本 3-4 デンマーク(後攻)

日本の藤澤選手の最後の1投、相手のナンバーワンとナンバーツーをはじくダブルテイクアウトが理想でしたが、相手のストーンを1つだけはじき出すことを選択。日本のストーンはハウスの中に残りましたが、デンマークの最後のショットではじき出され、2点を返されました。一進一退の攻防が続き、試合は後半に入ります。

日本とデンマークともにショット成功率は90%と互角です。一方、序盤に成功率が低かったデンマークのドローショットは79%まで上昇してきました。

ハーフタイムで両チームとも栄養補給

日本がリードされて試合を折り返すのは今大会初めてです。第5エンド終了後のハーフタイム、恒例の「もぐもぐタイム」では日本の選手たちが円になってゼリーなどで栄養補給をしながらコーチの話に耳を傾けていました。選手たちの足もとにはどら焼きのほか、感染対策のためにつまようじで刺したバナナも置かれていました。
一方、リードしているデンマークの選手たちは談笑しながらリンゴやバナナを口にしていました。

第6エンド 日本 (後攻)4-4 デンマーク

日本は有利な後攻。最後の1投を残して日本がナンバーワン、相手がナンバーツーと円の中心付近にドローショットを決めれば2点を獲得できる場面でした。しかし、藤澤選手のショットはわずかに曲がりきらず、中心に寄せきれませんでした。
得点は1点にとどまり、同点で第7エンドは先攻となります。

第7エンド 日本 4-6 デンマーク (後攻)

同点で迎えたこのエンド、見どころは両チームの最後の1投でした。先攻の日本、藤澤選手の狙いは相手の3時方向のストーンとナンバーワンの両方をはじく「ダブルテイクアウト」。
しかしこれは成功せず、ナンバーワンのストーンが残りました。続くデンマークのスキップは最後のショットでわずかな隙間にねじ込むようにナンバーツーの位置に「ドローショット」を決めて2点を奪いました。
スキップの投げ合いはデンマークに軍配が上がり、日本が2点を追いかける展開で終盤戦に入ります。

第8エンド 日本(後攻)5-6 デンマーク

2点をリードされた日本。後攻で複数得点を狙いたいエンドでしたが、押し出しにくい位置に相手にナンバーワンを置かれ、スチールされる危険もありました。
しかし藤澤選手が最後のショットで相手のストーンに当てて跳ね返りを利用し、日本のストーンをナンバーワンの位置に押し出す難しいショットを決めました。
得点は1点にとどまりデンマークのリードは変わらないものの、スキップの1投がピンチを救いました。

第9エンド デンマークが1点追加 日本 5-7 デンマーク(後攻)

1点を追いかける日本。不利な先攻ながら、スチールを狙いたいエンドです。
しかしなかなかその形を作ることができず、デンマークの最後のショットで日本のストーンがはじき出されてナンバーワンを取られ、1点を追加されました。
日本は最終エンド、有利な後攻ですが2点を追いかける形になりました。

最終第10エンド 日本(後攻)8-7 デンマーク

2点リードされて迎えた最終第10エンド終盤。日本は5投を残して1試合で一度しか使えないタイムアウトを取りました。
日本はコーチを交えてチームで話し合い、6時の方向にある相手のストーンの前にフリーズさせるという作戦を立てました。この直後、セカンドの鈴木選手が投じたストーンは、狙いの相手ストーンにわずかに届かなかったものの、ナンバーワンを取りました。

その後ナンバーワンとスリーが相手のストーン、ナンバーツーとフォーが日本ストーンの状況、さらに持ち時間が残り4秒となる中で日本は藤澤選手が最後のショットでデンマークのストーンを2つはじき出したうえで、その場でとどめるショットを決めて3点を奪いました。日本は逆転勝ちで2連勝、今大会2勝1敗としました。

【記者の目】スキップの集中力が引き寄せた大逆転

なかなか流れをつかめない苦しい展開が続いた日本。
窮地を救ったのはスキップ藤澤選手の集中力でした。
<日本を苦しませた相手スキップ>
この試合、日本は終盤までデンマークのスキップ、マドレーヌ・ドゥポン選手の精度の高いショットに苦しめられました。
「どれだけよい形を作っても崩されて、我慢しないといけない展開が続いていた」
サードの吉田知那美選手の言葉通り、マドレーヌ・ドゥポン選手は要所要所でショットを正確に決め、日本に流れを渡しませんでした。

そして同点で迎えた第7エンド、マドレーヌ・ドゥポン選手が最後の1投でわずかな隙間にねじ込むように「ドローショット」を決め、日本は2点を奪われます。
この試合初めて2点ビハインドとなり、苦しくなった日本。
しかしこの状況でも藤澤選手の集中力は途切れませんでした。
<光った藤澤の集中力>
続く第8エンド、デンマークに押し出しにくい位置にナンバーワンを置かれ日本はスチールされる危険もあるピンチを迎えました。
ここで藤澤選手が見せた最後の1投は相手のストーンに当てて跳ね返りを利用し、日本のストーンをナンバーワンの位置に押し出すという絶妙なショット。
得点は1点止まりでしたがチームは崖っぷちで踏みとどまります。

そして最終第10エンド、2点を追いかける日本は2点以上、できれば3点がほしい場面。日本は最後の1投を残してナンバーワンとナンバースリーがデンマークのストーン(黄色)という状況でした。
ナンバーワンだけをはじき、2点を奪って延長に持ち込む選択もあります。
しかし藤澤選手の選択は相手のストーンを2つはじき出し、自分のストーン(赤色)をとどめて3点を奪いにいくという難しいショットでした。
ストーンから手を離した瞬間日本の持ち時間は残り4秒、藤澤選手はこのショットを見事に決め、逆転に成功しました。
(藤澤)「スキップのここぞという場面でのショットが試合を大きく左右する。ああいうショットを投げるのは大会前からイメージしていた」

司令塔としての強い覚悟が土壇場での集中力につながっていたのです。今後も厳しい戦いが続く予選リーグ。この逆転勝利は日本を勢いづける大きな1勝になりそうです。