ワリエワのドーピング疑いでITAが声明 “禁止薬物の陽性反応”

北京オリンピックに出場しているROC=ロシアオリンピック委員会のカミラ・ワリエワ選手にドーピング違反の疑いがあったと報じられている問題で、選手のドーピング検査を担うITA=国際テスト機関が声明を発表し、去年12月に行われた検査の結果、禁止薬物の陽性反応が出ていたことを明らかにしました。

これは今月8日、北京オリンピックのフィギュアスケート団体でメダルの授与式が行われなかったのは、金メダルを獲得したROCの15歳、カミラ・ワリエワ選手にドーピング違反の疑いがあったなどと報じられている問題です。

この問題について、大会のドーピング検査を担うITAが声明を発表し、詳しい経緯などを明らかにしました。

ITAによりますと、ワリエワ選手は去年12月にロシア国内の大会に参加した際のドーピング検査の結果、WADA=世界アンチドーピング機構が禁止薬物としている「トリメタジジン」について陽性反応が出たということです。

この検査結果は今月8日に検査機関から届いたとしています。

これを受けて、ロシアアンチドーピング機構が一時的な資格停止処分としましたが、その後、ワリエワ選手側からの抗議が認められ、処分は解除されたということです。

IOCはこの決定に対して不服申し立てをCAS=スポーツ仲裁裁判所に行う方針だということで、ITAがその手続きを代行するとしています。

ロシア五輪委「現時点では制約なく競技に参加できる」

これを受けて、ロシアオリンピック委員会は11日、声明を発表し、「現時点では制約なく競技に参加できる」と強調しました。

声明の中で、ロシアオリンピック委員会は「陽性反応が出たのは、去年12月25日に採取した検体で、オリンピックの期間には当たらない。オリンピックの最中ではドーピング検査で陰性となっている。CAS=スポーツ仲裁裁判所が特段の決定を下さないかぎり、現時点では、ワリエワ選手は制約なく競技やトレーニングに参加できる」と主張しました。

そのうえで団体での金メダルについて、「オリンピックでの検査で陽性となった訳ではないので、選手とチームが獲得した結果は、自動的に修正の対象となることはない。われわれは、チームが公正な競技で獲得した金メダルを守るために包括的な措置を講じている」とオリンピックの結果には影響しないとの認識を示しました。

世界最高得点の15歳 異名は“絶望”

フィギュアスケート、女子シングルのカミラ・ワリエワ選手はROC=ロシアオリンピック委員会の15歳です。
おととしの世界ジュニア選手権で優勝し、今シーズンからシニアに参戦しました。

フリーではトリプルアクセルに加え4回転ジャンプ3本を跳ぶ極めて難度の高いプログラムに挑んでいて、シニア転向1年目からグランプリシリーズ2つを含め、出場した国際大会すべてで優勝し、世界最高得点を次々と塗り替えました。

このうち、去年11月のグランプリシリーズ ロシア大会では、ショート、フリーともにすべての演技をほぼ完璧に決めて272.71をマークし、自身が持つ世界最高得点を更新して実力を示しました。

他を寄せつけない圧倒的な演技からロシアでは“絶望”という異名で呼ばれています。

今大会は、すでに団体に出場し、予選の女子シングルショートプログラムでは世界最高得点に迫る得点をマークするなど決勝のフリーとともにトップになる活躍を見せて、チームの金メダル獲得に貢献していました。
また、15日から始まる個人戦の女子シングルでは、同じくROCのアンナ・シェルバコワ選手、アレクサンドラ・トゥルソワ選手とともに表彰台独占を果たすかどうかも注目されています。

“トリメタジジン”とは

「トリメタジジン」は、血管拡張や血流促進作用のある禁止薬物で、一般的には狭心症など心臓の病気の治療に使用されています。

WADA=世界アンチドーピング機構が毎年改訂しているドーピング違反となる「禁止物質」を定めた禁止表では、2014年までは興奮薬に分類されていましたが、2015年からは代謝調節薬に分類されています。

WADAの規定では、禁止薬物については、選手が治療の目的で事前に使用申請し許可されていれば、薬を使用できる特例措置があります。

前回のピョンチャンオリンピックでは、ボブスレー女子2人乗りにロシアからOAR=個人資格で出場したナジェジダ・セルゲエワ選手が、「トリメタジジン」を使用するドーピングを行っていたとして失格処分となっています。

ロシア大統領府報道官「ある種の誤解だと確信」

これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は11日、記者団にコメントしました。

ペスコフ報道官は「ある種の誤解だと確信している。私たちの関係者たちは、ワリエワ選手が検査を受けたタイミングには疑問を持っているが、今はコメントしたくない。今後の手続きが終わるのを待つ」として、当面は経緯を見守る考えを示しました。

また、ペスコフ報道官は「私たちはどんな場合でもワリエワ選手を支持している。『カミラ!顔を隠さないで。堂々と歩いて、そしていちばん重要なのは、パフォーマンスを見せて勝ってください』。皆さんもこう彼女に呼びかけてほしい」と述べました。