“内密出産” 法令に抵触か 法務局「捜査機関が個別に判断」

熊本市の慈恵病院が独自に導入している「内密出産」で、赤ちゃんの出生届に親の名前を書かず、空欄のまま提出することが法令に抵触するかどうかについて、法務局は病院に対し「捜査機関が個別に判断するものだ」などと回答しました。このため病院は来週予定していた出生届の提出を見合わせ、市と対応を協議するとしています。

熊本市の慈恵病院は、予期せぬ妊娠をした女性の「孤立出産」を防ぐため、病院以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」を独自に導入しています。

病院は去年12月、内密出産を希望する10代の女性が出産した赤ちゃんの出生届を、親の名前を書かず空欄のまま提出することを検討しましたが、女性の身元を知りながら伏せて出生届を提出すると、公正証書原本不実記載の罪に問われるおそれがあるなどと熊本市に指摘されたため、法令に抵触するかどうか確認する質問状を熊本地方法務局に提出していました。

これについて法務局は10日、文書で病院に回答し、この中で犯罪に当たるかどうかは捜査機関が個別に判断するもので、回答はいたしかねるとしています。

そのうえで、出生届の提出がなくても市区町村長の職権で戸籍の記載ができるよう、少なくとも出生日と出生地の情報を市区町村長に提供するよう求めています。

慈恵病院の蓮田健院長は「市役所に聞いても法務省に聞いても、『次は警察です』と言われ、たらい回し感が否めず、正直疲れた。何よりも内密出産というセーフティーネットを守らないといけないので、今後、出生届を提出しないことで赤ちゃんに不利益がないか熊本市に確認したい」と述べ、来週14日に予定していた出生届の提出を見合わせ、市と対応を協議する考えを示しました。

松野官房長官「支援の充実に努めていく」

松野官房長官は午後の記者会見で「一般論として、子どもの出自を知る権利をどう考えるかや、未成年が内密出産を希望する場合の支援の在り方などの課題がある。政府としては、引き続き妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口の整備や、子どもを育てられない場合に利用できる特別養子縁組等の制度の周知など、予期せぬ妊娠をした妊産婦などへの支援の充実に努めていく」と述べました。