大阪 病床ひっ迫で自宅療養の感染者 症状悪化し救急搬送 増加

大阪では、新型コロナウイルスの感染拡大で病床がひっ迫する中、高齢者を中心に自宅で療養している感染者が早期に治療を受けられず、症状を悪化させて救急搬送されるケースが増えていて、医療現場からは、今後も増えるのではないかと懸念する声があがっています。

新型コロナの感染拡大が続き、大阪府では実際に埋まっている軽症・中等症患者用の病床の運用率は7日の時点で97.7%にのぼり、病床がひっ迫しています。

入院がしにくくなるなか、自宅療養者の往診を行っている大阪 生野区にある診療所の医師らでつくるチームには1月下旬から、これまでは入院できていた重症化リスクが高い高齢者からの要請が急増しているということです。

このうち、大阪市内に住む夫婦は70代の妻に基礎疾患があったことから、重症化予防の効果が期待される治療薬「ソトロビマブ」を投与しました。

一方、80代の夫は、往診の前日に家族が救急要請をしましたが、入院基準を満たさないとして搬送されなかったということです。

ただ、医師が訪れたときには発症3日目にかかわらず症状が進行して、すでに肺炎を起こしていて「中等症2」の状態だったということです。

症状が進行したため治療薬を使えず、医師は、すぐに入院の手配をしたものの調整に時間がかかり、半日を過ぎた夜中になって、ようやく救急搬送されたということです。

このチームでは一日に8件ほど往診をしていますが、自宅療養中に症状が悪化して救急搬送されるケースは一日に2件ほどと増えてきているということです。
往診を行っている※葛西医院の小林正宜院長は、すぐに医療に結び付かず重症化する患者が今後も増えるのではないかと懸念を示したうえで「早期に患者にアクセスし、治療薬を投与する必要がある。時間あるかぎり治療し、命を救う治療を続けていきたい」と話していました。

※「葛」は中が「ヒ」