フィギュア 鍵山優真 “理想の演技で勝利をつかみ取りたい”

北京オリンピック、フィギュアスケートの男子シングルは8日、前半のショートプログラムが行われ、自己ベストを更新する108.12をマークして日本勢トップの2位につけた鍵山優真選手は「自分の理想とする演技をしたうえで、勝利をつかみ取りたい」と勝利への強い意欲を示しました。

“精神面”の成長

オリンピック初出場の鍵山選手。
シニアデビューからわずか2シーズン目でメダル候補にあげられるまでになった要因の1つには、この1年での精神面の成長があげられます。

おととしの全日本選手権は羽生結弦選手と宇野昌磨選手に敗れ、3位に終わりました。象徴的だったのは大会後に行われた記者会見。
世界選手権に臨むうえでの目標やライバルを問われ、口ごもった末、明確な返答ができず、同席していた羽生選手から諭されました。
「怖くて。あのメンバーを前に正直なことばが言えなかった」

当時17歳の正直な思いでした。
そこから鍵山選手は飛躍を遂げます。
初出場の世界選手権で羽生選手を上回る銀メダルを獲得。
今シーズンは国際大会で連勝し、みずからもオリンピアンだった父でコーチの正和さんとともに新たな4回転ジャンプの習得に取り組むなど世界の頂点を見据えた練習に取り組むようになりました。
正和さんは鍵山選手のさらなる成長のために必要なことを次のように話していました。

「大事なのは3番手をねらわないこと。3番手をねらっていてはそこがてっぺんになる、そこは彼自身も分かっていることだと思います」
今大会に向けたインタビューで鍵山選手は、おととしとは異なる勝利への強い意欲を示していました。

「やっぱり勝ちたい。ただ勝ちたい、勝つのではなくて自分の理想とする演技をしたうえで、勝利をつかみ取りたい」
8日のショートプログラム。
鍵山選手は“笑顔”をテーマにした音楽にのって、表情豊かに滑り、最後までほぼミスのない演技で滑りきりました。

持ち味のジャンプに加えて表現力などを示す演技構成点でも出場選手中3位となる高得点を獲得。鍵山選手にとって表現力はトップ選手と差をつけられていた要素で課題の1つとしてきました。

おととしからは浅田真央さんらを指導した振り付け師のローリー・ニコルさんの指導を受けています。

当初は、ニコルさんが求める手足の先や表情まで意識する細かな振り付けについていけずにステップで転倒することもありましたが、カナダにいるニコルさんとリモートでつないで深夜から未明まで練習を重ねるなどして課題をクリアしていきました。

ニコルさんは鍵山選手の成長について「カメラを通しても彼のエネルギーを感じる。成長している姿を見るのがとても楽しみで、将来を想像するだけで鳥肌が立つくらいだ」と語っていました。

今シーズン、ショートプログラムの曲に選んだのは「When you’re smiling」。
“笑顔”をテーマにしたプログラムで鍵山選手は、技と技をつなぐ細かな動きや表現力豊かなステップ、それに笑顔で魅了。充実の表情でショートプログラムを締めくくりました。
「きょうは本当に自分の笑顔が出せました。とにかく1分1秒が貴重な瞬間なので全力で楽しみたい」

10日のフリーでは一転、古代ローマ帝国の剣闘士を描いた映画「グラディエーター」の曲を使った重厚感のあるプログラムを演じ、金メダルをねらうために取り組んできた新たな4回転ジャンプ、4回転ループを入れた高難度の構成に挑みます。

「ここに来てからずっと思っていることだが、1分1秒をむだにしたくない。最後まで全力で楽しみます」

大きな可能性を秘めた18歳が初出場の大会で一気にトップへと駆け上がるか、その演技から目が離せません。