指圧師 養成施設の設置規制 最高裁「憲法違反とはいえない」

視覚障害があるあん摩マッサージ指圧師を保護する法律の規定を理由に、視覚に障害がない人向けの養成施設の設置が認められなかったのは職業選択の自由を保障する憲法に違反すると大阪と福島県の学校法人が訴えた裁判で、最高裁判所は「憲法違反とはいえない」とする判決を言い渡しました。

大阪市と福島県郡山市の学校法人は、視覚障害がない人を対象としたあん摩マッサージ指圧師の養成施設を設置しようと国に申請しましたが視覚障害がある人を保護する法律の規定を理由に認められなかったため、「規定は職業選択の自由を保障した憲法に違反する」として国を訴えていました。

東京と大阪、仙台で行われた裁判で1審と2審はいずれも憲法に違反しないと訴えを退け、学校法人が上告していました。

7日の判決で最高裁判所第2小法廷の菅野博之裁判長は、「あん摩マッサージ指圧師は、従事できる職業が限られる視覚障害者にとって主要な職種の1つで、障害に適した職業に就く機会を保障することは、自立や社会経済活動への参加を促進するという積極的な意義も考えると、障害がない指圧師の増加を抑制しても不合理とはいえない」と指摘しました。

そのうえで、視覚障害がない人向けの施設について規定では規制の必要がある場合にかぎり設置申請を認めないことができるとされていて、既存の施設も10都府県に21あるなどとして「職業選択の自由に対する制限は限定的で、憲法には違反しない」と結論づけ、学校法人の上告を退けました。

学校法人理事長「この状態続けば職業なくなってしまう」

判決後の会見で大阪の学校法人「平成医療学園」の岸野雅方理事長は「残念ながら敗訴となったが、勝訴した国にとっても本当にこのままでいいのかと感じる。障害がない人以外を対象にした既存の養成施設もあるが数は限られている。視覚障害がある人でもあん摩マッサージ指圧師の職業を選択する人は減っていて、この状態が続けばマッサージという職業がなくなってしまうのではないか」と話しています。

厚生労働省「おおむね主張が認められた」

判決を受けて、厚生労働省医政局の太田富雄医事専門官は「おおむね国の主張が認められたと承知している。今後とも、あん摩マッサージ指圧師に関する制度の適正な運用に努めて参りたい」とコメントしています。

視覚障害などの団体「最高裁に明言してもらい安ど」

視覚障害がある人などでつくる16の団体がこの裁判のために立ち上げた「あん摩師等法19条連絡会」の竹下義樹会長は判決について、「視覚障害者の職業的自立のためには必要な規制だと最高裁に明言してもらって安どした。技術の向上や職業的な努力を続けながら社会に貢献していきたい」と話していました。