衆院予算委 岸田首相 “1日100万回接種 今月後半に達成可能”

国会では衆議院予算委員会で集中審議が行われました。新型コロナワクチンの3回目の接種を、1日100万回行うことを目指すという政府の目標について、岸田総理大臣は今月の後半には達成できるとの見通しを示しました。

自民党の谷公一氏は3回目のワクチン接種について、今月のできるだけ早い時期に、1日当たり100万回の接種を目指す政府の目標を踏まえ「自衛隊による大規模接種もぜひ拡大してほしい。東京会場では5000回まで拡大を表明しているが、きょうから始まった大阪会場での接種回数について取り組みをうかがいたい」と質問しました。

岸田総理大臣は「東京会場と同様に大阪会場の接種能力も早急に拡大すべく、防衛省で検討している。去年と同様のペースで接種を進めるべく、今月14日をめどに1日当たりの接種回数を2500回程度まで拡大したい」と述べました。

公明党の稲津久氏は「塩野義製薬」が開発を進める新型コロナの軽症者向けの飲み薬について「今月中旬にも商用生産が可能になった。臨床試験や治験を迅速にするために、条件付き早期承認制度などを組み合わせることで、早急に臨床現場に提供できるか検討すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は「国産の経口治療薬の開発は大変重要で、問題意識は共有している。早期実用化に向けて、臨床試験で安全性や有効性が示された場合には、条件付承認制度も含めてあらゆる手法の活用を視野に迅速に審査していきたい」と述べました。

立憲民主党の小川政務調査会長は、新型コロナワクチンの3回目接種について「6か月間隔であれば遅くとも去年11月には高齢者の接種を始めて、1月末に少なくとも9割方の高齢者が接種を終えていた可能性が高い。2か月の遅れは自民党の事情や政局を優先した結果で、致命的だったのではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「2か月何をしていたかということだが、去年11月には対策の全体像を取りまとめ、次の体制の準備にあててきた。オミクロン株の感染拡大が注視される中で、多くの国々が最初は8か月接種という議論から始めていた。いよいよ今、本格的にスタートする中で、1日100万回の目標を掲げてしっかりと進めていく」と述べました。

また、1日100万回の目標を達成する時期について「今月後半から職域接種が全国で始まり、この体制が稼働することで目標を達成できる」と述べました。

さらに、岸田総理大臣は緊急事態宣言の発出について「現時点では検討していないが、まん延防止等重点措置などの対策の効果なども含め、今後の事態の推移を注意深く見極めて、必要な対応を考えていきたい」と述べました。

また、政府の分科会の尾身茂会長は「重症者の増加も含め、医療機能の不全が想定されれば、その前に出すオプションもあると思うが、その場合には社会経済活動をどこまで制限するか、オミクロン株の特徴を踏まえた対策がどういうものかということの国民的なコンセンサスが必要だ」と指摘しました。

日本維新の会の岬麻紀氏はいわゆる「就職氷河期」世代の正規雇用で働く人を2020年からの3年間で、30万人増やすとする政府の目標に関連して「2020年の正規雇用者は前年から増えていない。これはコロナ禍の影響なのか、支援政策自体が甘く問題があったのか、どちらなのか」とただしました。

山際経済再生担当大臣は「端的に言うと両方だ。支援策は一定の成果があった。岸田内閣では3年間で4000億円の人材投資パッケージを用意しており、スキルアップやキャリアアップにつなげてもらえるような、伴走型サービスを提供していきたい」と述べました。

国民民主党の前原代表代行は教育関連予算について「岸田総理大臣が目玉だと言うものを足しても、小泉政権が5年半で削った半分以下だ。予算を減らしたことは極めて大きな問題で、日本衰退の大きな原因をつくったと思うがいかがか」とただしました。

岸田総理大臣は「予算が削られたのは、さまざまな議論の結果だが、これからを考えると文教予算や人への投資は重要だ。今年度の補正予算と新年度の当初予算全体を取り組みを支える予算として活用していきたい」と述べました。

共産党の赤嶺政賢氏は在日アメリカ軍の新型コロナ対策をめぐって「外務・防衛当局などの担当者による日米合同委員会での話し合いを明らかにするのは当たり前だ。コロナ対策の大穴が開いている問題をはっきりさせるべきだ」とただしました。

林外務大臣は去年8月から12月までに合同委員会が5回開かれていたことを明らかにしたうえで「具体的な協議内容は差し控えたい。政府としては新たに設立された『検疫・保健分科委員会』も含め、日米当局間における建設的な協議を通じて対応していきたい」と述べました。

一方、気分の落ち込みや体の痛みなど心身の不調が起きる、女性の更年期症状への支援について岸田総理大臣は「新年度=令和4年度からは、日常生活に与える影響などに関する研究を実施する予定で、その成果を支援政策につなげていきたい」と述べました。