新型コロナ抗原検査キット メーカーでは増産の動き進む

新型コロナウイルスの感染の急拡大で抗原検査キットの不足も指摘される中、メーカーの間では増産の動きが進んでいます。

製造量2倍以上に増加目標も

抗原検査の需要が高まり検査キットの不足も指摘される中、厚生労働省が先月、増産を要請したこともあって各地のメーカーでは対応が進んでいます。

静岡県伊豆の国市にある医療用の抗原検査キットのメーカーも7日から本格的な増産体制に入りました。
通常の日中の時間帯に加えて夜8時から早朝4時半まで操業するほか、土曜日も工場を動かすことで製造量を2倍以上に増やすことを目標にしています。

工場では、従業員がキットを組み立てる機械の状況を確認したり検品や包装などの作業に当たったりしていました。

増産の継続に向けて、このメーカーでは工場で働く人の数を当初の90人の2倍程度にまで増やす計画でハローワークや派遣会社を通じて臨時の募集を進めています。

抗原検査キットメーカー「タウンズ」の野中雅貴社長は「検査キットに対する需要は第5波のときと比べてもはるかに高い水準となっています。人員を拡充して体制を整え、感染拡大防止に少しでも役に立てるよう頑張りたいです」と話していました。

増産メーカーでは課題も

すでに抗原検査キットの増産を始めているメーカーの中には課題を感じているところもあります。

大分県宇佐市の抗原検査キットのメーカーは、先月上旬から工場の稼働時間を午後11時まで延長するとともに休日も操業して増産を進めています。

これに伴いハローワークなどを通じて人材を募集していますが、夜間という勤務条件もあって思うように集まっていないということです。

別の部署やグループ会社から応援に入ってもらっていますが、確保できたのは当初目指していた25人程度に対し20人程度だということです。

こうしたこともあって、以前より5000回分多い一日最大2万5000回分のキットを製造するという目標を達成できない日もあるということです。

また24時間操業が可能かどうかの検討もしましたが、現時点では見通しは立っていないということです。

さらに国の買い取り保証はあるものの今後の感染動向が不透明な中で、いつまでどの程度の増産をすべきか見通しが立たず、人材募集の際の条件の決め方や材料を入荷する計画の立て方も難しいということです。

アドテック株式会社営業企画課の森若専太課長は「工場の立地場所が人口の多い地域ではないので、そもそも人が集まりづらく条件にあった方を多く雇うことが難しい状況が続いています。過去の経験から抗原検査キットは感染が収まると急に需要がなくなるので、メーカーとしては準備や対応が難しいです」と話しています。