スキージャンプ【詳細】高梨沙羅は4位 100mの大ジャンプも…

北京オリンピックのスキージャンプ女子ノーマルヒルで日本のエース、高梨沙羅選手は4位で、2大会連続のメダル獲得はなりませんでした。

スキージャンプ女子ノーマルヒルは、河北省の張家口にあるヒルサイズが106メートルの「国家スキージャンプセンター」で行われ、日本からは前回のピョンチャン大会で銅メダルを獲得した高梨選手など4人が出場しました。

高梨選手は1回目、98メートル50をマークしましたが、課題の着地で両足を前後に開く「テレマーク」の姿勢が決まらず5位でした。
逆転をかけて臨んだ2回目は、スムーズな踏み切りから飛び出し、有利な向かい風を受けて空中でも安定した姿勢を保ち、100メートルまで飛距離を伸ばし着地もまずまずの姿勢でした。

ポイントの合計を224.1とした高梨選手は、4人を残して、この時点でトップに立ちました。

ただ、このあと3人の選手にポイントで上回られて4位となり、2大会連続のメダル獲得はなりませんでした。

日本選手は伊藤有希選手が13位、勢藤優花選手が14位、岩渕香里選手が18位でした。

金メダルは、1回目の2位から合計239.0として逆転したスロベニアのウルシャ・ボガタイ選手、銀メダルはドイツのカタリナ・アルトハウス選手、銅メダルはスロベニアのニカ・クリジュナル選手でした。

4位の高梨選手と銅メダルのクリジュナル選手のポイント差は7.9、飛距離に換算すると4メートルほどの差がありました。

高梨「ことばにするのが難しい」

4位となった高梨選手は競技終了直後のインタビューで「いろんな感情が自分の中で混沌としていてことばにするのが難しい状態ではありますが、一つ言えることがあるとするとこの4年間でいろんな方たちに支えて頂いたおかげでジャンプすることができていたのですが、結果を出せず申し訳ない気持ちでいっぱいです」と目を潤ませながらことばをかみしめるように話していました。
そして7日に行われる混合団体に向けて「まだまだ試合が続くのでしっかり調整をして臨みたいです」と話し、最後はインタビュアーに丁寧におじぎしてインタビューエリアから歩いて行きました。

13位だった伊藤選手は、3大会連続のオリンピック出場で「たくさんの方に多くのことを教えて頂いてここに立つことができました。成績では伝えられませんでしたが見ている方たちに少しでも私の感謝の気持ちが伝わったらうれしいなと思います」と話していました。
そして、7日行われる混合団体に向けて「きょうの日本チームは練習よりも良い成績を残すことができたので、どの選手が出ても上位に食い込める実力はあると思います」と話しました。

14位だった勢藤選手は「丁寧にと心がけて2本目も飛んだ。少しタイミングが遅れて2本ジャンプをそろえることはできなかったけれど、オリンピックという試合を楽しみながら飛べたのはよかった」と振り返りました。
勢藤選手は2大会連続のオリンピック出場で「4年間とてもつらくて苦しいこともたくさんあったけれどその分たくさん得たものもあるので、この経験を次にいかしていきたい」と先を見据えていました。

18位だった岩渕選手は「この4年間、ここを目指してやってきていろいろな人のおかげでここにいて、そういう人たちの気持ちも一緒に飛びたかったが、1回目の気持ちのいいジャンプからもう1本と思ったところで気合いが空回りしてしまった」と悔しさをにじませました。
そのうえで、2回目のオリンピックについて、「こうやってみなさんが見てくれる舞台で飛べたことは幸せだった」と振り返りました。

理想のジャンプを追い求めて

高梨選手は前回大会から自分のジャンプを大きく作り変えて臨んだ3回目のオリンピックでしたが、メダルにはあと一歩およびませんでした。

ワールドカップ史上最年少優勝や通算の最多勝利記録を更新し続けるなど、女子ジャンプ界では誰もが第一人者として認める高梨選手は初出場のソチ大会でメダルなしに終わり、前回のピョンチャン大会で銅メダルを獲得しました。

それでも金メダルを目指す高梨選手が感じていたのは、世界の強豪との大きな壁でした。

北京大会に向けた4年間でこれまで国際大会で何度も勝利を重ねてきた「ジャンプの形」をゼロから作り直すことを決断。残された期間から逆算して主に4つのポイントに絞りました。

まずゲートから、「カンテ」と呼ばれる踏み切りの先までの助走路の姿勢、次に「テイクオフ」と呼ばれる踏み切りの瞬間、さらに空中での姿勢、そして着地でした。

高梨選手は一つ一つの動きを見直し、何度も何度も飛び続けて理想の形を追い求めました。

「前のジャンプに戻そうかという 葛藤もあったが、絶対に変えなければ世界のレベルアップの波についていけなくなる」となかなか結果につながらなくても固い決意で諦めずに続けました。

今シーズン、新たなジャンプ作りは、最後の着地、両足を前後に開く「テレマーク姿勢」の段階にまで来ていました。

女子のレベルが上がる中、北京ではわずかな差が金メダルを決めると見ていた高梨選手は「飛距離だけでなく、テレマークを決められるかが鍵となる」と考えてました。

クロスカントリー用の板の細いスキー板を使って着地の際の重心移動の練習をするなどしてオリンピック本番直前まで、改善しました。

15歳から世界のトップの舞台で活躍し「いろいろな人たちへ恩返しの思いも込めて飛びたい」と話していた高梨選手。

世界の女子ジャンプ界のレベルが上がる中、メダルにはあと一歩およびませんでした。

スキージャンプ女子ノーマルヒルの結果

1位 ウルシャ・ボガタイ(スロベニア)
 合計得点239.0(2回目得点121.0、距離100m)
2位 カタリナ・アルトハウス(ドイツ)
 合計得点236.8(2回目得点115.7、距離94.0m)
3位 ニカ・クリジュナル(スロベニア)
 合計得点232.0(2回目得点118.1、距離99.5m)
4位 高梨沙羅
 合計得点224.1(2回目:得点115.4、飛距離100m)
13位 伊藤有希
 合計得点176.7(2回目:得点81.2、飛距離82.0m)
14位 勢藤優花
 合計得点176.5(2回目:得点81.9、飛距離83.5m)
18位 岩渕香里
合計得点169.6(2回目:得点74.8、飛距離83.0m)

1回目 高梨は5位

1回目が終わり、高梨沙羅選手は5位で上位30人で争う2回目に進みました。
高梨選手は98メートル50を飛んで108.7ポイントで5位。トップの選手と12.4ポイント差、3位の選手とは5.2ポイント差です。
このほかの日本選手は、伊藤有希選手が10位、岩渕香里選手11位、勢藤優花選手13位で、それぞれ2回目に進みました。

1回目5位の高梨選手は、直後のインタビューで「思ったように飛距離を伸ばせなかったが、内容的にはうまくまとめられた。自分のやるべきことに集中して2本目に臨みたい」と話しました。
<1回目の結果>
1位 カタリナ・アルトハウス(ドイツ)得点121.1(距離105.5m)
2位 ウルシャ・ボガタイ(スロベニア)得点118.0(距離108.0m)
3位 ニカ・クリジュナル(スロベニア)得点113.9(距離103.0m)
4位 エマ・クリネツ(スロベニア)得点112.1(距離100.0m)
5位 高梨沙羅:得点108.7(距離98.5m)
10位 伊藤有希:得点95.5(距離94.0m)
11位 岩渕香里:得点94.8(距離94.5m)
13位 勢藤優花:得点94.6(距離94.5m)

【ジャンプ女子の見どころ】

日本のエース高梨沙羅選手は3大会連続3回目のオリンピック出場です。
前回のピョンチャン大会では、銅メダルを獲得しましたが、世界の強豪との大きな壁を肌で感じて「何かを変えないと勝てない」と北京大会に向けた4年間でジャンプの形をゼロから作り直してきました。
今シーズンはワールドカップで1勝を挙げ「この4年間で経験したこと、積み上げてきたことを出し切りたい」と意気込んでいます。
北京オリンピックで悲願の金メダルなるか注目です。

<競技概要>
女子ジャンプの個人ノーマルヒルは予選がなく、決勝で2回のジャンプを行い、その合計点で順位が決まります。
決勝のスタート順は、1回目はワールドカップランキングの下位の選手から上位の選手の順。2回目は1回目の成績の下位の選手から上位の選手の順となります。

今大会には40人がエントリーしています。
1回目のジャンプで日本勢の最初に登場するのは、勢藤選手で21番目。伊藤選手が26番目、岩渕選手が27番目で、高梨選手が36番目です。

北京大会のジャンプ台は、ノーマルヒルではK点が95メートル、ヒルサイズは106mです。K点は「飛距離による得点の基準となる」地点。ヒルサイズはジャンプ台の大きさを表すもので、安全に着地できる限界の距離とされます。

<得点の計算方法>
得点は「ジャンプの飛距離点」+「飛型点」からなります。
ジャンプの飛距離点の計算は、基本となる距離点を「60」として、ノーマルヒルならばK点を超えれば1mにつき2.0ポイントのプラス、K点を下回れば1mにつき2.0ポイントのマイナスとなります。飛型点は5人の審判が20点満点(0.5点刻み)で採点。最高点と最低点を除いた3人の採点が合計されます。転倒は大きく減点され、着地の際のテレマーク(片足を前に出してひざを曲げる)姿勢が入らない場合も減点されます。