コロナ新規感染者 増加ペースやや鈍化も 過去にない規模の拡大

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、感染者数の過去最多が続く中で、先に感染が拡大した沖縄県などで減少している一方、ほとんどの都道府県で増加のペースはやや鈍化したものの、これまでにない規模での感染拡大となっています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について、前の週と比較してまとめました。

全国

全国では、
▽先月6日までの1週間では前の週に比べて4.86倍、
▽先月13日は6.68倍、
▽先月20日は3.20倍と、
急速に増加しました。

▽先月27日は1.93倍、
▽今月3日まででは1.42倍と、
増加のペースは徐々に下がってきていますが、一日当たりの新規感染者数はおよそ83732人で、感染者数が過去最多となる中でも拡大が続いています。

各都道府県

先に感染が拡大し、先月9日に最も早くまん延防止等重点措置が適用された沖縄県など5つの県で、減少か横ばいとなる一方、42の都道府県では増加傾向が続いています。

5日から「まん延防止等重点措置」適用の和歌山県

5日から重点措置が適用される和歌山県では、
▽先月20日までの1週間は前の週に比べて3.98倍、
▽先月27日は1.80倍、
▽今月3日まででは1.50倍と、
増加が続いていて、一日当たりの新規感染者数は495人となっています。

沖縄県など5県は減少傾向

重点措置が最も早く先月9日から適用されている沖縄県などでは、減少の傾向が見えてきています。

沖縄県

沖縄県は
▽先月20日までの1週間は前の週の0.96倍、
▽先月27日は0.82倍、
▽今月3日まででは0.72倍と減少傾向となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ789人となっています。

広島県

広島県は
▽先月20日までの1週間は前の週の1.85倍、
▽先月27日は1.19倍、
▽今月3日まででは0.91倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ1234人となっています。

山口県

山口県は
▽先月20日までの1週間は前の週の1.61倍、
▽先月27日は1.40倍、
▽今月3日まででは0.94倍で、
一日当たりの新規感染者数は341人となっています。

島根県

先月27日から重点措置が適用された島根県では
▽先月20日までの1週間は前の週の2.84倍、
▽先月27日は1.15倍、
▽今月3日まででは0.56倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ77人となっています。

「まん延防止等重点措置」適用のほかの地域は増加

重点措置が適用されているほかの地域では、ペースはやや鈍化していますが、各地で過去最多の感染者数となる中でも増加が続いています。

東京都

先月21日から重点措置が適用されている地域のうち、東京都は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.58倍、
▽先月27日は2.18倍、
▽今月3日まででは1.45倍と、
増加傾向となっています。

一日当たりの新規感染者数はおよそ17059人と過去最多の更新が続いていて、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は850.04人と、大阪府に次いで多くなっています。

神奈川県

神奈川県は
▽先月20日までの1週間は前の週の4.17倍、
▽先月27日は2.21倍、
▽今月3日まででは1.64倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ7207人となっています。

埼玉県

埼玉県は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.80倍、
▽先月27日は1.97倍、
▽今月3日まででは1.47倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ4566人となっています。

千葉県

千葉県は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.83倍、
▽先月27日は2.23倍、
▽今月3日まででは1.39倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ3829人となっています。

愛知県

愛知県は
▽先月20日までの1週間は前の週の4.12倍、
▽先月27日は1.98倍、
▽今月3日まででは1.42倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ5294人となっています。

岐阜県

岐阜県は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.53倍、
▽先月27日は2.00倍、
▽今月3日まででは1.34倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ822人となっています。

三重県

三重県は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.84倍、
▽先月27日は1.81倍、
▽今月3日まででは1.52倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ661人となっています。

大阪府

先月27日から重点措置が適用されている地域では、大阪府は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.92倍、
▽先月27日は1.74倍、
▽今月3日まででは1.49倍と、
増加が続いています。
一日当たりの新規感染者数はおよそ11201人と過去最多で、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は全国で最も多い887.17人となっています。

京都府

京都府は
▽先月20日までの1週間は前の週の3.56倍、
▽先月27日は1.75倍、
▽今月3日まででは1.52倍で、
一日当たりの新規感染者数はおよそ2398人で、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は、大阪府、東京都に次いで3番目に多い650.99人となっています。

兵庫県

兵庫県は
▽先月20日までの1週間は前の週の4.73倍、
▽先月27日は2.06倍、
▽今月3日まででは1.53倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ4856人となっています。
北海道は
▽先月20日までの1週間は前の週の5.32倍、
▽先月27日は2.23倍、
▽今月3日まででは1.62倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数は2980人となっています。
福岡県は
▽先月20日までの1週間は前の週の4.86倍、
▽先月27日は2.13倍、
▽今月3日まででは1.46倍となっていて、
一日当たりの新規感染者数はおよそ4412人となっています。

このほかの県

このほかの県でも、ほとんどの地域で増加が続いています。

▽青森県は、今月3日までの1週間では、前の週に比べて1.45倍、
▽山形県は2.14倍、
▽福島県は2.19倍、
▽茨城県は1.46倍、
▽栃木県は1.46倍、
▽群馬県は1.33倍、
▽新潟県は0.99倍、
▽石川県は1.33倍、
▽長野県は1.10倍、
▽静岡県は1.18倍、
▽岡山県は1.54倍、
▽香川県は1.44倍、
▽佐賀県は1.46倍、
▽長崎県は1.09倍、
▽熊本県は1.16倍、
▽大分県は1.29倍、
▽宮崎県は1.07倍、
▽鹿児島県は1.37倍となっています。

東邦大 舘田教授「第5波ピークと同程度の死亡する人が」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、全国の感染状況について「増加の比率はだんだん減少してきているが、感染者数は最多を更新し、一日で9万人以上になっている。少しずつピークが近づきつつあるかもしれないが、まだ増えることを考えておかなければいけない」と話しています。

今後の見通しについては「沖縄、山口、広島では、増加の比率が『1』を下回る形がみられ、まん延防止等重点措置の効果が出てきていると考えられる。ただ、沖縄では緩やかな減少にとどまっている。20代などの若い世代で感染が増えて収まる形になれば急激な減少がみられたと思うが、幅広い年代に広がったため、感染がなかなか収まらない。ほかの地域でも同様のことが起きるとすると、重点措置の解除には最短でも今月いっぱいはかかるのではないか」と述べました。

そのうえで舘田教授は「オミクロン株はデルタ株に比べて重症化しにくいのではないかと言われてきたが、ピークを迎える前に、すでに第5波のピークのときと同じ程度の死亡する人がみられていることに、注意が必要だ。この第6波を小さく早く抑えていけるかが非常に大事になってきている」と指摘しました。

松野官房長官「引き続き対策を迅速に実施」

松野官房長官は、4日午後の記者会見で「厚生労働省の専門家会合では、まん延防止等重点措置が適用されている34都道府県のうち、沖縄県と島根県、それに広島県以外の31都道府県では増加が継続していることや、沖縄県では新規感染者数の減少傾向が継続しているが、70代の高齢者で増加していることに、留意が必要だと分析されている」と述べました。

そのうえで「オミクロン株の特性やPCR検査の陽性率などの推移から、今後、全国で増加速度は鈍化しつつも、感染拡大が継続すると考えられ、引き続き、オミクロン株の特性や感染状況を踏まえた対策を迅速に実施していきたい」と述べました。