コロナ分科会 “2歳以上にマスク”などオミクロン株対策を議論

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会が開かれ、感染拡大のスピードが速いオミクロン株の特徴を踏まえた対策についての提言案が示されました。
全国知事会からの要望も受けて、これまで求めていなかった2歳以上の子どものマスク着用について「可能な範囲で推奨する」とする内容が盛り込まれましたが、専門家からは現実的ではないとして慎重な意見もあり、会合で議論が行われるものとみられます。

4日の分科会では、オミクロン株の特徴を踏まえた感染対策についての提言案が示されました。
提言案では、オミクロン株で特徴的なクラスターのケースを分析したうえで、学校や保育所、高齢者施設などでの対策について示しています。
この中では、全国知事会からの要望も受けて、これまでガイドラインで一律に求めてこなかった子どものマスク着用について、2歳以上の子どもは可能な範囲で着用を推奨するなどとした内容が盛り込まれました。

これについて、専門家の間では「現実的に着用が難しいのではないか」など慎重な意見もあり、会合で議論が行われているものとみられます。

また、感染が急速に拡大している状況のもとでは、学校では室内で近距離で行う合唱や体育で子どもが密集する運動など、感染リスクの高い活動を基本的には控えるとしているほか、重症化リスクの高い高齢者は感染しても無症状の場合が多い若い世代との接触をできるだけ避けることなどを求めています。

提言は分科会での議論を経てまとめられ、4日夜、尾身茂会長が記者会見して、明らかにすることにしています。

後藤厚生労働相「事態の変化に適時果断に対応していく」

後藤厚生労働大臣は分科会の冒頭「オミクロン株については、専門家から『感染力が高い一方、感染者の多くは軽症か無症状で重症化率は低い可能性が高い。若年層中心の感染拡大が高齢者などに急速に広がると、重症者数が増加する可能性がある』との分析が報告されている」と述べました。

そのうえで「厚生労働省として国民の命と健康を守ることを第1に、オミクロン株に関する知見の集積を図りつつ、感染状況など事態の変化に適時果断に対応していく」と述べました。

2歳以上の子どもにマスク? 保護者の声

2歳以上の子どものマスク着用を可能な範囲で推奨するとする提言案が示されたことに、幼い子どもの保護者からは、着用させたくても嫌がるので難しいという声も聞かれました。

2歳の子どもがいる40代の母親は「マスクはまだつけていないです。屋内のお店などではマスクを付けるよう求められますが嫌がります。口呼吸になってしまうのが心配なので、せめて3歳以上にしていただきたいです」と話していました。

マスクをつけて遊んでいた3歳の子どもの母親は「2歳からマスクをしています。不織布のマスクは嫌がりますが、不織布を内蔵した布マスクだと大丈夫なので、タイプを選んでつけさせています。夏だと熱中症が心配ですが、幼い子どもはワクチンを打てないので安心感はあります。発達の度合いなど子どもによると思うので、マスクをつけないことで差別などになるのは困ります」と話していました。

また、別の2歳の子どもの40代の母親からは「マスクをつけなくてはいけないのは仕方がないと思いますし、できることならつけさせたいですが、すぐに嫌がって外してしまうので、またひと手間、大変になるなと思います。この子が0歳の頃からコロナが始まって、こんなに時間がかかると思ってなかったです」という声も聞かれました。

千葉県知事「2歳児にマスクは現実的ではない」

オミクロン株の急速な感染拡大が続く中、後藤厚生労働大臣が2歳以上の子どものマスク着用について、さらなる感染を防ぐために前向きに進めるべきだという認識を示したことに関連し、千葉県の熊谷知事は自身のツイッターで「2歳児にマスクは現実的ではない」と否定的な考えを示しました。

子どものマスクの着用について、厚生労働省は2歳未満は推奨せず、2歳以上には、息苦しさを感じていないかどうか十分な注意が必要で「一律に着用することは求めていない」としています。

このうち、2歳以上の子どもの着用について後藤厚生労働大臣は4日の記者会見で「感染の主流は高齢者と子どもに移ってきていて、次の感染が広がる起点にもなりかねず、前向きに進めていくべきだ」と述べました。

また、4日の政府の分科会で示された感染対策についての提言案では「可能な範囲で推奨する」とする内容が盛り込まれました。

これに関連し、熊谷知事は自身のツイッターで「2歳児にマスクは現実的ではない」と否定的な考えを示したうえで、「今でも保育現場は発達段階や健康への影響などを総合的に判断し、可能な範囲でマスク着用をしている。県としては年齢などで一律に区切るのではなく、保育現場の判断が尊重されるべきだ」と記しています。