児童養護施設の子どもや若者 自立支援の年齢制限撤廃へ 厚労省

虐待や貧困などが原因で児童養護施設で暮らす子どもや若者について、厚生労働省は原則18歳までとしている自立支援の年齢制限を撤廃する方針を決めました。

厚生労働省によりますと、児童養護施設や里親の家庭などで暮らす子どもや若者は、昨年度末時点で4万2000人余りに上り、児童福祉法に基づいて原則18歳、最長でも22歳で施設を退所するなどして自立することが求められます。

しかし、生活費や学費を工面できずに悩んだり、相談相手がいなくて孤立したりする人も多く、自立に向けた支援の継続が必要だという指摘が専門家などから出ていました。

3日は、厚生労働省の専門委員会で報告書がまとまり、自立支援の年齢制限を撤廃し、本人の意向も踏まえて都道府県などが必要と判断する期間は施設での生活を続けられることなどが盛り込まれました。

また、住まいの確保や就学、就労などに関する相談に応じるとともに福祉制度を利用してもらうための調整などを行う拠点を都道府県ごとに設置し、必要に応じて子どもへの訪問も行うとしています。

厚生労働省は、報告書を踏まえて、今の通常国会に児童福祉法の改正案を提出することにしています。

18歳で退所 女性「撤廃は大きな一歩」

かつて児童養護施設に入所していた人などからは、年齢制限の撤廃を評価する声が出ています。

関東地方の児童養護施設にいた23歳の女性は、高校を卒業したあと18歳で施設を退所し、奨学金を借りて大学に進学しましたが、親からは虐待を受けていたため頼ることができませんでした。

経済的に余裕はなく、住まいもすぐには見つからなかったということです。

自立を求められていたことから施設の職員や友人にも連絡を取りづらく、精神的にも追い詰められました。

結果、休学して奨学金が打ち切られ、中退せざるをえなかったということです。

女性は「施設を退所したあとは誰を頼ったらいいか分からない状況で、18歳までは守られていたのにしっかりしているので大丈夫といきなり言われて困惑しました。経済や生活の基盤があればよりよい選択肢が広がるので年齢制限の撤廃は大きな一歩だと思います」と話しています。

そのうえで「子どもたちも18歳で施設を退所したあとにいきなり相談先がなくなるといった不安が減るので精神的に落ち着いて生活できると思います。制度をつくるだけにせず、きちんと活用されることを願っています」と話していました。

児童養護施設の施設長「個別に支援計画を」

児童養護施設の関係者からは、年齢制限の撤廃を歓迎する一方、自立が求められる年齢の目安がなくなることで、早期の自立を無理に促してしまうおそれがあると懸念する声も出ています。

本人の希望などに応じて、高校を卒業した子どもたちも受け入れている東京 清瀬市の児童養護施設「子供の家」の早川悟司施設長は「年齢制限がなくなることは非常にありがたい。子どもたちは社会に出たあとのほうが大変なのにこれまでは18歳、あるいは22歳までしか支援できなかったが、今後は必要があればそれを超えても支援ができる」と話しています。

一方で「これまでは18歳がゴールという形で仕事をしてきた職員が多いが、年齢の目安がなくなることで子どもたちがかえって早期に自立を求められることもありえる。個別にしっかり支援計画を立てて実行し、定期的に評価していく取り組みが欠かせず、制度を有効に活用できるかどうかは現場の取り組みにかかっている」と指摘しています。