東京都の医療提供体制 “最も深刻なレベル” モニタリング会議

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況と医療提供体制について分析・評価する都のモニタリング会議で、医療提供体制の警戒レベルが最も深刻なレベルに引き上げられました。
専門家は「医療体制がひっ迫している」と分析していて、「就業制限を受ける医療従事者が多数発生し、病床が空いていても患者の受け入れが困難になる医療機関が増加している」と指摘しています。

3日開かれた都のモニタリング会議で、専門家は、都内の感染状況の警戒レベルを最も深刻なレベルで維持し、「大規模な感染拡大が継続している」と分析しました。

2日時点の新規陽性者の7日間平均が、前の週の1.5倍の1万6075人となったと説明し「一日あたり都民の1000人に1人以上が感染していることになる。これまでに経験したことのない危機的な感染状況が続いている」と指摘しました。

そして、このままの水準で増加した場合、7日間平均は、1週間後の2月10日に2万4756人になるとする推計を示しました。

専門家は、小中学校の学級閉鎖や保育園・幼稚園の休園が増え、保護者などが就業制限を受けるケースが数多く発生していると説明しました。

そのうえで、「自分や家族が感染者や濃厚接触者となった場合を想定して、生活必需品など最低限の準備をしておくことを都民に呼びかける必要がある」と指摘しました。

一方、医療提供体制は「医療体制がひっ迫している」と分析され、警戒レベルは1段、引き上げられて最も深刻なレベルになりました。

今回の第6波で最も深刻なレベルになるのは初めてです。

感染状況と医療提供体制がいずれも最も深刻なレベルになるのは、去年9月以来です。

2日時点の入院患者は前の週の1.2倍の3720人となり、専門家は「本人や家族が濃厚接触者となり、就業制限を受ける医療従事者が多数発生している。病床が空いていても、マンパワー不足で患者の受け入れが困難になる医療機関が増加している」と指摘しました。

重症患者は2日時点で30人と、1週間前より12人増えたほか、人工呼吸器による治療がまもなく必要になる可能性が高い患者も60人から105人に増えました。

専門家は、高齢者の入院患者が増加し入院患者のおよそ半数が70代以上となっていると説明し、「重症患者数の動向に警戒する必要がある」としています。

また、「ほかの疾患のために集中治療が必要な患者も増加傾向にある。その動向を注視し、医療提供体制のひっ迫度合いを把握する必要がある」と指摘しました。

松野官房長官「重点措置の終了は総合的に判断」

松野官房長官は午後の記者会見で東京の感染状況について「高い警戒感をもって医療提供体制を稼働していく必要がある。去年夏には確保していた病床が十分稼働せず、待機者が発生していたのに対し現在は病床数や稼働率を引き上げ、病床使用率は51.4%にとどまっている。重症病床の使用率は去年夏のピーク時では満床だったのに対し、現在は36.8%となっている」と指摘しました。

そのうえで、今月13日が期限となる「まん延防止等重点措置」の扱いについて「重点措置の終了は、基本的対処方針に基づき、感染状況や医療提供体制のひっ迫状況などを考慮して総合的に判断する。今後の感染状況や医療のひっ迫度合いなどを最大限の警戒感をもって注視しつつ、知事や専門家と緊密に連携して対応したい」と述べました。