都内のクリニック スタッフ感染相次ぎ“あと1人欠勤で休診”

オミクロン株の広がりで、発熱外来などでコロナ診療に携わる都内のクリニックではスタッフの感染が相次ぎ、限られた人員で対応にあたっているものの、これ以上スタッフが不足すれば一時的な休診を検討せざるをえないと危機感を強めています。

東京 江戸川区のクリニックは、小児科や内科などの通常の診療に加えて、発熱外来やワクチン接種など、さまざまな形で地域におけるコロナ診療に携わっています。

こうした中、1月中旬から31日までにスタッフ14人のうち、4人の感染が確認されました。

いずれも同居する子どもなどから感染したとみられています。

このうち2人は療養を終えて仕事に戻っていますが、ふだんは3人で行う受付や事務の業務を2人で回すしかなく、勤務時間ものばすなど、厳しい対応を迫られています。

1日は、外来の受付が始まる午前8時半から受診を求める電話が次々とかかり、その後、20件余りの検査に対応するため、看護師らは準備に追われていました。

医師は小児科などの通常診療の合間に、陽性が確認された患者に電話で結果を報告し、それを終えると、慌ただしく防護服を着て、発熱外来の対応にあたっていました。

ワクチン接種の予約も3月中旬まで埋まっていて、1日は30人分のワクチンの準備を進めていました。

医師は、これ以上スタッフの感染や濃厚接触者となって出勤できなくなれば、勤務シフトが回らず、一時的な休診を検討せざるをえないと危機感を強めています。

「まなべファミリークリニック」の眞鍋周太郎 副院長は「スタッフは昼休憩もとれずに患者対応にあたっています。これ以上シフトが回せなくなれば休診しなければならないと思います。スタッフには『あと1人、感染者や濃厚接触者による欠勤が出れば、休診するしかない』と伝えています。地域では『クリニックが閉まると困る』と言ってくれる人もいるので、一時的でも閉めたくないですが、どこかで決断しなければいけない状況になりつつある」と現状の厳しさを伝えていました。

休診ならワクチン接種にも影響が

「まなべファミリークリニック」は、発熱外来のほか、並行して新型コロナワクチンの接種も行っています。

今月からは一般高齢者向けの3回目の接種が本格化し、すでに3月中旬まで予約が埋まっていますが、一時休診となれば、保管中のワクチンを破棄したり、予約を取り消したりせざるをえないということです。

その際、患者には改めてほかの医療機関などで予約を取り直してもらうしかなく、医師は、多くの人がワクチン接種を希望する中、一時的にとはいえ、休診せざるをえなくなれば心苦しいと話しています。

眞鍋周太郎 副院長は「休診になった際にワクチンがむだにならないよう、ほかの医療機関が接種してくれるようなシステムがあればいいが、現実的にはありません。なんとか踏みとどまらないといけないという強い思いで、スタッフは自分の生活を犠牲にして対応してくれています」と話していました。

保健所に代わり健康観察のクリニック スタッフ感染で態勢縮小

業務がひっ迫している保健所の負担を減らすため、東京都内では一部の医療機関が保健所に代わり患者の健康観察を行っています。

しかし、看護師が感染するなどして人手が足りなくなり、健康観察の態勢を縮小せざるをえなくなっているクリニックも出ていて、一部の地域の医療機関もひっ迫の度合いが増しています。

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京都は、業務がひっ迫する保健所に代わり医療機関が健康観察を行う取り組みを先月から始め、現在、およそ1400の医療機関が参加しています。

都は今後、1日2万人規模の感染確認が10日間続いた場合、都内の自宅療養者はおよそ19万3000人に上ると想定しています。

このうち、自分で健康観察を行う人などを除く1万5000人は、地域のクリニックなどの医療機関が健康観察を担う想定です。

しかし、そのクリニックも、保健所と同じくひっ迫の度合いが増しています。
東京 中野区の「みやびハート&ケアクリニック」は、先月から区内で自宅療養する患者の健康観察を始めました。

医師や看護師が患者に電話をかけ、体調不良がないかを、発症から10日間で少なくとも2日、聞きます。

基礎疾患や重症化リスクがある人だと、土日や祝日も含めて10日間毎日、電話をかけます。

健康観察を始めた先月12日は、およそ10人でしたが、感染状況が日に日に悪化し、対象の患者が増え、およそ2週間後の先月24日には受け持つ患者が70人近くに増えました。

多忙を極める中、看護師2人が相次いで新型コロナに感染して出勤できなくなり、事務員1人も体調不良で休む事態に直面したということです。

このクリニックでは通常の診療に加え、発熱外来やワクチン接種も行っていますが、人手が足りず業務がままならなくなり、健康観察はかかりつけの患者に限定して、新たに受け付けず、態勢を縮小することにしました。
「みやびハート&ケアクリニック」の渡邉雅貴 院長は「クリニックそのものが機能しなくなれば、ワクチン接種のほか、1人暮らしの高齢者の具合が悪くなったときに助けることができなくなる。健康観察だけで燃え尽きてしまうということは、やはりできない」と話しています。

クリニックでは、健康観察も含めた対応が長期的に持続できるよう、看護師や事務員を増員するための求人を出していますが、すぐに見つかるかどうか分からないということです。

渡邉院長は「物理的に健康観察ができない今の状況は大変心苦しく、じくじたる思いだ。地域の医療機関として継続的にサービスを提供することができなくなってしまうことをいちばん恐れている。長期的に戦える状況を作って、患者さんをできるかぎり最後まで診る体制を作りたい」と話していました。