自宅療養の高齢者 自覚症状ないまま悪化するケースも 東京

新型コロナウイルスの感染急拡大で、自宅で療養していた高齢者が、自覚症状のないまま状態が悪化するケースも出てきています。

東京 渋谷区で在宅医療を専門に行うクリニックには先月中旬以降、保健所からの往診依頼が相次いでいます。

31日夕方には保健所から「71歳の男性が自宅で療養中だが血液中の酸素の値が低い」という連絡を受けて駆けつけました。

医師がパルスオキシメーターで男性の血液中の酸素飽和度を測ったところ、82%と酸素投与が必要な状態でしたが、男性は息苦しさを感じないと話し、自覚症状がないうちに状態が悪化していることが分かりました。

酸素濃縮装置で最大量を投与しましたが値は十分には回復せず、医師は高度な医療が受けられる病院への入院が必要だと判断し、男性はその日のうちに入院したということです。
「Green Forest代官山クリニック」の関谷宏祐院長は「第6波ではこれまで自宅療養者は比較的軽症のほうが多かったが、重症化するケースが出始めている。本人が気付かないうちに実は悪化していたということもあり、注意が必要だ。苦しくないからといって自分で判断せずに、こまめにパルスオキシメーターの値を確認してもらい、変化があったときには保健所や医療機関に相談してほしい。私たちも保健所と連携して症状の重い人を見落とさないよう迅速に対応していきたい」と話しています。

71歳男性 せきも息苦しさもないのに悪化

71歳の男性は妻や子どもなど合わせて5人で暮らしていて、先月21日、同居する長女が陽性と確認され翌日に男性も陽性となりました。

男性の妻によると、長女が体調不良を訴えてからすぐに部屋を別々にするなど対策を取りましたが、あっという間に感染してしまったということです。

男性は糖尿病などの持病があるため、毎日こまめにパルスオキシメーターで酸素飽和度を測り、保健所から健康観察の電話がかかってくる際に伝えていました。

酸素飽和度は93%前後と低い値が続いていたといいます。

妻は「値が低いので少し心配でしたが保健所からは入院の提案はなく、自宅療養が前提という印象でした。夫もそこまで息苦しい感じはなかったので様子を見ていました」と話します。

ところがその後、酸素飽和度が90%を切るようになり、微熱も長く続いていたことから、31日保健所に相談し医師の往診を受けたところ、自覚症状がないうちに状態が悪化していたことが分かったということです。

妻は「新型コロナはもっとせきこんだりぜえぜえしたりするものだと思っていましたが、そういったことが全くありませんでした。まさかここまで悪化していて、すぐに入院が必要な状態になっているとは思ってもいませんでした。医師に『1日遅れていたら危なかった』と言われてぞっとしました。病院で治療を受けて元気に回復してほしい」と話しています。