“緊急事態宣言発出は制限範囲など共通認識が必要” 尾身会長

新型コロナの感染拡大が続く中、政府の分科会の尾身茂会長は、衆議院予算委員会で、医療提供体制のひっ迫が想定される場合は、緊急事態宣言も選択肢となるという認識を示す一方、発出に当たっては社会経済活動をどこまで制限するかなどについて社会の共通認識が必要だと指摘しました。

この中で、政府の分科会の尾身会長は、緊急事態宣言について「コロナ病床や重症病床の使用率だけではなく入院者の重篤度も考慮して総合的に判断する必要がある。まん延防止等重点措置の効果も見つつ、重症者の増加も含め、医療機能不全が想定されれば、宣言を出すオプションもありうる」と述べました。

そのうえで「仮に宣言を出すのであれば、最低2つの点が大事だ。1点はオミクロン株の特徴に合わせた効果的な対策とは何なのか、2点目は人々の権利や社会経済活動をどこまで制限するかを含めて社会的なコンセンサスが必要だ」と指摘しました。

また、尾身会長は、政府の分科会として宣言を発出する基準を示すべきだと求められたのに対し「インフルエンザと同じだという人がいる一方で、宣言を出すべきだという非常に両極端の意見があり、基準は当然必要だ」と述べました。

そして「今までのように飲食店だけの対策ではもう効果がないと、われわれ専門家は思っている。社会機能の維持をどうするかという問題を明確にし、対策をどうするか、仮に宣言を出すならそうした基準を示すことが今いちばん求められていると思う」と述べました。

一方、末松文部科学大臣は、臨時休校の基準を定めたガイドラインについて「オミクロン株の特性を踏まえ、運用する際の留意事項を示す予定だ。現在、感染症対策の専門家の意見を聴取しているところであり、整理でき次第速やかに示したい」と述べました。

また、林外務大臣は1月31日で終了した在日アメリカ軍の外出制限について、「在日米軍はマスク着用義務を継続して徹底し、施設区域内では各自治体で講じている措置を考慮に入れた形で、追加的な措置を取る権限を各施設区域の司令官に付与している。引き続き、緊密に連携しながら感染防止対策の徹底のために取り組む」と述べました。