都内で高齢者の感染が急増 1週間で第5波の1か月間を上回る

東京都内では65歳以上の高齢者の感染が急増していて、今月は、30日までの1週間だけで、第5波の去年8月1か月間を上回っています。

東京都内で、今月に入って30日までに感染が確認された65歳以上の高齢者は、全体の6.6%にあたる1万2013人でした。

このうちおよそ62%の7497人は、30日までの1週間で感染が確認されました。

この1週間だけで第5波のピークだった去年8月1か月を2000人余り上回っていて、増加ペースが加速しています。

感染の急増にともなって重症化する高齢者も増えています。

重症患者のうち60代以上の人は、1月1日は1人もいませんでしたが、30日時点では16人となっています。

また今月、死亡が確認された25人のうち22人が60代以上でした。

22人のうち感染経路が分かっている人では特別養護老人ホームなどの高齢者施設が7人、病院内が4人などとなっています。

都は高齢者の施設内感染が増えていることから、複数の感染者が確認された場合、その施設に往診の医師を派遣して健康観察や薬の投与を行うなど重症化リスクの高い人たちの医療体制を強化しています。

高齢者入院増 基礎疾患悪化懸念も

オミクロン株の患者の治療にあたる東京 品川区の大学病院では2週間前の入院患者はすべて50代以下でしたが、今は重症化リスクのある高齢者が3割余りとなり急増しています。

高齢者の場合、コロナの症状は重くなくても感染によってぜんそくなどの基礎疾患が悪化するケースもみられ、医師は警戒感を強めています。

東京・品川区の昭和大学病院には31日の時点22人が入院していて、このうち、3割余りとなる7人が高齢者になっています。

病院によりますと、2週間余り前は入院患者は14人ですべて50代以下だったということで、この2週間で高齢者の入院患者が急増しています。

今、入院している高齢者はコロナの症状は軽症か中等症でほとんどがとどまっていますが、感染がきっかけでぜんそくなどの基礎疾患が悪化するおそれがあり入院せざるをえないということです。

このうち80代の女性の患者はコロナの症状は軽症ですが、肺の基礎疾患が悪化しています。

病院が撮影した映像には、看護師にのどの痛みを訴える様子がうつっていて、治療が行われています。

相良博典病院長は「高齢者や基礎疾患のある人は重症化リスクがあるため、コロナの症状が軽くても入院してフォローする必要がある。さらなる感染拡大でこうした患者が増えれば、病床使用率が50%、60%とひっ迫していくのは時間の問題で感染対策を徹底してほしい」と話していました。