スポーツの観客に速やかにAEDを

スポーツの観客席で突然心臓が止まった人の救命のためAEDを速やかに届けようと、あらかじめAEDを運ぶ人を決めておく取り組みが初めてスポーツ現場に導入されました。

これはスポーツ観戦中に心筋梗塞などで突然心臓が止まった人がいた場合、広い試合会場でAEDを使うのが遅れて突然死するのを防ごうと、日本AED財団などが準備してきました。

ラグビーの新リーグとして今月から始まったリーグワンに所属する、クボタスピアーズ船橋・東京ベイが、スポーツチームとして初めて29日に東京 江戸川区で行われたホームゲームで導入しました。

「RED SEAT」と名付けられた座席に座った人に万が一の場合、AEDを運んでもらうもので、初日は救急救命を学ぶ大学生が担当しました。

試合開始前に客席のどこにAEDが置いてあるかを確認し、人が倒れたという想定で、何分以内にAEDを持って来られるかを確認しました。

日本AED財団によりますと、心停止を起こしてからAEDが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下するため、2分以内に届け、3分以内に使うことが目標だということです。

今回試合は無事に行われましたが、今後は一般の観客にAEDを運ぶ『RED SEATER』を務めてもらう形を目指すということです。

ラグビーファンの50代の女性は「チームのSNSで取り組みを知った。AEDの場所を意識したことがなかったので、これからは何かあれば速やかに届ける手伝いがしたい」と話していました。

日本AED財団の本間洋輔医師は「ラグビーに限らず、観客の命を守るという視点はこれまであまりなかった。コロナ禍でAEDの使用率低下も問題となっているが、ためらわずに使ってほしい」と話していました。

また、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの石川充ゼネラルマネージャーは「2009年、秩父宮ラグビー場で海外選手の父親が観客席で心停止で亡くなったのを目の前で見て、AEDへの意識は強く持っていた。ファンたちにも興味を持ってもらい、講習会も行っていきたい」と話していました。

AED使用率 新型コロナの感染拡大以降低下

新型コロナの感染拡大以降、AEDの使用率が減っていて、専門家は「人との接触を避けたいという心理が働き使用率が低下しているのではないか」と指摘しています。

AEDは18年前の2004年7月から、医療従事者ではない一般の人も使用できるようになりました。

現在、全国でおよそ65万台が導入され、各地で講習会が開かれるなどして、AEDの使用率は増加傾向が続いてきました。

しかし、おととしは減少に転じ、4.23%にまで下がって、これまでで最も大きな減少幅となりました。

これと併せて、心停止を起こした人の1か月後の生存率も下がっていて、AEDの使用率低下の影響と見られています。

日本AED財団の本間洋輔医師は「新型コロナウイルスの流行によって、倒れた人がコロナに感染しているかもしれないという思いから接触を避ける傾向が増え、AEDの使用率も低下したのではないか」と指摘しています。

そのうえで「AEDはコロナの影響下でも安全に使えるものなので、ためらわずに積極的に使ってほしい」と話しています。