“断らざるをえない” 発熱外来 ひっ迫で危機感

オミクロン株の急拡大で都内のクリニックには発熱などの症状を訴えてくる人が相次いでいますが、対応できる件数を超えていて、断らざるをえない状況になっています。

医師は重症化リスクのある高齢者を優先するなど、濃淡をつけざるをえないと危機感を強めています。

東京 新宿区で発熱外来を設けてPCR検査などを行っているクリニックには、発熱を訴える人や、家族が感染したので自分も検査してほしいといった問い合わせが相次いでいます。

クリニックでは、かかりつけの患者を除いて発熱外来で1日に対応できる予約枠は12人までとしていますが、ほとんど前日までに埋まってしまい、当日の依頼は断らざるをえないということです。

こうした状況は連日続いていて、断った人数が60人にのぼった日もあるということです。

オミクロン株の急拡大で問い合わせが多いケースは「家族が感染したので自分も検査してほしい」というものです。

70代の女性は夫が感染して入院したので自分も診てほしいと連絡してきました。

女性はせきが出るくらいしか症状はないと話しますが、医師は、陽性だった場合は高齢のため重症化するおそれもあると判断し、新型コロナの飲み薬の服用を検討したいと伝えていました。

クリニックでは、こうした発熱外来に加えて自宅療養者への往診も行っていて、スタッフを疲弊させずにクリニックを持続させていくには、重症化のリスクのある高齢者や基礎疾患のある患者、それに医療や介護に携わるエッセンシャルワーカーなどを優先せざるをえないと危機感を強めています。

新宿ヒロクリニックの英 裕雄院長は「年齢が若い人の対応はある程度限定せざるを得ず、高齢者は重症化するリスクが高いので濃密に見守ったり、早期に治療を行ったりする必要がある。濃淡をつけて必要な人に必要な医療を提供する形を目指さないと回らない。60代、70代、80代と少しずつ年齢層が上がっているのを心配している」と話していました。

発熱外来がひっ迫 病院の業務も増加

発熱外来がひっ迫する中、クリニックでは週に3回、スタッフ間でオンラインミーティングを開いていて、現状や課題の共有を進めています。

28日に開かれたミーティングでは、発熱外来を訪れた人の陽性率が50%になるなど高くなってきていることや、保健所からの依頼で、患者の自宅に赴いてPCR検査を行うケースが増えているなど、業務が立て込んでいることが報告されました。

医師はこうした業務の増加に対応するため、土日や夜間の人繰りをどうするか、日々頭を悩ませているといいます。

新宿ヒロクリニックの英 裕雄院長は「通常の診療に加えて、発熱者の対応、ワクチン接種、往診やPCR検査と非常に業務が増えている。今、クリニックのスタッフで陽性者や濃厚接触者は出ていないが、これだけ感染が広がっているので、今後、起きてもおかしくないことだと思っている。スタッフが少なくなっても業務を維持できるよう考える必要がある」と話していました。