子どもの入院急増で小児高度医療にも影響が 新型コロナ

子どもにも新型コロナウイルスの感染が広がる中、高度な小児医療を提供している都立病院では子どもの入院患者が増えていて、通常の診療を2割制限しています。

病院の医師は、これ以上感染が広がるとさらに診療を制限せざるをえないとして危機感を募らせています。

高度な小児医療を提供し、全国から患者が訪れる東京 府中市の「都立小児総合医療センター」では、新型コロナに感染したり、その疑いがある15歳以下の子どもの入院も受け入れています。

入院患者は今月1日に4人でしたが、27日時点で過去最多の37人とおよそ9倍に急増していて、今月だけで延べ421人の子どもが入院したということです。

医療センターによりますと、去年夏の第5波と同様、ほとんどが軽症か無症状ですが、今回の第6波は学校など集団生活の場で感染した子どもが第5波より増えているということです。

なかでも児童養護施設の子どもが感染し、保護者の養育が受けられないため入院せざるをえないいわゆる『社会的入院』の子どもが多いということです。

また、乳幼児や就学前の子どももいて、ミルクやおむつ替えなどが必要なことから、ほかの診療科の看護師も対応にあたっているということです。

こうした、入院している子どもたちの対応が増えていることから、センターでは現在、通常の診療を2割程度制限しています。

心臓や肺などの重い病気を治療する高度な小児医療でも、先延ばしできる手術や入院は延期しているということです。

感染症科の堀越裕歩医師は「今の状況だと、来週あたりにはさらに一般診療を制限しないとまわらない状況になってきている。特殊な手術などここでしかできない医療を提供するのがわれわれの使命で、絶対に避けたいのは助けられる命が助けられないという状況だ。なるべく早く第6波を収束に向かわせて、本来の医療に集中できる環境に戻していきたい」と話していました。

10歳未満の感染確認 第5波の去年8月1か月の2.2倍

東京都内では子どもへの感染が広がっていて、感染が確認された10歳未満の子どもは人数、割合ともに第5波を上回っています。

都内で今月に入って28日までに感染が確認された人のうち、10歳未満は1万5000人余りで、第5波の去年8月1か月の2.2倍です。

感染が確認された人のうち10歳未満の子どもが占める割合は、去年8月が5.4%だったのに対し、今月は28日までで10.3%となり、およそ2倍になりました。

都によりますと、オミクロン株の感染力の強さから学校など集団生活をする場で感染するケースが相次いでいるということです。

子どもたちへの看護師たちの対応は

「都立小児総合医療センター」の医師が撮影した映像です。

看護師が入院している子どもに病室のガラス越しに紙芝居を見せています。

声は室内と通じるマイクを使って聞かせています。

赤ちゃんのおむつ替えやミルクは看護師がエプロンや手袋など防護具を身につけたうえで行っています。

ミルクのあとは、げっぷを出すために背中を優しくたたくなど、普通の赤ちゃんと変わらない対応を行っています。