感染拡大の栃木 救急搬送困難事案相次ぐ 19回断られたケースも

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、栃木県内では、一般患者の救急搬送の際に医療機関から受け入れを断られるケースが相次いでいて、中には、断られた回数が19回に上ったケースもあったことが、消防への取材で分かりました。

栃木県内の各消防本部は、救急車で病気やけがの患者を医療機関に救急搬送する際に、4回以上受け入れを求める電話をしても搬送先が決まらないなどのケースについて「救急搬送困難事案」としてまとめていて、新型コロナウイルスの感染が拡大した今月に入り、急増しています。

このうち宇都宮市消防局では、今月に入って23日までの間に「救急搬送困難事案」が87件に上り、去年の同じ時期の第3波当時のおよそ2倍、感染が広がる直前のおととしのおよそ5倍に達したということです。

断られた回数が最も多かったのは19回で、急病の高齢女性を救急車に乗せたまま2時間近く動けず、ようやく20回目の電話で受け入れ先が見つかり女性に命の別状はなかったということです。

医療機関に断られた理由として、新型コロナの影響による病床のひっ迫や対応できる医療従事者がいないといった説明が目立ったということです。

宇都宮市消防局警防課の遠藤義行主任は「救急隊としては急病人を前に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。早く収束し通常の状態に戻ってほしい」と話しています。