感染で休園の都内保育園「保護者や行政と考え方の共有が重要」

職員や園児、保護者など合わせて100人規模が新型コロナウイルスに感染した都内の保育園を経営する責任者がNHKの取材に応じ、感染力が非常に強かったとしたうえで、どう休園を判断するか、行政、保育園、保護者が考え方を共有できるようにすることが重要だと話しました。

東京 大田区の認可保育園では、今月17日に園児と職員合わせて4人の感染が確認されました。

休園の判断は、区と協議することになっていて、協議のうえ、園内を消毒し翌日は園を開くことにしましたが、その日も、園児や家族、職員合わせて15人の感染が確認されました。

その次の日から全面休園としましたが、感染者は増え続け、全員がこの園をきっかけにした感染かは分からないものの、27日の時点で園児45人、職員18人など合わせて103人が確認されたということです。

この園では、園内に入る際は保護者を含む全員が手を洗い、食事は子どもと職員とを分けるなどの対策を取っていました。

保育園を運営する社会福祉法人つばさ福祉会の渡部史朗常務理事は、「第5波でも感染者は出たが、今回はスピードが早く従来の対策をやってきても、こうした結果になったことを考えると非常に強い感染力だと感じた」と振り返りました。

そして、「はじめは、感染拡大を防ぎながら社会活動を継続することを目指した。しかし、次々と感染者が出たので早い段階で感染の連鎖を断ち切らないと、長期にわたって社会活動を止めることになるのではないかと考え、休園の判断に至った」と話していました。

そのうえで、より早い決断もありえたとして、「どのような状況になれば家庭保育の協力を要請したり休園したりするのか、誰がどう判断するかを行政や園、保護者が共有して見通しを立て、いかに社会活動の停滞を回避していくかを考える時期にきていると思う」と話しました。

休園の取り扱いについて厚生労働省は、「保育の体制や環境が地域によって異なることから全国一律に基準を設けることは難しく、それぞれの地域で判断してもらっている」とし、大田区も、「厚生労働省の通知に基づき対応している。施設ごとに保育環境などが異なるため、一律の基準は定めておらず施設と協議して個別に判断している」などとしています。

子どもの感染 広がる

厚生労働省のまとめによりますと、今月25日までの1週間に新型コロナウイルスに感染が確認された人のうち10歳未満は4万1863人で、全体の12.3%と、前の週より4.3ポイント増え、子どもの感染が広がっています。

また厚生労働省によりますと、今月24日までの1週間に発生したクラスターなどの集団感染のうち、保育所などの「児童福祉施設」は156件と、前の週の3.5倍に上り、過去最多となりました。

全面休園となった保育所などの数も、先週の時点で27の都道府県の327か所と過去最多となっていて、厚生労働省によりますと、27日時点での休園数も最多を更新する見通しだということです。