公取委 株式の公開価格低く設定は独禁法違反のおそれ 見解示す

公正取引委員会は企業の新規上場をめぐって、証券会社が株式の公開価格を実態より低く設定することは独占禁止法上違反になるおそれがあるとの見解を初めて示しました。企業が調達できる資金が少なくなることを避けるねらいです。

公正取引委員会は企業の新規上場をめぐって見解をまとめた報告書を出しました。

企業の新規上場をめぐっては主導権を持つ証券会社が投資家の利益を考えて株式の公開価格を実態より低く設定する傾向があるとの指摘が出ていました。

投資家は上場後の株価の値上がりで利益を得られる一方、企業は調達できる資金が少なくなります。

公正取引委員会は調査を行い、問題になるような事例は確認できなかったとしたうえで、証券会社がこのように公開価格を低く設定し、企業に不利益を与えたと認められる場合には独占禁止法上違反になるおそれがあるとの見解を初めて示しました。

公正取引委員会調整課の小室尚彦課長は「今後企業が成長するための必要な資金が調達しやすくなるなど、経済全体の活性化につながると考えている」と話していました。

証券業界は価格設定柔軟化へ

全国の証券会社などでつくる日本証券業協会は、企業が上場によって適正に資金調達ができる環境を整備しようとIPO=新規株式公開のプロセスをより柔軟にする方向で検討を進めています。

去年9月に証券会社や機関投資家、専門家などからなるワーキンググループを立ち上げ、来月中にも報告書を取りまとめることにしています。

この中では、企業が株式を売り出す際の「公開価格」について、現在は証券会社と企業が事前に設定した価格の範囲内で最終的に決めていますが、市場の環境によって価格が大きく変動する可能性もあるとして、この範囲を広げることや範囲から外れた価格を「公開価格」とすることも認める方針です。

また、現在およそ1か月かかっている上場の承認から上場までの期間を1週間程度短縮したり、上場の日を変更しやすくしたりすることで相場変動のリスクを抑えるとしています。

このほか、「公開価格」を決める際に、市場の状況などを証券会社が企業に対して丁寧に説明することなどを求めることにしています。

証券会社「発行会社と投資家 双方から意見聞くことも重要」

企業の新規上場をめぐって公正取引委員会が示した見解について、大手証券会社の大和証券グループ本社の佐藤英二常務は、28日に開いた決算会見の中で「新規上場する会社の納得感を不当に損なうものがあるとすれば、改善していく方向性に全く異論はない。一方で、直近では、公開価格を下回る案件が目立ってきていることも事実だ。発行会社と投資家の双方から意見を聞くことも重要ではないか」と述べました。

また、SMBC日興証券の吉良俊志常務は、決算会見で「スタートアップ企業の資金調達を行うと同時に、投資家に対して、企業の成長性を取り込む株式を提供する証券会社としての役割を達成するために提言していきたい」と述べました。