政府「佐渡島の金山」世界文化遺産への登録 ユネスコに推薦へ

世界文化遺産への登録を目指して政府は、新潟県などが要望する「佐渡島の金山」をユネスコに推薦する方針を固めました。

「佐渡島の金山」をめぐっては文化庁の審議会が去年12月に来年の世界文化遺産の登録に向けて選定すると答申したものの、選定は推薦の決定ではなく今後、政府内で総合的に検討すると異例の注釈をつけていました。

ユネスコへの推薦の期限を来週2月1日に控え、政府・与党内からは、地元の新潟県などの要望どおり、推薦すべきだという意見や韓国が朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だと反発していることも踏まえ、慎重な対応を求める意見が出ています。

岸田総理大臣は「登録を実現するためにどういう対応が効果的なのかを総合的に検討し決定したい」と繰り返し述べ、政府内で検討を続けてきました。

その結果、来年以降に推薦を先送りしても登録実現の見通しが立たず、地元の意向を尊重すべきだなどとして、ユネスコに推薦する方針を固めました。

政府は閣議での了解を経て、推薦書を提出することにしています。

岸田総理大臣が、28日夜、記者団に対し、こうした方針を正式に表明することにしています。

岸田首相 外務省と文科省に登録に向け準備を指示

岸田総理大臣は28日午後、総理大臣官邸で林外務大臣と末松文部科学大臣と会談しました。

この中で、岸田総理大臣は、世界文化遺産への登録を目指して新潟県などが要望している「佐渡島の金山」をユネスコに推薦する方針を伝え、外務省と文部科学省で登録の実現に向け準備を進めるよう指示しました。

松野官房長官「韓国側の独自の主張 受け入れられず」

松野官房長官は午後の記者会見で「佐渡島の金山」の価値について「文化審議会による答申で、全体として顕著な普遍的価値が認められ得ると考えられ、かつ十分な保護措置を受けていることから、今年度、推薦することが適当と思われる候補として選定する旨が記述されている」と指摘しました。

また、韓国が反発していることついて「韓国側の独自の主張については、日本側としてまったく受け入れられず、韓国側に強く申し入れを行っているが、外交上のやりとりの詳細は差し控えたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「極めて妥当な判断」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「極めて妥当な判断だ。江戸時代の遺跡として申請するので、何ら外国との間での問題はなく、当然の判断だ。推薦する以上は認定されることも極めて重要であり、関係省庁が総力を挙げて、関係国などに働きかけてもらいたい」と述べました。

立民 泉代表「まずは前進したこと評価」

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「まずは前進したことを評価したい。『佐渡島の金山』は、日本が育ててきた産業を表す有意義なものであり、 政府が、なぜ最初は推薦に後ろ向きだったのか非常に疑問を持っていた。ここでも、岸田政権はあとから政策を見直しており、最初から正しい判断をしてもらいたい」と述べました。

推薦めぐる両論

政府内に「佐渡島の金山」の推薦に慎重な意見があった背景には、ユネスコの仕組みに対するこれまでの日本の対応があります。

7年前の2015年、古文書などを保護する「世界の記憶」に、「南京事件」に関する資料が登録されました。

「南京事件」に対する見解が中国と異なる日本政府は、制度が政治利用されているとして見直しを求めてきました。

そして去年4月、登録の申請に関係国から異議が出た場合は、対話などを求める制度の変更が行われました。

そして、「世界文化遺産」への登録をめぐっても、去年7月に推薦書の提出前に関係国との対話を促す指針が採択されています。

韓国が反発する今回、推薦すれば「ダブルスタンダードだ」といった日本への批判を招きかねないといった懸念もありました。

また、「世界文化遺産」は、21の委員国によるユネスコの世界遺産委員会が決めることになっていて、「登録はふさわしくない」と判断されれば、原則、再推薦はできないことになっています。

このため、韓国の反発の審査への影響が見通せない中ではリスクが大きすぎるとして、推薦を見送るべきだという意見もありました。

一方で、自民党内では保守派の議員を中心に「佐渡島の金山」は、江戸時代までを指定して登録を目指していて、朝鮮半島出身の労働者に関する韓国の反発は、時代が異なる不当なものだとする主張もあります。

また、来年以降世界遺産委員会の改選で韓国が委員国になる可能性もある中で、推薦を先送りすれば、かえって、登録が困難になるのではないかという指摘も出ていました。

地元では歓迎の声

政府が「佐渡島の金山」をユネスコに推薦する方針を固めたことについて、新潟県佐渡市では歓迎の声が聞かれました。

佐渡市の50代の女性は「よかったと思います。昔からの形で残っているのがすごいと思います。今は観光業が落ち込んでいるので、いろんな人に来てもらいたいです」と期待を寄せていました。

また70代の男性は「よかったです。昔の人がここまでやったかということが金山の魅力です。観光業にもプラスの面があってほしいです」と話していました。

また、仕事で佐渡を訪れたという20代の男性は「金山には2、3回行きました。人形などが展示され、どういう作業していたかなど分かりやすいと思います。コロナ禍で大変だと思いますが盛り上がればいいと思います」と話していました。