イギリス 感染者減で屋内公共施設でのマスク着用義務など撤廃

イギリスでは、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあるとして、屋内の公共施設でのマスク着用の義務などが撤廃されました。
ただ、スーパーや公共交通機関では、引き続きマスク着用を求めるなど慎重な動きも出ています。

イギリスでは、変異ウイルスのオミクロン株の感染拡大にともない、今月上旬に一時20万人を超えていた一日の感染者は、10万人前後で推移しています。

ロンドンのあるイングランドでは、感染者数が減少傾向にあるとして、段階的に規制を緩和していて、27日からは屋内の公共施設などでのマスク着用の義務や、ナイトクラブなどでのワクチンの接種証明の提示が撤廃されました。
ただ、スーパーなどでは、利用客や店員に対し、引き続きマスク着用を求めるなど慎重な動きも出ています。

このうちロンドンにある食料品店でも、多くの利用客が店内に入る際にマスクをつけて買い物をしていました。
利用客からは「自分だけでなく、まわりの人を守るために必要だ」という声があった一方、マスクをつけていない人も見られ、店の経営者は「70%から80%の利用客は理解してくれると思う」と話していました。
ロンドンでは市営の地下鉄やバスでもマスクの着用が引き続き求められています。

イギリス政府は来月、ワクチンの接種を終えている人に対し、入国後の検査を撤廃するほか、3月には感染者の隔離義務についても撤廃する見通しで、新型コロナとの共生を目指す路線を鮮明にしています。

専門家「政府は一定程度のリスク 受け入れている」

感染症疫学が専門で、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のデビッド・ヘイマン教授は、NHKの取材に対して、感染者の数などが依然として多い状況で、規制が緩和されることについて「イギリス政府はリスクを勘案し、現在のリスクは許容できると判断したとみられる。経済を望ましい状態に戻すため、一定程度のリスクを受け入れている」と述べ、コロナとの共生をめざそうとするイギリス政府の判断に理解を示しました。

またイギリスでは、人口の97%がワクチンの接種やウイルスの感染によって、新型コロナウイルスへの免疫を持っているとみられるとしたうえで「規制を緩和するためには感染が拡大した際に感知し、迅速に対応することが必要で、イギリスにはそのシステムが整っている」としています。

そしてヘイマン教授は、こうしたシステムを前提にイギリス政府は、規制を国民に強いるのではなくインフルエンザのように個人がリスクを管理する体制へと移行しようとしていると指摘しました。