「まん延防止措置」きょうから適用地域拡大 各地の動きは

新型コロナウイルスの急激な感染拡大が続く中、まん延防止等重点措置の適用地域が27日から34都道府県に広がりました。対象の地域では、さまざまな声が聞かれました。

福岡県 飲食店への時短要請 継続へ

福岡県では、一日に発表される新規感染者が3000人を超えるなど感染の急拡大が続いていて、27日からまん延防止等重点措置が県内全域に適用されました。

期間は来月20日までの予定です。

服部知事は、27日朝、記者団に対し「感染の拡大にいまだ歯止めがかからない状況で、病床の使用率も30%を超える可能性がある。最大の対策は一人一人が基本的な感染防止対策を徹底し慎重に行動することだ。要請内容はこれまでの県単独措置と変わらないが、一段の協力と理解をお願いしたい」と述べました。

福岡県は、すでに県独自のコロナ警報を発動し、今週24日から飲食店に営業時間の短縮などを要請していて、まん延防止等重点措置の期間も時短要請などを継続することにしています。

法律に基づく重点措置では、要請に応じない店に「命令」を出すことができ、それでも従わない場合は20万円以下の過料を科すことも可能になります。

県は、病床の使用率が30%に達した場合、コロナ警報を特別警報に切り替えるとともに、50%を上回れば緊急事態宣言の発出も考えられるとして政府と協議していく方針です。

大阪府 措置の効果を期待する声と疑問視する声

感染の急拡大が続く中、近畿地方では大阪、兵庫、京都の3府県に27日からまん延防止等重点措置が適用され、飲食店への時短要請などが始まりました。

大阪の街頭では措置の効果を期待する声と疑問視する声とが聞かれました。

大阪、兵庫、京都の3府県は、まん延防止等重点措置の適用に伴い、認証を受けている飲食店は
▽酒類の提供を午後8時半まで、営業時間を午後9時までとするか
▽酒類を提供せずに営業時間を午後8時までとするか選べるようにし、認証を受けていない店には酒類の提供を認めず、営業時間を午後8時までにするよう要請しています。

こうした措置について大阪・中央区の天満橋駅周辺では、効果を期待する声と疑問視する声が聞かれました。

このうち70代の女性は「自分の周囲でも感染が増えているので、時短要請などの措置はしかたないし、一定の効果があると思う」と話していました。

40代の女性は「これだけ感染が増えて何もしないわけにはいかないから要請をしたと思うが、状況はあまり変わらないのではないか」と話しました。

60代の男性は「一人一人がきちんと対策を取るしか、感染を終息させる方法はないと思う」と話しました。

重点措置の適用は3府県とも府県内の全域が対象で、期間は来月20日までです。

企業の間では在宅勤務を強化する動きも

「まん延防止等重点措置」が適用されたことを受け、企業の間では在宅勤務を強化する動きが広がっています。

このうち、大阪市に本社がある大手機械メーカーの「クボタ」では、27日から本社などの事務部門を原則、在宅勤務としました。

感染の急拡大を受けて、会社では先週、社員の出社率を従来の原則、5割以下から3割以下に引き下げて在宅勤務を強化していましたが、対策をさらに一段、進めた形です。

27日、本社では、来月に控えた決算発表を担当する社員などが出社していましたが、人影はまばらでした。

一方、大阪や兵庫などにある工場では、感染対策を徹底したうえで生産を続けるとしています。

クボタ人事部の近藤慎介労務厚生課長は「家族から感染するケースが多く今週に入ってからは1日当たり30人から40人の社員が感染している。在宅勤務は社内で感染拡大するリスクを減らす効果が見込める」と話していました。

このほかにも、パナソニックが措置の適用地域にあるオフィスなどに勤務する社員は原則、在宅勤務としたほか、大阪に本社がある「大和ハウス工業」も措置の適用地域では営業部門を含めたすべての部署で出社率を3割以下に抑えるなど、関西の企業の間では対策を強化する動きが広がっています。

北海道 北見 乳幼児検診などを中止

北海道内全域を対象に、まん延防止等重点措置の適用が27日から始まり、北見市は、子どもの感染が相次いでいるとして、来月20日までの期間中、多くの子どもが1か所に集まる乳幼児検診などを中止しました。

まん延防止等重点措置の適用を受けて北見市は、多くの子どもが1か所に集まって行う乳幼児検診や母親学級といった保健事業を、来月20日まで中止することを決めました。

保護者には中止を電話で連絡していて、個別の健康相談や家庭訪問は事前の予約を受け付けて実施するということです。

北見市内では、市が運営する保育園で職員28人と園児46人の合わせて74人の集団感染が確認されるなど子どもの感染が相次いでいます。

北見市健康推進課の福浦謙二課長は「子どもへの感染が拡大する中で、多くの子どもが集まる保健事業を中止せざるを得なかった。感染から子どもを守ることが重要なので、危機感を持って取り組んでいきたい」と話していました。