フリーランス 出版業界労組が報酬10%引き上げ求め初の要望へ

ことしの春闘にあわせてフリーランスの待遇改善を進めようという動きが出ています。出版業界でフリーランスとして働く人の労働組合が報酬の10%引き上げを求め、業界団体に初めて要望を行うことを決めました。

要望を行うのはフリーランスとして働くライターや編集者など200人余りでつくる労働組合「出版ネッツ」です。

労働組合によりますと、出版業界ではインターネットの記事やコンテンツの作成などの仕事が増えていてフリーランスとして働く人も増加する傾向にあるといいます。

一方でフリーランスは企業などから個人で仕事を受けるケースが多く、経験や技術が上がっても報酬の引き上げを求めることが難しいという声が相次いでいます。

このためことしの春闘にあわせて出版業界でフリーランスとして働く人について報酬の10%引き上げを求め、業界団体に初めて要望を行うことを決めました。

出版業界だけでなく音楽や映像制作などほかの業種で働くフリーランスの人にも呼びかけ、業界全体での待遇改善の動きにつなげたいとしています。

「弱い立場を変えていきたい」

「出版ネッツ」の樋口聡執行委員長は「フリーランスとして働く人は今後増えると言われていますが、企業との関係で弱い立場にあるのでそうした状況を変えていきたい」と話していました。

フリーライターの男性は…

労働組合「出版ネッツ」に加入している小林拓矢さん(42)は17年前からフリーライターとして仕事をしています。現在は鉄道関連を中心に1か月に10本から20本ほどの記事を書いています。

仕事を始めたころは出版社からの依頼で雑誌向けに記事を書くことがほとんどでしたが、8年ほど前から雑誌に加えてネットメディアからの依頼も多くなりました。

一方で小林さんの報酬は記事1本当たり数千円から2万5000円ほどで評判や反響によって報酬が上乗せされることもありますが、基本的な金額は変わっていないといいます。

このため働き過ぎで体調を崩さないように気をつけながら、できるだけ多くの仕事をすることで収入を確保していました。

しかし新型コロナウイルスの影響で取材相手と会ったりイベントに参加したりすることが難しくなっていて、それまでのように記事を書くことができず収入の確保が厳しくなっているといいます。

小林さんは「とにかく体調を整えて書いていかなければならない。そうした日々がほぼ毎日、続いているので大変です。出版業界のフリーランスの間では新型コロナの影響で特に経験の少なく若い人の仕事が減り苦しい状況になっている。報酬が上がるようになってほしい」と話していました。

フリーランス 年々増えるも…

働き方が多様化しフリーランスとして働く人は年々増えているとみられます。

厚生労働省などによりますと、企業などから個人で仕事の発注を受け報酬を得ている人は2019年の時点でおよそ170万人に上るとされ、年々増えているとみられます。

フリーランスは雇用契約を結んで働く労働者のように定期昇給やベースアップなどで収入が増えるということはなく、法律で定める最低賃金も適用されません。

厚生労働省などが設けたフリーランスで働く人を対象にした相談窓口「フリーランス・トラブル110番」には去年11月末までの1年間に報酬の不払いや一方的な減額などの相談がおよそ4000件寄せられていて、政府も対策の強化を検討しています。