専門家会合「短期的には感染拡大継続」 基本的対策徹底を

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染状況について10歳未満の感染が増加するなど急速な増加が続き療養者数が急増し重症者数も増加しているとして、救急搬送が困難なケースが去年夏の感染の第5波を上回るなど特に救急医療に大きな負荷がかかっていると指摘しました。

そして「今後も短期的には全国で感染拡大が継続する」として、オミクロン株の特性を踏まえ1つの密でも避けるほか不織布マスクの正しい着用や換気など基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。

専門家会合は今回の感染者の急増について忘年会やクリスマス、年末年始や今月の3連休などで接触機会が増えた影響が大きかったものの、感染の場は家庭や職場、学校、医療機関、介護施設などに広がりつつあるとしていて「今後も少なくとも短期的には全国で拡大が継続すると考えられる」と分析しました。

そしてほぼすべての地域で新規感染者の急速な増加が続いていて、年代別では20代の感染が減少する一方10歳未満が増加しているとしています。

一方、沖縄県では20代を中心にした若い世代の感染が減少する一方で60代以上で増加し入院するケースが増加し続けていると指摘し、今後、他の地域でも同様の傾向が見られる可能性があると注意を呼びかけました。

また感染の急拡大で軽症、中等症の患者の医療体制が急速にひっ迫する可能性があるほか、その後、高齢者に感染が広がって重症者が増加し感染によって基礎疾患のある人の状態が悪化するなどして入院が必要な患者が増加することに注意が必要だとしています。

さらに救急搬送が困難なケースが去年夏の感染の第5波を上回るなど、特に救急医療に大きな負荷がかかっていると指摘しました。

一方、専門家会合はオミクロン株のうち「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスが海外の一部の地域で拡大し、国内でも検疫などで見つかっているとしています。

「BA.2」は現在最も広がっているオミクロン株の系統と比べて入院に至る割合が異なるかどうか明確ではないものの、ゲノム解析など調査を続ける必要があるとしています。

こうした分析を踏まえ専門家会合は、オミクロン株の特性に応じた対策を迅速に実施する必要があり社会機能を維持するためにもテレワークの活用などで接触機会を減らすとともに、1つの密でも避け外出の際には混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けるほか不織布マスクの正しい着用や手指の消毒、換気などの基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。

脇田座長「どの時点で減少に向かうかはっきりせず」

厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字座長は、オミクロン株の今後の感染状況について「海外の多くの国では人口当たりの感染者数が日本の10倍ほどとなっていて、そうした国では集団免疫が一定程度獲得され流行の収束が始まっている可能性が考えられる。ただ日本ではまだそういった状況には至っていない。年末年始の休みのあとも感染拡大が続いている状況でどの時点で減少に向かうかはまだはっきりとしていないという議論があった。沖縄では流行のピークを過ぎたようにみえるが若者の感染者数は減少しているものの高齢者では増加傾向となっている。感染者数が減少する速度もゆっくりで、沖縄県のような傾向が今後ほかの地域でもみられる可能性がある。今後の状況をさらに注視する必要がある」と話していました。

新規感染者数 前週比2.21倍

専門家会合で示された資料によりますと、25日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて2.21倍と急速な感染拡大が続いています。

まん延防止等重点措置の延長が決まった地域では広島県が1.37倍、山口県が1.43倍と増加が続いています。一方、沖縄県は0.80倍と減少しました。

今月21日からまん延防止等重点措置が適用されている地域では、首都圏の1都3県では東京都で2.51倍、神奈川県で2.65倍、千葉県で2.45倍、埼玉県で2.40倍と増加が続いています。

また新潟県で1.93倍、群馬県で2.37倍、東海3県では愛知県で2.47倍、岐阜県で2.31倍、三重県で1.89倍などとなっているほか、香川県で2.32倍、長崎県で2.60倍、熊本県で1.84倍、宮崎県で2.71倍となっています。

さらに27日からまん延防止等重点措置の適用される地域では北海道で2.84倍、青森県で1.88倍、山形県で2.46倍、福島県で2.52倍、茨城県で2.48倍、栃木県で2.13倍、石川県で3.29倍、長野県で1.98倍、静岡県で2.44倍、京都府で2.01倍、大阪府で2.02倍、兵庫県で2.57倍、島根県で1.68倍、岡山県で2.69倍、福岡県で2.73倍、佐賀県で1.80倍、大分県で2.85倍、鹿児島県で2.33倍といずれも増加しています。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると沖縄県が最も多く547.40人、大阪府で512.54人、東京都で482.11人、京都府で374.42人、福岡県で350.17人、兵庫県で339.52人、広島県で334.29人などとなっていて全国では276.33人と過去最多となっています。