5歳~11歳のワクチン接種 保護者の「努力義務」か意見分かれる

新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳の子どもへの接種について、厚生労働省は無料で受けられる公的な予防接種に位置づける方針を決めました。接種を保護者の「努力義務」とするかどうかについては、専門家の間で意見が分かれ、引き続き議論することになりました。

厚生労働省はファイザーからの申請を受けて先週21日、5歳から11歳の子どももワクチンの接種対象に加えることを承認し、26日は専門家でつくる分科会で接種の進め方を検討しました。

このなかで、子どもへの接種を、無料で受けられる公的な予防接種に位置づける方針を決めたうえで、保護者の「努力義務」とするかどうかが議論されました。

新型コロナウイルスワクチンの接種は、法律で妊婦をのぞくすべての対象者の「努力義務」とされています。

専門家からは「努力義務とすることで保護者が仕事を休みやすくなるなどの効果が期待できる」とか「努力義務としない場合『子どもは打たなくていい』というメッセージに受け取られかねない」という意見が出された一方で「オミクロン株に対して感染を防ぐ効果が、子どもについても期待できるのか明確ではない」「妊婦を適用除外にしたのと同じように、十分なデータがそろうまで待つべきだ」という意見も相次ぎました。

このため、5歳から11歳の接種を保護者の「努力義務」とするかどうかは引き続き議論することになりました。

「努力義務」とは

「努力義務」とは、接種を受けるよう努めなければならないとする予防接種法の規定で、日本脳炎や風疹など定期接種のワクチンの多くに適用されています。

かつての予防接種法では「義務」とされ、受けなかった場合は罰則もありましたが、個人の意思を尊重すべきだとして平成6年に「努力義務」に改められました。

新型コロナウイルスのワクチンについても、まん延防止の観点から「努力義務」と位置づけられています。

本人や、16歳未満の場合は保護者が有効性や安全性を考慮して接種するかどうかを決めることになっていて、接種を受けなかったとしても罰則はありません。

妊娠中の女性は胎児への影響に関するデータが不足しているなどとして対象になっていません。

26日の分科会では専門家から「『義務』ということばに拒否反応もある。本来は、接種するかどうかを選択できるという趣旨であり、その意味が正しく伝わるように説明する必要がある」といった意見も出ていました。

松野官房長官「早ければ再来月以降に接種開始」

松野官房長官は、26日午後の記者会見で「子ども用のワクチンは来月から輸入される予定で、早ければ再来月以降、接種を開始できる見込みだ。政府としては、必要な手続きを進めていくとともに、準備にあたって留意すべき事項について、地方自治体に対して速やかに示すなど、円滑な実施に向けて万全を期していきたい」と述べました。