「まん延防止措置」追加の各地 飲食店や観光地などの反応は

新型コロナ対策で、政府はまん延防止等重点措置を適用する地域に、関西3府県など18道府県を追加し、期間は27日から来月20日までとするとともに、今月31日までとなっている沖縄、山口、広島の3県の期限を来月20日まで延長することを決めました。
これにより、重点措置の適用地域は34の都道府県に拡大されます。

新たに適用が決まった地域の受け止めや動きです。

兵庫 神戸市のPCR検査所 検査キット間に合わず長蛇の列

神戸市中央区の元町商店街に設けられた無料のPCR検査所では、25日午前8時半に検査が始まりましたが、30分ほどすると検査キットの供給が間に合わなくなり、その後、午後2時ごろまで、5時間近くにわたって検査ができない状態となりました。

その場で再開を待つ人も多くいて、午後1時ごろには70人以上の長い列ができていました。
先頭で4時間ほど待っていた18歳の男子高校生は「感染すると学校にも行けなくなるので心配で受けに来ました。長く待たされて寒くておなかもすきました。検査を早く終わらせたいです」と話していました。

また、神戸市灘区の50代のパート従業員の女性は「周りに感染している人がいませんが、感染しているか不安だったので受けに来ました。待ったのでしっかり案内をしてほしかったです」と話していました。

兵庫 姫路市の飲食店「また閉めるのは悔しい」

兵庫県は措置の対象は県内全域とし、飲食店には時短営業などを要請することを決めました。

こうした中、姫路市にある居酒屋は措置が適用される27日から臨時休業することを決めました。

今月21日、東京都などにまん延防止等重点措置が適用されて以降、客の流れが止まり、営業しても赤字になる可能性があることから、休業を決断したということです。
経営する宮田幸昌さん(48)は「客層がサラリーマンなので、会社が宴会を禁止するとお客さんが来なくなり、食材や電気代のロスが多く採算が取れなくなる。久しぶりに店を開けた時にはお客さんが来てうれしかったがまた閉めるのはさみしく悔しい」と話していました。

大阪 宿泊療養施設を増設 看護師を緊急募集

大阪では、感染者の急増にともなって宿泊療養の増設を急いでいます。

これを受けて、大阪府看護協会は施設で感染者の健康管理などを行う看護師の確保を急ピッチで進めています。

大阪府内では24日時点で宿泊療養施設で療養している人は2554人にのぼります。
このうち、大阪 浪速区の宿泊療養施設ではおよそ140人が療養中で、看護師が朝から療養者に電話をして健康状態を確認するなど、慌ただしく対応していました。

感染が急拡大する中、府は感染者の急増に対応するため24日までの1週間に新たに7つの宿泊療養施設を開設し、25日の時点で施設の数は35か所、1万室余りとなっています。
施設の増設を受けて、療養者の健康管理などを行う看護師の増員が必要になり、大阪府看護協会では看護師を緊急に募集しています。

協会は来月上旬までに100人の新たな看護師の確保を目指していて、今月に入ってからは毎日、看護師の面接と採用者への研修を行うなど対応に追われています。

大阪府看護協会の高橋弘枝会長は「3回目のワクチン接種でも人手がいるので看護師を集めるのはすごく大変な状況です。できるだけ多くの看護師の方にご協力をいただきなんとか、対応できるようにしたい」と話しています。

大阪 天王寺動物園は臨時休園に

感染の広がりにより、急きょ対応を迫られる施設も出ています。

大阪の天王寺動物園では、複数の職員が新型コロナに感染したり、自宅待機になったりしたため、25日から当面休園となり、入り口には「臨時休園」と書かれたポスターが貼られました。
動物園によりますと、開園のためには動物を寝室から展示場に移す必要がありますが、ふだん担当ではない職員が行うと事故につながるおそれがあるということです。

休園の判断について向井猛園長は「職員や動物、お客様の安全を考慮して苦渋の決断ですが臨時休園としました」と話しました。

そのうえで「私たち動物園の職員は動物にとってのエッセンシャルワーカーです。休んでいる職員に代わって普段とは違う動物を担当する職員には、慎重に業務にあたるよう指示しました」と話していました。

石川 初めて適用となる羽咋市では

石川県は、過去2回の「まん延防止等重点措置」の対象地域はいずれも金沢市でしたが、今回の重点措置の対象は県内全域とされます。

羽咋市で養殖のかきなどを出している飲食店では「お酒が飲める時間が短い」などといった理由で、夜の時間帯の団体客の予約は、キャンセルがすでに20件ほどにのぼっているということです。

店を運営する会社の酒井光博社長は「県外からのお客さんも増えてきていたが、キャンセルの電話ばかりで残念です」と話していました。
一方で、県内全域に重点措置が適用され、時短要請などへの協力金が受け取れることについては納得感があるといいます。

酒井社長は「過去の重点措置の適用期間中も能登方面に全く客が来なくなっていたので今回、県内全域に措置が適用されることはむしろ妥当だと思う。可能なかぎりの感染対策をしながら、経営を続けていきたい」と話していました。

福島 会津若松市 修学旅行生の姿なく観光への懸念も

歴史ある建物や蔵が建ち並び全国から観光客が訪れる福島県会津若松市内中心部の「七日町通り」。

感染が下火になったため、先月は全国各地から訪れた修学旅行生の姿が目立ちましたが、全国的な感染急拡大を受けてそうした光景は見られなくなりました。
江戸時代から続く絵ろうそく店「ほしばん」では、県外の観光客からの売り上げが8割を占めているということで、店主の星一榮さんは、「先月はお客さんがたくさん来ましたが、今月あたりからまた暇になってきました。重点措置によって県外のお客さんが来なくなるので、売り上げが心配です」と話していました。

島根 松江市 利用客減る遊覧船は

島根県の松江城の堀をめぐる「堀川遊覧船」はおととし以降、団体客の予約がほとんど無く利用者数はコロナ前の4割程度にとどまる状況が続いていました。

感染状況が比較的落ち着いた去年9月以降は、利用者数がコロナ前の6割ほどにまで回復していましたが、感染の急拡大などを受けて今月上旬からは再び減少しています。

例年これから3月にかけては卒業旅行などで利用者の増加が期待されますが、「まん延防止等重点措置」が適用されるのを受けて、さらに利用者が減少するのではないかと懸念の声が出ています。

遊覧船を運航する松江市観光振興公社の伊藤竜男事務局長は「残念なことではあるがしかたがない。措置が解除されてからまた多くの人に来てもらえるよう頑張りたい」と話していました。