「まん延防止」 18道府県の追加を諮問へ 24日の動きまとめ

飲食店への営業時間の短縮などを要請する「まん延防止等重点措置」。
現在、首都圏の1都3県や東海3県など合わせて16都県に適用されていますが、その後も国への要請が相次ぎ、政府は18道府県を追加することを25日に開かれる政府の分科会に諮る方針を固めました。
24日の動きをまとめました。

松野官房長官「18道府県から適用の要請」

松野官房長官は記者会見で、これまでに要請のあった北海道や大阪府など10道府県に加え、島根県や青森県など24日に要請のあった8県を加えた18道府県から要請があったことを明らかにしました。

▽北海道 ▽青森県 ▽山形県 ▽福島県 ▽栃木県 ▽茨城県 ▽長野県 ▽静岡県
▽石川県 ▽大阪府 ▽京都府 ▽兵庫県 ▽岡山県 ▽島根県 ▽福岡県 ▽大分県
▽佐賀県 ▽鹿児島県

岸田首相「1月27日から2月20日まで適用の方針」

これを受けて、岸田総理大臣は24日夜、後藤厚生労働大臣や山際新型コロナ対策担当大臣ら関係閣僚と詰めの調整を行いました。
その結果、要請のあった18道府県に対し、1月27日から2月20日まで重点措置を適用する方針を固めました。
こうした方針について政府は、25日に感染症などの専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮り、国会に報告したうえで対策本部で正式に決定することにしています。
方針どおり決まれば、重点措置の適用地域は34の都道府県に拡大されることになります。

青森・山形・長野・島根 決まれば初の適用へ

24日はこれに先だって、適用の要請が相次ぎました。

<青森県>
青森県の重点措置の対象は、感染拡大が続いている弘前市です。
県は、重点措置の適用が認められれば25日に新型コロナの危機対策本部会議を開き、弘前市内の飲食店などを対象とした営業時間の短縮要請などを決めることにしています。
青森県が「まん延防止等重点措置」の適用を求めるのは今回が初めてです。
三村知事は記者会見で「弘前市は突出して感染が拡大しており、さらなる対策が必要だ。若い世代中心だった感染が幅広い世代に広がりつつあり、ほかの地域への広がりを抑えるためにもこの地域の対策が必要で、弘前市と協議の上、要請を決めた」と述べました。
青森県では23日までの6日間連続で新規感染者の発表が100人を超えていて、特に弘前市を含む弘前保健所管内では、23日の発表で県全体の感染確認の7割以上を占めるなど感染拡大が続いています。
〈山形県〉
山形県は新型コロナの対策などを話し合う危機対策本部の会議を開き、その後の記者会見で吉村知事が適用を要請したことを明らかにしました。
山形県が適用を求めるのは初めてで、県によりますと、重点措置の対象は、▽山形市のほか、▽酒田市、鶴岡市、遊佐町、庄内町、三川町の庄内全域で、期間は1月27日から2月20日までとなる見込みです。
山形県内では24日までの1週間で新たに496人が新型コロナに感染していることが確認され、このうち、▽山形市は150人、▽庄内の2市3町で271人と、これらの3市3町で県全体の感染確認のおよそ85%を占めています。
吉村知事は「オミクロン株は感染拡大のスピードが非常に速い。県独自の緊急事態宣言や『特別集中期間』を設けて対応したこともあったが、とにかく今回は感染者が急増しているため、保健医療がひっ迫するという強い危機感がある」と述べました。
県は、重点措置の適用が認められれば、25日に改めて危機対策本部の会議を開き、▽3市3町の飲食店を対象にした営業時間の短縮要請や、▽外出や移動の自粛、▽イベントの制限などの具体的な内容を決めることにしています。
<長野県>
長野県の阿部知事は記者会見を開き、国に「まん延防止等重点措置」の適用を要請したことを明らかにしました。
理由については「感染者の激増で病床使用率が36.3%に達し、要請の基準としていた35%を超えた。1週間あたりの感染者が3000人、濃厚接触者も9000人を超え社会機能の維持に影響が出始めている」と説明しました。
国が長野県への重点措置の適用を決定すれば、初めてのこととなります。
適用された場合、県は県内全域を対象とする方針で、重点措置に伴う対策として、すべての飲食店に対し営業時間の短縮を要請するほか、県立の学校に対して授業をオンラインや自宅学習に切り替えることや、部活動や学校行事の原則中止などを求めることにしています。
政府が適用を決めた場合、県は26日にも対策本部会議を開き、対策の詳細を決めることにしています。
<島根県>
島根県内では直近1週間での人口10万人当たりの新規陽性者の数が167人と感染拡大が急速に進み、保健所の調査や自宅療養者の健康観察などの業務体制がひっ迫しつつあり、このままのペースで療養者の数が増え続けると医療提供体制にも大きな支障が生じかねないとしています。
島根県が「まん延防止等重点措置」の適用を求めるのは、今回が初めてです。
重点措置の対象は県内全域で、適用されると、飲食店に対して営業時間の短縮などを要請することができます。
県の認証を受けている店は
▽営業時間を午後9時までとし午後8時まで酒類の提供を行うか、
▽営業時間を午後8時までとして酒類を提供しないかのどちらかを選べる形にするということです。
一方、認証を受けていない店に対しては営業時間を午後8時までとし、酒類の提供を行わないことを要請し、いずれにも応じた場合は協力金が支払われます。
丸山知事は、「県独自でできることに加えて政府、法律に基づく措置などあらゆる手段を総動員し、なんとか重点措置の期間内に収束への道筋をつけたい」と述べました。
<鹿児島県>
鹿児島県内では23日、感染者が400人を超えて過去最多を更新するなど、急速な感染拡大が続いていて、県は24日午前、まん延防止等重点措置の適用を国に要請しました。
これを前に塩田知事は記者団に対し「職場や学校、家庭内など感染が全体的に広がっている。県内全体で一丸となって対策に取り組んでいく必要がある。九州が足並みをそろえて重点措置の適用を申請し、感染を抑え込まなければならない」と述べました。そのうえで塩田知事は、鹿児島市や霧島市などすでに飲食店への時短要請を行っている地域以外でも感染が拡大しているとして、重点措置が適用された場合、県内全域を対象地域とし、すべての飲食店に対し時短要請を行う方向で検討していることを明らかにしました。

広島・山口・沖縄の3県は延長方針も固める

政府は、すでに重点措置が適用されている沖縄、山口、広島の3県から1月31日までの期限の延長要請を受け、2月20日まで期限を延長する方針です。

<広島県>
新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて、広島県には1月9日から「まん延防止等重点措置」が適用されています。
県は県内23のすべての市と町を対象区域に指定し、飲食店に営業時間を短縮するよう要請するなどの感染防止対策を実施していますが、県内では1日に発表される新規感染者が23日まで5日連続で1000人を超えるなど、厳しい感染状況が続いています。
これを踏まえ県は、新規感染者が増えるスピードは緩やかになっているがいまだに増加傾向にあるとして、国に対し今月31日が期限の重点措置の期間を延長するよう要請しました。
要請では、対象区域を引き続き県内23のすべての市と町とし、延長する期間は感染者を安定的に低いレベルでコントロールできるまでとしています。
要請のあと湯崎知事は記者会見し、県民に対して「医療のひっ迫を防ぐため、感染を減少に向かわせることが必要だ。皆さんが感染せず、医療を守るために対策の継続といま一度の徹底をお願いしたい」と呼びかけました。
重点措置の延長について高校3年生の男子生徒は「延長はしかたないと思うが、行事やイベントができない期間が続いて寂しいので、早く解除してもらいたいという気持ちもある」と話していました。
また、70代の女性は「感染者が多いので期間の延長はしかたない。平日もそうだが、土日は特に外出している人の数が少なく感じる」と話していました。
20代の会社員の女性は「感染が急拡大したので職場ではリモート出勤が増えて私も出社とリモートを交互に使っている。出社率は半分くらいに抑えられている印象だ」と話していました。
<山口県>
山口県では今月31日を期限に「まん延防止等重点措置」が適用されていて、県は対象地域の岩国市と和木町の飲食店に、営業時間の短縮や酒類の提供の停止などを要請しています。
しかし県内では感染拡大が続いていることから、県は延長を政府に要請することを決め、直ちに要請しました。
延長された場合、県は措置の対象を県内すべての市と町に拡大する方針です。
飲食店に対しては営業時間の短縮を求めるとしていて、感染対策の県の認証を受けている場合は酒類の提供を午後8時までとして、営業を午後9時までとするか、酒類を提供せずに営業を午後8時までとするか、店側が選択できるようにします。
一方、認証を受けていない店には、酒類の提供は行わず午後8時までの営業時間の短縮を求めるということで、要請に応じた飲食店には売り上げに応じて1日あたり3万円から10万円の協力金が支給されます。
村岡知事は「県内の医療提供体制への負荷が徐々に増えている。感染拡大防止に向け引き続きブレーキを踏んでいかなければいけない」と理解を求めました。
<沖縄県>
沖縄県には、今月31日を期限に「まん延防止等重点措置」が適用されていて、県はすべての市町村の飲食店に営業時間の短縮などを要請しています。こうした中、県は24日、新型コロナの対策本部会議を開いて今後の対応を話し合いました。
会議では、感染して入院する高齢者や高齢者施設内での感染者が増えていることに加え、来月には親族での集まりなどが増える旧正月を控えていることを踏まえ、重点措置を今月末で解除すれば幅広い世代で感染がさらに拡大するおそれがあるとして延長を国に要請することを決定しました。
延長の期間は来月20日ごろまでの3週間程度としていますが、感染者が大幅に減少したり、ひっ迫した医療体制の改善が進んだりすれば前倒しして解除することを検討するとしています。