ウクライナ大使館職員家族に退避命令 職員自主退避も 米国務省

軍事的な緊張が続くウクライナ情勢を受けて、アメリカ国務省は、ウクライナに駐在するアメリカ大使館の職員の家族に国外退避を命じたほか、職員についても自主的に退避することを承認したと発表しました。

ウクライナの国境周辺に隣国のロシアがおよそ10万人とされる軍の部隊を展開し、緊張が続く中、アメリカ国務省は23日、ロシアによる軍事行動の脅威があるとして、ウクライナに駐在するアメリカ大使館の職員の家族に対し、国外退避を命じたと発表しました。

また、政府が雇用する職員に自主的に退避することを承認したほか、民間のアメリカ人に対しても即時に国外に出ることを検討するよう促すとしています。

発表の中で国務省は「ロシアがウクライナに対して大規模な軍事行動を計画しているという報告がある。特にウクライナの国境やロシアが占領するクリミア、それにウクライナ東部の治安状況は予測不能で、予告なく悪化するおそれがある」としています。

ウクライナ情勢をめぐっては先週、アメリカのブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相による会談が行われ、協議の継続で合意しましたが、両国の主張は大きく隔たっていて緊張緩和に向けた見通しは立っていません。

NATO加盟国が備えを強化

軍事的な緊張が続くウクライナ情勢を受けて、NATO=北大西洋条約機構の加盟国の間では、備えを強化するためとして、ヨーロッパ東部への艦船や戦闘機の派遣に向けた動きが出ています。

NATOの発表によりますと、デンマークは、バルト海にフリゲート艦を派遣するほか、今後、上空での監視活動を行う戦闘機4機をリトアニアに派遣する用意があるとしています。

またスペインやオランダもブルガリアに戦闘機を派遣する考えなどを示しています。

NATOのストルテンベルグ事務総長はこうした動きを評価したうえで「NATOは今後もすべての加盟国を守るため必要なあらゆる措置を講じる」としています。

松野官房長官「速やかに必要な措置を講じていく」

松野官房長官は、午前の記者会見で「アメリカをはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、引き続き事態の推移を注視しながら在留邦人の安全確保に万全を期すため、速やかに必要な措置を講じていく。在留邦人の安全確保に関しては、今月19日に速報的に注意を喚起するスポット情報を発出し、不測の事態に備えた準備を行うよう呼びかけたところだが、今後とも必要な情報を発信していく」と述べました。

専門家「万が一を想定か」

今回、アメリカ政府がウクライナに駐在するアメリカ大使館の職員の家族に国外退避を命じたことについて、笹川平和財団の畔蒜泰助主任研究員は「すでにロシア側がウクライナから外交官を退去させているという情報もあり、アメリカ側としても万が一のことを想定してこのような対処をするのは理解できる」と述べました。
そのうえで実際のウクライナへの侵攻の可能性については「今後の予測は難しい」とした一方で、ロシアがNATO=北大西洋条約機構をこれ以上拡大させないことを求めていることに対しアメリカ側が書面で回答することについて「NATOの問題でアメリカ側がゼロ回答だとロシアは絶対に受け入れられないだろう」と述べました。
そして「ウクライナの加盟について10年や20年の間、加盟を停止するモラトリアムを宣言するようなことが今回の回答に含まれるかどうかが1つの今後の展開の焦点になるのでは」と述べ、アメリカがロシアに対して妥協案を示すかどうかが焦点だと指摘しました。

イギリス 大使館職員や家族 一部退避

ウクライナ情勢を受けて、イギリス外務省は24日、ウクライナに駐在する大使館の職員や家族の一部が、退避を始めたことを明らかにしました。

大使館は閉鎖しておらず、今後も必要な業務を続けるとしています。

公共放送BBCは、当局者の話として、イギリスの外交官に差し迫った危機を確認しているわけではないが、およそ半数の職員がイギリスに帰国する見通しだと伝えています。

オーストラリア 大使館員家族に退避呼びかけ

ウクライナ情勢を受け、オーストラリア外務貿易省は24日、ウクライナに駐在する大使館員の家族に退避の呼びかけを始めたと明らかにしました。

また「武力衝突のおそれがある」として、ウクライナに滞在しているオーストラリア人に対し、国外に退避するよう呼びかけています。

そのうえで、現地の情勢は急に変化しかねないとして、状況によっては大使館業務が制限される可能性もあると、注意を呼びかけています。