若く重症化リスク低い人 医療機関受診せず自宅療養もありうる

急激な感染拡大を起こしているオミクロン株に応じた対策について、新型コロナウイルス対策にあたる専門家らは、さらに感染が急拡大した場合には医療の機能不全を防ぐため、若い世代で重症化リスクの低い人は必ずしも医療機関を受診せず自宅での療養を可能とすることもありうるなどとする提言をまとめ公表しました。

感染拡大のペースが速い一方、特に若い世代で重症化する割合が低い、オミクロン株に応じた効果的な対策を取るべきで、広範な「人流抑制」よりも、感染リスクが高い場面に絞った「人数制限」が適しているとしています。

提言は、政府の分科会や厚生労働省の専門家会合のメンバーなどがまとめ、21日公表しました。

この中では、感染拡大のスピードが極めて速いオミクロン株について、感染拡大から遅れて重症者や亡くなる人が増加している一方、基礎疾患がない50歳未満の人の多くは症状が軽く、自宅療養で回復していると指摘しています。

こうした特徴を踏まえ、高齢者など重症化リスクのある人への医療を確保し、コロナ以外の一般診療とも両立する必要があるとして、今後、感染がさらに急拡大した場合には「医療の機能不全を防ぐため、若い世代で重症化リスクの低い人については、必ずしも医療機関を受診せず自宅での療養を可能にすることもありうる」としました。

20日開かれた専門家会合では「若い世代は検査を行わず、症状だけで診断することを検討する」とする案を示していましたが、優先度の高い人に対する検査の重点化は行うという会合での議論を受けて記述を変更しました。

また、提言ではオミクロン株の感染が広がる場面について、3密を避けることが守られていない、大人数で大声を出す、換気の悪い場所での会食やパーティーなどで多くのクラスターが起きているとしています。

このため、社会経済活動との両立が求められる現時点で、外出自粛といった一律で広範な「人流抑制」よりも、感染リスクの高い場面や場所に絞って接触機会を確実に減らす「人数制限」が対策として適しているとしました。

一方で、専門家会合での議論を受けて「感染状況を踏まえて各都道府県知事の判断で人流抑制を呼びかけたり、医療ひっ迫が悪化した場合にはさらに強い対策が必要になったりする場合もある」という指摘も新たに盛り込みました。

そして、感染リスクに応じた具体的な対策として、感染リスクの高い場面や場所での活動を控えるよう呼びかける一方で、クラシックコンサートやスポーツ観戦などについてはこれまで行ってきた基本的な対策を徹底し、都道府県をまたぐ移動については、移動先での感染リスクの高い行動を控えるよう呼びかけました。

専門家らは医療のひっ迫が起きない程度に感染者数を抑え、医療や教育など社会機能への影響を最小限にしながら、重症化リスクのある人への医療を確保することで亡くなる人の数を最小化することが対策の目的になるとしています。