注文減で工場稼働停止も “まん延防止”16都県に 各地の動き

新型コロナの感染状況が悪化する中、まん延防止等重点措置の適用地域が21日から16都県に拡大されました。各地の動きです。

群馬 おしぼり工場稼働停止も「協力金制度 見直して」

重点措置の適用に伴う時短要請を受けて、群馬県内の飲食店などでは休業するところも多く、およそ700の店や宿泊施設におしぼりをレンタルしている前橋市の会社には注文のキャンセルが相次いでいます。
重点措置期間中の納入量は予定より3割ほど減る見込みで、21日は工場の稼働を急きょ停止しました。来週以降も稼働日数を週5日から4日に1日減らさざるをえないということです。
上州タオルの佐々木創副社長は「大打撃です。効率的な経営を心がけるしかありません。飲食関係の周辺業種には協力金がないので制度を見直してほしい」と話していました。

埼玉「ワクチン・検査パッケージ制度」適用も…

ワクチンの接種証明などを確認すれば飲食店が酒類を提供できるようにする取り組みを行っている埼玉県では、予約のキャンセルが相次ぐ店も出ています。

埼玉県は、感染対策と経済の両立を図るため接種証明などを確認して行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ制度」の適用を県に登録した飲食店を対象に、午前11時から午後8時半まで酒類の提供を認めるほか、人数制限を設けないとしています。
入間市の料亭では、店の入り口にステッカーを貼り、店員が客に接種証明か検査での陰性証明を確認したうえで席に案内しています。
この料亭には50人ほどの宴会ができる大広間があるため、県の取り組みを利用しましたが、感染の急拡大で12件あった宴会の予約はすべてキャンセルになったということです。

料亭を経営している石井清一さんは「お酒を出さないとお客に喜ばれないので登録しましたが、ワクチン接種証明や陰性証明の確認を求めるのは心苦しいです。厳しい状況ですが従業員もいるので、売り上げを確保するため頑張らなければいけないと思っています」と話していました。

東京 タクシー会社 点呼グループ分けで分散

東京・杉並区ではタクシー会社が重点措置の適用を受け、これまで30人ほどで行っていた朝の点呼を21日から10人以下にして、その分頻度を増やしました。
集まった運転手を複数のグループに分けて入れ替える形で行い、点呼で伝える内容も要点を絞ることで通常の半分ほどの時間に短くしました。
こうした対応はBCP=事業継続計画に基づいていて、会社では感染の急拡大を受けて20日、内容の見直しを行ったということです。
元の計画は地震を想定したもので、社員をどのように集めて復旧を進めるかに重点を置いていましたが、見直した計画は新たに感染の状況に応じて点呼の方法の変更や出勤抑制を行うことを盛り込みました。
今後「緊急事態宣言」が出た場合は、運転手が数人でも集まれば随時点呼を行う「流れ点呼」に変えるほか、運行管理者の出勤も最小限にすることにしています。
「葵交通」の田中秀和社長は「公共交通機関として、感染者が出た場合でも機能不全にならないよう対策を徹底してこの状況を乗り切っていきたい」と話していました。

鉄道会社で対策強化 「パンデミックダイヤ」作成も

首都圏の鉄道会社では、感染リスクにさらされても運行を維持できるよう、駅係員や乗務員の感染対策を強化するなどしています。
西武鉄道では、駅員たちがアクリル板を挟みながら乗客への対応を行ったり自動改札機や券売機を繰り返し消毒したりするなどして、感染防止に努めていました。

東京メトロでは、乗務員などの間で感染が広がった場合に運行をどう維持していくのか、BCP=事業継続計画に基づいてダイヤの調整を行うシミュレーションを始めています。
「平日ダイヤ」、「土日・休日ダイヤ」に加え、大幅に運行本数を減らす「パンデミックダイヤ」をつくり、感染が拡大する中でも減便させるダイヤに切り替えたり、他の運行拠点に所属する乗務員とカバーし合い必要な人員を確保したりするなどして運休だけは回避させたいとしています。

東京メトロ運転部の成田喜代志課長補佐は「オミクロン株が猛威を振るい、かなり深刻な状況にある。生活や経済活動を支える交通インフラとしての使命を担っているので、仮に本数を減らしてでも運行は維持していきたい」と話していました。

愛知 営業時間短縮で沖縄料理店はカレーもメニューに

営業時間の短縮などが要請されている名古屋市の飲食店では朝から対応に追われています。

愛知県の対象地域では、県から認証を受けた飲食店は、営業時間を午後8時までに短縮したうえで酒を一切提供しないか、営業時間を午後9時までに短縮したうえで酒の提供は午後8時までにするかのどちらかを選択するよう求められています。
県から認証を受けている沖縄料理店は、営業時間を午後9時までとすることを決め、21日から通常より1時間早い午後5時から営業を始めるということです。
また、酒の提供時間が短くなることから食事だけでも楽しんでもらえるよう、ふだんは提供していないカレーなどをメニューに加え、午前中から仕込みなどの対応に追われていました。

代表の石倉直人さんは「要請があったので時短には応じますが、果たして時短にすることが感染拡大防止にどのような効果があるのか、きちんと検証したうえで説明してほしいと思います」と話していました。

岐阜 高齢者施設 対面での面会を中止に

岐阜市にある介護老人保健施設では、入所者と家族の対面による面会を21日から中止しました。
希望する家族についてはオンラインでの面会を行うことにしていて、前日までに予約してもらい15分程度の面会を設定することにしています。

岐阜県は県内の福祉施設に対して一律に面会の制限を要請していませんが、地域の感染状況を踏まえて対面での面会を制限せざるを得ない場合にはオンラインの活用を検討するよう求めています。

介護老人保健施設の真野芳宏統括部長は「ウイルスの持ち込みを防ぐため、再び面会を制限することになった。施設から感染者を出さないよう対策を徹底したい」と話していました。