
“感染急拡大 高齢者に波及で重症者増加の可能性” 専門家会合
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、オミクロン株への置き換わりで感染者数の急速な増加が続き、特に軽症や中等症の患者への医療提供体制が急速にひっ迫し、今後、高齢者に感染が波及することで重症者数の増加につながる可能性もあると指摘しました。
専門家会合は、現在の感染状況について「まん延防止等重点措置」が適用されている沖縄県、山口県、広島県を始め、首都圏や関西などの都市部だけでなく各地でオミクロン株への置き換わりと同時に「感染者の急速な増加が継続している」と分析しています。
そのうえで感染拡大のスピードが速いオミクロン株の特性や検査の陽性率の推移などから「今後も全国で感染の急拡大が継続するおそれがある」とする見通しを示しました。
一方、沖縄県では検査が追いつかず、報告者数が実態を反映していない可能性に注意が必要だとしていて、感染が急拡大している地域では、症状がある患者など優先度の高い人に対する検査が確実にできる体制の確保が必要だと指摘しています。
医療については、全国で療養者数が急増し、重症者の数も増加していて、現在の若者中心の感染拡大で療養者数が急激に増加した場合には軽症や中等症の患者への医療体制が急速にひっ迫する可能性や、さらに今後、高齢者に感染が波及することで重症者数の増加につながる可能性があるとしています。
また、医療機関や福祉施設などでは職員や家族が感染したり、濃厚接触者になったりすることで職場を離脱し、業務が難しくなる事態が起きえるとして、業務継続計画の早急な点検が必要で、濃厚接触者の待機期間については今後も適切に見直していくことが求められるとしています。
そして、まん延防止等重点措置が適用されている地域だけでなく、全国でオミクロン株による感染が拡大しているという認識を持って行動することが必要で、1つの密でも避け、外出の際も混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けるほか、マスクの正しい着用や手指の消毒、換気などの基本的な感染対策が重要だと呼びかけました。
脇田座長「オミクロン株の特徴に応じメリハリある対策を」

オミクロン株疑いの割合は全国で93% 急速に置き換わる

21日からまん延防止等重点措置が適用される地域のうち、首都圏の1都3県では東京都で94%、埼玉県と千葉県で95%、神奈川県で93%となっています。
また、東海3県でも愛知県で93%、岐阜県で96%、三重県で98%となっています。
これ以外の地域でも関西では大阪府で95%、兵庫県で93%、京都府で89%、
また、北海道で77%、福岡県で90%などと全国的に割合が急速に高まってきています。
全国で前週比の3.55倍 急速な感染拡大続く
まん延防止等重点措置が適用されている地域では、広島県が1.91倍、山口県が1.59倍、沖縄県が1.11倍とこれまでに比べて鈍化したものの増加が続いています。
21日からまん延防止等重点措置が適用される地域では、首都圏の1都3県では東京都で4.00倍、神奈川県で4.30倍、千葉県で4.42倍、埼玉県で4.36倍と急増が続いています。
また、新潟県で3.42倍、群馬県で3.06倍、東海3県では愛知県で4.80倍、岐阜県で4.19倍、三重県で5.77倍などとなっているほか、香川県で3.74倍、長崎県で5.31倍、熊本県で5.99倍、宮崎県で7.89倍と急増しています。
それ以外の地域でも北海道で5.61倍、静岡県で5.02倍、大阪府で4.64倍、京都府で4.19倍、兵庫県で6.17倍、島根県で3.60倍、福岡県で5.88倍、佐賀県で2.92倍、大分県で5.57倍などと急増しています。
現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると沖縄県が最も多く672.85人、大阪府で302.98人、広島県で257.49人、東京都で229.14人、京都府で216.67人、全国では147.44人でした。