看護師などの国家試験 厚労省に感染の受験生の追試などを要望

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、来月行われる看護師などの国家試験について、感染して受験できなかった人が救済されなければ、本人や今後の医療提供体制に重大な損失になるとして、医療機関でつくる団体が国に追試の実施などを求めました。
厚生労働省は「本試験と同等の試験を短期間で作成するのは困難だ」としたうえで「最大限の措置を講じる」などとしています。

これは全国の医療機関でつくる「民医連」=全日本民主医療機関連合会が20日、厚生労働省にオンラインで要望しました。

来月13日に行われる看護師の国家試験では、受験生が感染した場合や、濃厚接触者となり定められた要件を満たさない場合は、受験を認めないとされています。

要望では、努力だけで感染を回避することは不可能であり、受験の機会が失われればコロナ禍で看護師不足などが指摘される中、本人や今後の医療提供体制に重大な損失になると指摘しています。

平成26年に行われた看護師の国家試験では、大雪の影響を受けた人を対象に追試が行われたということで、団体では今回の試験や同様に近く行われる医師や保健師などの国家試験について、国が責任を持って追試などの措置を取るよう求めています。

厚労省「本試験と同等の試験を短期間で作成は困難」

看護師の国家試験は来月13日に東京や大阪、北海道、沖縄など12の都道府県で行われることになっています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染して入院中、または宿泊施設や自宅で療養中の場合、他の受験生への感染のおそれがあることから受験を認めていません。

こうした人たちについて、試験日の前後2週間の診断書を提出すれば受験手数料を返還するとしていますが、今のところ追試験についての案内はしていません。

一方、濃厚接触者についてはPCR検査などで陰性で、受験当日も無症状であり、公共交通機関を利用せず人が密集する場所を避けて試験場に行くという要件を満たせば終日、別室で受験できるとしています。

厚生労働省は「職業資格を担保する国家試験であることを踏まえると、本試験と同等の質や量の試験を短期間で作成するのは困難だ。広く機会を与える観点から柔軟な形で行われている大学入試の追試などとは異なり、従来から心身の不調を理由とした追試は実施していない。今回の試験については、濃厚接触者の受験機会を確保するなどコロナ禍でも、できる限り受験が可能となるよう最大限の措置を講じていく」などとするコメントを出しました。

要望に参加した学校関係者「現場にとってもよくない」

団体に加盟し、要望に参加した大阪府の泉州看護専門学校の大谷節子副学校長は「現に受験生が感染した例も出ていて感染が広がる中で、受験生は試験勉強と感染予防で不安を抱えている。医療がひっ迫する中で貢献したいと志望する人が受験できないのは、現場にとってもよくない」と話しています。

受験生「追試の機会を」

千葉県内の看護専門学校の3年生の古畑夏実さんは(20)月に5万円の奨学金と親からの仕送りを合わせた10万円ほどで、学費や家賃を払い生活費をやりくりしながら3年間、勉強をしてきました。

国家試験での合格を前提に、すでに病院からの内定をもらっていて、3年間働けば奨学金を返済できるということです。

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、対策を徹底し、友人どうしで勉強することもなるべく避けていますが、来月の看護師試験の当日を体調に問題なく迎えられるか不安だといいます。

古畑さんは「万が一、感染して試験が受けられなくなり、次の1年、生活のために働きながら国家試験の勉強をするということになれば非常に大変です。試験への合格を前提に病院から内定をもらっているので、どうなってしまうのかも心配です。これだけ感染が拡大すると自分たちがどれだけ感染予防を徹底していたとしてもかかってしまうリスクはあるので、国には追試の機会を設けてもらいチャンスを与えてもらいたいです」と話しています。