参院 代表質問始まる オミクロン株対策や日中関係などで論戦

国会では、20日から参議院で、岸田総理大臣の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まり、急速に感染拡大が進むオミクロン株への対策や、ことしで国交正常化から50年となる中国との関係などをめぐって、論戦が交わされました。

立憲民主党の水岡俊一氏は、ことしで日中国交正常化から50年となることについて「ことしは日中間に横たわる課題を解決するにあたり絶好の機会となると考えるが、具体的にどのような課題に対して解決の努力をするのか」とただしました。

これに対して、岸田総理大臣は「尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みなどは安全保障上の強い懸念だ。中国には主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていく。同時にことし日中国交正常化50周年であることも念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指していく」と述べました。

また、水岡氏は、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐり「ことしは沖縄が本土に復帰して50年だ。求められるのは沖縄の人々に強権的に物事を押しつけるという態度ではなく、外政的にアメリカと交渉し直すことではないか。住民の意思を無視して政策を強行することは日本政府が無能であることを証明している」と追及しました。

これに対し、岸田総理大臣は「アメリカとはさまざまなレベルで普天間基地の辺野古移設が唯一の解決策という方針を累次にわたり確認してきた。着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、危険性の除去につながると考えており、これからも丁寧な説明と対話による信頼を地元と築いていく」と述べました。
自民党の松山政司氏は、感染の急拡大が続くオミクロン株について「政府は感染力や重症化リスクなどをどのようにとらえ、最悪の事態にどう備えていこうと考えているか」と質問しました。

これに対して、岸田総理大臣は「専門家からは『感染力が高い一方、感染者の多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高い。高齢者などで急速に感染が広がると、重症者が発生する割合が高くなるおそれがある』という分析が報告された。過度に恐れることなく、最新の科学的知見に基づく対応を冷静に進める覚悟だ」と述べました。

また、松山氏は、濃厚接触者の待機期間をめぐり「政府はエッセンシャルワーカーや医療従事者については、検査による陰性を条件に待機の例外的な扱いとしたが、社会や生活を支える業務が止まらないよう、絶えず実効性のある対策を講ずべきと考えるが、見解をうかがう」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「感染を抑えるためだけでなく、社会活動維持のためにテレワークを積極的に活用していただくなど、BCP=事業継続計画の準備をお願いするとともに、引き続き、科学的知見の集約を急ぎ、実効性のある対応を検討していく」と述べました。
また、岸田総理大臣は、海底火山の大規模な噴火で被害を受けた南太平洋 トンガへの支援について、100万ドル以上の緊急無償資金協力の実施や緊急援助物資として、飲料水や火山灰を撤去するための用具などの供給を決めたことを説明しました。

そのうえで「輸送のために自衛隊の輸送機などを活用し、早ければきょうにも出発させる。引き続き、災害対応に万全を期すとともに、オーストラリアやニュージーランドといった関係国と緊密に連携して対応していく」と述べました。

さらに、岸田総理大臣は、21日に行われるアメリカのバイデン大統領とのオンライン形式での会談について「バイデン大統領との間で率直な議論を行い、首脳間の信頼関係を深める重要な機会になると考えている」と述べました。

そのうえで「日米同盟のさらなる強化、自由で開かれたインド太平洋の実現や核兵器のない世界に向けた取り組みを含む地球規模課題への対応に向け、連携を深めていくことを確認する予定で、日米同盟の揺るぎない絆を世界に示すとともに、日米同盟を更なる高みに押し上げる機会にしたい」と述べました。