「臨時休園のお知らせ」“感染急拡大”で保育施設の休園が急増

取材中だった記者のスマホに、1通のメールが届きました。

差出人は4歳の長女が通う保育園。

ああ、ついに来てしまったか…。

内容はもう、見なくても分かる。
でも、現実を突きつけられるようで、メールを開きたくない…。

大きなため息を2度3度ついてスマホ画面を見ると、こう書いてありました。

「当園関係者が新型コロナウイルス検査で陽性と判明しました」
「あすから臨時休園とさせていただきます」

オミクロン株によるかつてない感染拡大が続く中、こうした措置をとらざるをえなくなった施設が全国で相次いでいます。

感染拡大に伴い 休園は全国で増加

厚生労働省が全国からの報告をまとめたところによりますと、施設内で子どもや職員が感染し全面休園となった保育所やこども園は、今月13日時点で14都道府県の86か所に上っています。前週(1月6日)段階で全面休園は7か所で、1週間で12倍以上になりました。
去年10月下旬以降は10か所以下で推移していましたが、先週は第5波のさなかだった去年9月に並ぶ水準にまで増加、感染拡大の影響が広がっています。

「園児感染」で休園のところも

3歳から6歳までの約90人が通う東京 台東区の保育園では今月9日以降、3つあるうちの1つのクラスを中心に感染が相次ぎました。これまでにこのクラスで感染した園児は6人、園全体では7人に上っています。
保育園では感染者が出た段階で保健所と相談し、17日から19日まで全面休園としました。
これまで園児には全員マスクを着用してもらうほか、給食の時間は透明の板を使って仕切ったり、手洗いやおもちゃの消毒を徹底したりして感染対策を取っていたということです。

東京都が都内区市町村の報告をまとめたところ、18日の時点で新型コロナウイルスの影響による保育園などの全面休園は39、一部休園は25に上っているということです。

この保育園を運営する社会福祉法人の遠藤正明理事長は「保育士が負担し合いながら感染対策を徹底してきましたが難しかったです。保育園を継続して開けることは社会的使命だと思っていて、休園となってしまったことは申し訳なく思っています。今後は保護者の協力も得て、新しい対策を考えコロナを乗り越えていきたいです」と話していました。

職員が「濃厚接触者」に 出勤できない保育園も

園を開いていても、職員が濃厚接触者となって出勤できないなどして、厳しい運営に直面しているところもあります。

千葉県八千代市の保育園は6クラスがあり130人余りの園児が通っています。26人の保育士が働いていますが、うち1人が先週家族に感染者が出て濃厚接触者となったことから、その後出勤できなくなっています。
今週に入ってからは、自身の子どもが発熱したという職員も出ました。園では今回は慎重に対応する必要があるとしてこの職員に出勤を控えてもらいました。

複数の職員が出勤できないと子どもに目が届かなくなるおそれがあることから、当日の園児の出欠状況を見て職員の配置を見直すなど難しい対応を迫られています。

状況や時間帯によっては、2つある庭のうち1つを使えないようにして子どもの行動範囲をいつもより狭くするといった対応も取っているということです。

第二勝田保育園の丸山純園長は「今まで以上に緊張した毎日が続いています。園を開けている限り仕事の量は変わりませんが、人員はいつもより少ない状態なので毎日綱渡りのような感覚です」と話していました。